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光や音で娯楽を演出するパチンコを介護現場で役立てようと、桐生市の中古パチンコ台販売会社が、福祉向けの台の開発を続けている。
先月末からは市内のデイケア施設など2か所に試験的に設置。関係者は、玉の方向を考えたり、指先の力を調節したりすることが
認知症予防につながると期待する。
「あらやだ。大当たりがきちゃったわよ」。桐生市川内町の通所介護施設「モン・クール」に週2回通っている片所豊子さん(90)が声を弾ませた。
広場の脇に設置された台が赤く点滅し、玉を引き込む中央の「羽」がパタパタと動き出す。「ここからの微妙な力加減が難しいのよ。
どこに打てば入るかって考えながら打つから夢中になっちゃう」と、玉の行方を真剣に見つめる。
施設長を務める柿沼博昭さん(47)は「試験的に導入したが、予想以上に楽しんでいる人が多い。考えながら指先を動かすのでリハビリにもなります」
と振り返った。
台を設置したのは、全国に中古台を通信販売する「グローバルスタンダード」(桐生市小梅町)。利用者が玉を口に入れないように
受け皿の上にアクリルのカバーを付け、音や光も控えめに調整した。
社長の野口智行さん(32)が介護現場向けの台の開発を始めたのは、2年前。テレビ番組で「お年寄りがゲームセンターに集まっている」
というニュースを見たことがきっかけだった。同時期に、全国の老人福祉施設からの注文も増え、本格的な開発を始めた。
軟らかいボールを握る動きや、カスタネットを鳴らす動きなど、介護現場でリハビリとして導入されている動作を使った操作方法も開発しており、
今後、実用化を検討する。
野口さんは、「パチンコというとギャンブルというイメージを持つ人もいるが、目や耳、手足を複合的に動かすことで脳の刺激にもなる。
パチンコを経験した施設利用者も増えるので、専門家にも意見を聞きながら開発を続けたい」と話した。
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