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元共産党政策委員長・筆坂秀世が読む『いちばんよくわかる! 憲法第9条』西修著
共産党など、護憲を叫ぶ人々は、「憲法第9条は世界の宝」と言う。では問いたい。
現憲法が制定される際、この第9条に唯一反対を貫いた政党はどこか。共産党である。
当時、共産党は第9条を「一個の空文」であると批判し、「民族独立のため反対しなければならない」と
啖呵(たんか)を切っていた。反対の最大の理由は、自衛戦争まで吉田茂首相(当時)が否定していたからである。
実に的確な批判だった。本書が指摘するように、共産党は「自衛戦争と積極的平和主義を肯定していた」のである。
それがいまや護憲派なのである。共産党は護憲派への大転換を「吉田首相が、当初、自衛権まで否定していたが、
その後、自衛権があることを認めた」からだと釈明している。大嘘である。
1985年版『日本共産党の政策』には「憲法上の措置(第9条の改正)がとられた場合には、核兵器の保有は認めず、
徴兵制は取らず志願制」とすると明記している。94年7月の第20回党大会までは、第9条の改正を公然と掲げていたのだ。
憲法を字面(じづら)だけで解釈してはならない、とは本書が強調するところだ。
護憲派の人々は、ほとんどこの字面解釈なのだ。
だから自衛隊を「憲法違反の軍隊」というのである。私が“護憲派の憲法知らず”と批判する所以(ゆえん)である。
現憲法の骨格となったマッカーサーが示した原則では、当初、「自己の安全を保持するための戦争」も放棄することが
明記されることになっていた。だがこれでは、どの国家にもある「自己保存の権利」も奪うことになるため採用されなかった。
自衛軍は持てるということだ。
護憲派は、自衛隊は憲法違反だと言い、日米安保にも反対だと言う。要するに“丸腰日本”というのが彼らの主張である。
その無責任さは、実は護憲派も分かっている。だから即時自衛隊解体、安保廃棄とは叫べないのである。
こんな無責任を放置しないためにも第9条をすっきり改正することが重要なのである。
どうやって国を守るのか、その回答を持たない護憲派の最大の泣きどころこそ第9条なのである。
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