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日本人が最も食べている果物はバナナだ。2014年の1世帯(2人以上の世帯)当たり年間購入量は18キログラムと、
2位のミカンの13キログラムを大きく引き離す(総務省統計局「家計調査年報」)。
人気の理由は「値頃感」だ。主な輸入商社などで構成される日本バナナ輸入組合が14年に実施したアンケートで、
バナナを食べる理由の1位は「手頃な値段だから」が65%でトップだった。
■50年前と価格は変わらず
価格はこれまで変化に乏しかった。1965年時点の1キログラム当たり平均価格は218円。自由化で輸入が急増した
1972年に一時124円まで急落するが、1975年以降は180~250円の範囲を上下に推移している。
ちなみに、ミカンの価格は1965年の1キログラム当たり100円から2014年には同347円まで上昇した。
卵などと並び、バナナが「物価の優等生」といわれるのもうなずける。
しかし、今後は価格の安定が崩れ、上昇に向かうかもしれない。
日本に輸入されるバナナの9割以上を占めるフィリピン産の現地価格が、供給不安で上昇しているからだ。
フィリピンは2012年12月に巨大台風に襲われ、生産地の2割弱が深刻な打撃を受けた。
バナナを枯れさせるパナマ病の被害も広がった。
この病気は土壌菌が原因となることから、台風で土壌菌が拡散した可能性がある。
その結果、2010年から2013年にかけ、フィリピンの生産量は4%減少した(国際連合食糧農業機関〈FAO〉調べ)。
フィリピン以外の輸入先探しは現実的ではない。2013年のバナナの世界生産量1億0671万トンのうち、
首位のインドは26%を、2位の中国は11%を占める。しかし、ほとんどが国内で消費され、輸出に回ってこない。
輸出量はエクアドルが長年首位の座を守り、2位をフィリピン、コスタリカ、コロンビアが争う構図だ。
だが、輸出首位のエクアドルの生産量も干ばつなどの影響で、2010年から2013年にかけて25%減少。
世界合計でも、ここ数年は中東など新興国で需要が増える一方、生産量は横ばいとなっている。
■現地価格は3~4割上昇
フィリピンと日本は長期にわたって関係を構築してきた歴史もある。
日本の商社は1960年代から現地生産者と協力し、日本市場向け大農園の開発に着手。
1980年代半ば頃からは、糖度が増した高地栽培バナナの輸入も始まった。
こうした努力の積み重ねで、フィリピン産は日本の店頭で不動の地位を築き、流通経路が確立された。
日本はフィリピンからの輸入に頼らざるをえない状況なのだ。
2014年以降も生産量が回復しないまま、円安も店頭価格の押し上げ圧力となっている。
日本バナナ輸入組合の林晃二事務局長は、「2013年初めから円ベースでの現地仕入れ価格は
3~4割上昇している。輸入商社が上昇分のすべてをかぶるのは難しい」と言う。
実際に近年のバナナ価格はジワジワ上がっている。「値頃感」のなくなる日が来るかもしれない。
(「週刊東洋経済」2015年6月6日号<1日発売>「価格を読む」を転載)
写真:バナナは150~300本まとまっているものが切り分けられて店頭に並べられる
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グラフ:バナナ価格は上昇トレンド入りか
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