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統一地方選真っ直中の4月9日、自民党は日教組問題を議論する「教育問題連絡協議会」(会長・塩谷立政調会長代行)を党本部で開いていた。
開催は21年7月以来、約6年ぶりのことで、自民党が野党に転落していた間は開かれていなかった。日教組は民主党支持団体の一つ。
改めて“敵陣”に目を光らせることで、保守政党としての矜恃を示すとともに、来夏の参院選に向けて民主党を弱体化させる狙いもちらつく。
■文科省と連携プレー
「教職員の政治活動の取り締まりが甘すぎて話にならない。まだまだ選挙活動をしている人は多くいる。
しっかり管理できる法律を作らなければならない。選挙活動をして懲罰を受けた人たちが、山梨では校長や教頭になったりしている」
山梨を地盤とする宮川典子衆院議員(比例南関東)は協議会でそう発言した。
別の議員は「日教組に入らない人は校長や教頭などの管理職になりづらい実態がある」と語った。
文部科学省が用意した「最近の教職員団体の動向について」「各地の教育問題について」と題した資料も配布され、
同省幹部が実態を報告した。党と同省が連携して日教組を牽制する格好となった。
そんな文科省も「民主党政権時代は自民党が日教組の実態について報告を求めても、自民党の会合に来て報告をするのは及び腰だった」(文教族)という。
自民党が協議会を野党時代に開いていなかったのは、そんな事情もあるようだ。
もっとも、再開は自民党が政権に復帰したからという理由だけではない。
「20歳以上」の選挙権年齢を「18歳以上」とする公職選挙法改正案が今国会に再提出され、来年夏の参院選から適用されようとしていることも大きい。
自民党内からは早くも「政治的中立性を守るための教員養成をしっかりやっていく必要がある」(中堅)との声が上がっている。
この「各地の教育問題について」の中で、真っ先に記されているのは、
大分県教職員組合が旅行業法に基づく登録をせず、5月に地元紙、大分合同新聞の広告で「慰安婦」問題の関連施設を見学する韓国旅行を募集した一件だ。
観光庁は旅行業法に違反しているとして、旅行を企画した県教組と、手配した大分航空トラベルに改善を指導し、産経新聞が昨年7月22日付朝刊で報じて表に出た。
旅行の対象は県内の中学生と保護者。
見学先には、日本軍が強制連行し、性奴隷にしたとする韓国側の一方的な主張を表現した「日本軍『慰安婦』歴史館」が含まれ、
下村博文文科相は「反日旅行をすることで子供たちにどういう教育的効果を狙っているのか。理解できない」と批判している。
平成16年7月の参院選に向け、山梨県教職員組合(山教組)が政治団体を通じ校長、教頭、一般教員から組織的に選挙資金を集めていた問題もあった。
このときも同年11月に産経新聞が報じた。山教組出身の現職、輿石東氏(現参院副議長)を支援するためなのは言うまでもない。
この事実も、輿石氏の実名こそ記載していないが、「各地の教育問題について」にしっかりと書き込まれている。
■見えにくくなった実態
文科省は折を見て各都道府県教委に対し、教職員の選挙運動の禁止に関する通知を出してきた。
今年の統一選でも2月に通知を通じて「服務規律の確保」について指導を徹底させている。
それでも、携帯電話の普及により、教職員の政治活動の実態は見えにくくなっているのが現実という。
昨年10月1日時点の日教組の組織率は24.7%となり、過去最低を更新した。
それでも油断するわけにはいかないのが自民党の本音だ。協議会幹部はこう語る。
「日教組に対し常時監視態勢を作りたい」
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