15/06/12 13:33:36.08 *.net
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もう後戻りはできない。とどまることを知らない円売りの激流は、私たちの暮らしも企業のあり方も一変させる。
日銀の異次元緩和によって生まれた「超円安」社会が、この国のすべてをなぎ倒す。
どんどん国力が落ちる
「アメリカの利上げに加えて、日本銀行による異次元緩和。このままいけば、円安水準は1ドル=150円まで確実に進みます。
そうなれば、この国はこれまで経験したこともないような二極化社会になるでしょう」
こう語るのは、『永久円安』の著者でもあるジャーナリストの山田順氏だ。
膠着し、溜まっていたエネルギーが一気に噴き出すように、日本が「超円安」社会へ動き出した。
5月28日、東京外国為替市場の円相場が12年半ぶりに1㌦=124円台に突入したのだ。
「今回の円安水準は、FRB(米連邦準備制度理事会)議長のイエレン氏が、年内にもゼロ金利政策を終えて
利上げを開始すると示唆したのが引き金になりました。アメリカは今年9月にも利上げ実施に踏み切るという観測が強まっている。
そうなると、今後はさらにドル買いの動きが進み、円安に傾くことになります」(前出・山田氏)
これ以上の円安は、是か非か?。今、日本は後戻りのできない岐路に立たされている。
これまで日銀の黒田東彦総裁は、2%の物価上昇を達成するために円安のポジティブな面ばかりを喧伝し、「心配ない」と繰り返してきた。
確かに黒田総裁が主導する異次元緩和のもとで円安が進み、トヨタをはじめとした一部の大企業が恩恵を受けてきたのは事実だ。
輸出するほど収益が上がる彼らにとって、円安は大歓迎だろう。
ただし、今までは原油安で物価上昇が抑えられ、円安の「負」の影響は最小限に留められていた。その原油安も底打ちし、
徐々に価格が上がりはじめている。ここから円安が進行すれば、もろに物価上昇に直結してしまう。
そうなれば、消費増税によるダメージからの回復途上にある日本国内の景気は、大きな打撃を受けることになる。
「通貨の実力を測る指標に、物価上昇率の違いや貿易構造の変化を加味して算出する『実質実効為替レート』というものがある。
このレートで換算すれば、1ドル=120円台の現在ですら日本円は'73年時点と同じ水準でしかないんです」(東短リサーチ代表の加藤出氏)
つまり、今日本経済の力は'73年のレベルまで落ちているとも言える。円安が進めば、さらに国力は加速度的に急落する。
こんな状況の中で、果たして円安を喜んでいる場合なのだろうか。
円安の弊害は、国内企業数全体の9割以上を占める中小企業や内需型の企業で、すでにあらわれている。
多くの会社が原料コスト高騰にあえぎ、真綿で首を絞められるように蝕まれているのだ。
もう牛丼屋にも行けない
だが、今はまだ序章に過ぎない。これから円安が進み1ドル=150円台に突入すれば、日本社会は激震に見舞われることになる。
「円安が進んでメリットがあるのは、高い技術力を持ち、海外で売れる商品を作っていて、かつ国内に工場がある企業。
当然ですが、そんな企業は日本に数えるほどしかありません。
さらに円安は海外からの観光客を呼び込むきっかけになりますが、中国人観光客による『爆買い』で潤うのは
三越伊勢丹や免税店のラオックスなど、非常に限定的です」(経済ジャーナリストの植木靖男氏)
まず「超円安」社会では、外食産業が軒並み瀕死の状態に陥る。
たとえば、いまや当たり前のように浸透している牛丼チェーンは、さらなる値上げでも追いつかず消滅しかねない。
「『安くて早くて美味い』の代名詞だった吉野家などは、青息吐息でしょう。
吉野家は、これまで安く食材を輸入できたからこそ、280円という低価格で牛丼を提供できたし、
出店数を増やすことができた。ところが1ドル=150円になると、牛丼の値段を大幅に上げざるをえなくなる。
そうなると客の減少は避けられません。これは吉野家だけでなく、松屋や『すき家』を展開するゼンショーも同じことです」
(コア・コンセプト研究所代表の大西宏氏)
窮地に立たされるのは、牛丼チェーンだけではない。親しみやすい存在だったファーストフードや居酒屋、
ファミリーレストランからも客が遠のいていくだろう。
「マクドナルドやワタミなど、低価格を売りにしてきた会社もコスト高に苦しめられ、値上げに踏み切るしかない。
ガストやジョナサン、ロイヤルホストなどのファミレスも気安く入れる場所ではなくなる。外食産業自体が存亡の危機を迎えます」(前出・大西氏)
さらに、国内を主なマーケットにしている「内需型」の企業も厳しい戦いを強いられる。飲料メーカーも、そのひとつだ。