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財政制度等審議会(財務相の諮問機関)は十一日、文教・科学などの分野で、歳出抑制に向けた方策を議論した。
財務省は、教育環境を改善するため国立大学の授業料引き上げも含めて検討するよう提案した。
また、救急搬送の一部有料化検討も打ち出した。
国立大学・大学院(八十六法人)の授業料標準額は年五十三万五千八百円。自主判断で値上げ
(上限二割)や値下げ(下限なし)が可能だが、値上げは二研究科(大学院)にとどまる。
同省は値上げの場合に増える各大学の収入を、「教育環境の改善や低所得家庭の学生支援に振り向けるべきだ」(幹部)と話している。
値上げの対象は富裕層に限定される見込みだが反発が生じる可能性もある。
義務教育分野では、児童・生徒数減少などを踏まえると、現在の教育環境を維持しつつ二〇二四年度までに
小中学校教職員を約四万二千人減らすことが可能だと指摘した。
地方財政については、地方自治体が行う救急搬送について、結果として軽症だった場合の有料化を
「検討すべきではないか」と問題提起した。全国の自治体の消防費合計額は年間約二兆円。救急出動が過去十年で二割増える中、
約半数は軽症という。自治体が自由に使える「一般財源」は、リーマン・ショックにより地方税が不足。
地方交付税交付金の「別枠加算」などで埋めてきた。しかし、景気が上向いていることなどを挙げ、
一般財源の水準切り下げや、加算などの廃止をあらためて求めた。
公共事業では、「全体の公共事業費は増やせないということを前提に、必要不可欠な社会資本の機能を確保していく」
と提出資料に明記。今年度予算の約六兆円から増やさない姿勢を示した。
◇財務省案のポイント
【文教・科学】
▼国立大授業料引き上げなどを検討
▼2024年度までに小中学校教職員約4万2000人の削減可能
【地方財政】
▼軽症患者の救急車利用の有料化検討
▼地方一般財源の水準の切り下げ
▼地方交付税交付金の「別枠加算」などの廃止
【公共事業】
▼全体の公共事業費は増やせない