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■冷え込んだ関係 糊塗する「協調」
北朝鮮産マツタケを不正輸入した疑いで、京都府警などが在日本朝鮮人総連合会（朝鮮総連）トップの次男、許政道（ホ・ジョンド）容疑者（５０）を逮捕した。
金正恩（キム・ジョンウン）政権は３月の朝鮮総連議長宅の家宅捜索以来、対日非難を繰り返してきた。
朝鮮総連と平仄（ひょうそく）を合わせたような過剰な反発を示しているが、その裏には、隠しきれない“溝”も垣間見える。（桜井紀雄、吉国在）
「われわれは、日本がなくとも生きてきたし、今後も生きていける」
朝鮮労働党機関紙、労働新聞は４月末、朝鮮総連の許宗萬（ホ・ジョンマン）議長宅などへの強制捜査に、こう反発をあらわにした上で、
「日本は朝日関係を最悪の事態へ追い込む愚かな自滅行為をしている」と非難した。
宗萬氏宅が捜索された３月２６日以降、朝鮮総連は東京の警察庁前で１００人以上を動員した抗議活動などを重ねてきた。
背景には「捜索当日、議長宅前に抗議に駆け付けた組織員が少なく、指導部が激怒した」（朝鮮総連関係者）事情もあるという。
北朝鮮も朝日友好親善協会といった対外団体を駆使して対日批判を繰り広げてきた。「許し難いファッショ的暴挙」「卑劣な政治弾圧だ」。
ちりばめられる過激なフレーズも、北朝鮮、朝鮮総連それぞれの団体ともにほぼ同じだ。
足並みをそろえた日本政府攻撃の理由について、日朝関係者は、許一家と金正恩一族との「微妙な結び付きにある」とみる。
宗萬氏は責任副議長だった１９９０年代後半、巨額の資金を本国に送り、結果的に在日朝鮮人系信用組合の破綻を招いた一方、
金正日（ジョン・イル）総書記が「宗萬氏を擁護せよ」と指示したほど信任が厚かったといわれる。
半面、昨秋の訪朝では、金正恩第１書記と面会できず、後ろ盾の工作機関２２５局トップも死亡した。
北朝鮮にとっては、朝鮮総連傘下企業から思うように投資が集まらず、朝鮮総連側にすれば、最大懸案だった中央本部競売問題で、
本国は拉致再調査が動き出してからは表立った抗議をせず、宗萬氏任せにした。
朝鮮総連関係者によると、「隙間風」が吹き始めていたという。そうした中だからこそ、一枚岩であることをあえて演出する必要があったとみられる。
産経ニュース / 2015年5月13日 7時58分
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