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毎日新聞 6月5日 22時1分配信
テロ対策の補給活動でインド洋に派遣されたり、イラクの人道復興支援で派遣されたりした自衛隊員のうち56人が自殺し、原因が判明している中では「精神疾患等」が14人(25%)で最も多かったことが5日、明らかになった。
14人中、イラクに派遣されていた陸上自衛隊員の3人と航空自衛隊員の1人は公務の負荷で発症した精神疾患が原因で自殺したとして公務災害と認定されていた。
◇4人は公務災害
民主党の阿部知子衆院議員の質問主意書に対する政府答弁書で分かった。
防衛省は「自殺はさまざまな要因が複合的に影響し合う。海外派遣との因果関係を特定することは困難な場合が多いが、自殺防止対策に努めたい」としている。
自殺した56人は2001~10年(一時中断期間あり)のインド洋派遣の海上自衛隊員27人、04~09年のイラク派遣の陸自隊員21人と空自隊員8人。
自殺原因別内訳は、精神疾患等14人▽家庭7人▽借財6人▽職務3人▽その他5人▽不明21人。
また、03~14年度の自衛隊員の自殺者は計1044人。このうち原因が「精神疾患等」だったのは289人(27.6%)で、派遣経験者と同様の傾向だった。
13年度の人口10万人あたりの自殺者数(自殺率)は国内の成人が25.4人、一般職の国家公務員が21.5人だったのに対し、
事務官らを除いた自衛官は33.7人と多く、04年度以降はいずれも自衛官が国内成人、一般職の国家公務員を上回る傾向が続いている。
政府の自殺対策白書によると、13年の自殺者2万7283人のうち、原因が判明した中で多いのは▽健康▽経済・生活▽家庭--などの順。「精神疾患等」の区分はない。
NPO法人「自殺対策支援センター ライフリンク」の清水康之代表は「自殺者は平均四つの問題を抱えていることがNPOの調査で分かっている。原因を単純化すべきではなく、精神疾患の背景に何があったのかがより重要だ」と話す。
軍事評論家の前田哲男さんは自衛官の自殺率が高い点を「上下関係が厳しい隊内の環境が数字に表れているのではないか」と分析し、
「安保法制が成立すればより海外任務が増えることが予測される。政府はその前に隊員の安全措置をきちんと明示すべきだ」と指摘した。【町田徳丈】
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