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日本のスポーツカー事情が上向き始めたようにみえる。マツダのロードスター、そしてホン
ダのS660と、手頃で上出来な新型国産スポーツカーが立て続けにデビューしたことで、メデ
ィアへの露出機会も多くなり、“スポーツカー気分”が醸造されてきた。
折しも円安が進行し日本の株価は上がり、自動車メーカーは潤いを取り戻し、スポーツカー
のようなある意味“不必要”なフィールドの面倒をみる余裕が出てきたのかもしれない。先月13
日、トヨタ自動車とマツダが業務提携に関して共同記者発表を行い、両社のトップが「楽しい
クルマをつくっていこう」と声を合わせた。
いずれにせよ、少なからずスポーツカーに注目が集まってくれば、自動車産業の“気分”もな
んとなく上向き、華やぐもの。そのこと自体がスポーツカーというものの大切な存在理由なの
だろう。
筆者のような自動車専門の物書きがスポーツカー話で盛り上がっていると、必ずと言ってい
いほどこういう話になる。
「これで、若者のクルマ離れを食い止めることができたらいいのですが……」
結論からいうと、若者のクルマ離れどころか、日本人のクルマ離れトレンドは、国内自動車
メーカーが束になって「運転の楽しいスポーツカー」をつくり始めたとしても(そんなことは
ないだろうが)、鈍化こそすれ、そのベクトルを大きく変えることはできないだろう。
この場合のクルマ離れとは、「クルマを必要としなくなる」ということでは決してない。20
世紀型もしくは欧米型のクルマに対する憧れや興味をなくす、という意味で、要するに根強い
クルマ文化待望論からの脱却を意味する。ドライビングファンを中心とした極めてホビー的要
素の強いクルマ信仰(主役はスポーツカー)からの、ひと足早い、“卒業”でもあるだろう。
そこで今回は、日本人のクルマ観を掘り下げて考察しつつ、クルマ離れやクルマ文化論につ
いて考え、未来の日本車のあるべき姿をあぶり出してみたい。
本当にクルマの運転は楽しいものなのだろうか
高性能スポーツカーやモータースポーツといったクルマ文化なるもののキーワードの根源に
は、いずれもドライビングファンが横たわっている。運転は楽しい。クルマ好きにとって、そ
れは絶対的信仰的フレーズだ。筆者もそう思う。そう信じてこの仕事にいそしんでいるし、人
生における最も大切な趣味にもなっている。
まずは、それを疑ってみることから始めてみたい。本当にクルマの運転は楽しいものなのだ
ろうか。そのことを真面目に考えてみれば、ひょっとして若者たちがクルマへの興味を失いつ
つある本質的な理由がみえてくるかもしれない。
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【若者のクルマ離れ】根源的理由 そもそも日本人は運転が好きではなく、向いていない★6
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