15/04/11 19:23:38.47 *.net
地方に暮らす者から見れば景気実感とは程遠い出来事としか映らない。
東京株式市場の株価がきのう、一時、2万円の大台を約15年ぶりに回復した。
株価の上昇は、株式を大量に保有する大企業の含み益を膨らませ、
個人投資家らを潤わせていることだろう。
しかし庶民の暮らしとは無縁だ。株価は景気の先行指標という。
であれば、これからその恩恵が地域経済や中小企業にどう及んでくるのか。
その道筋も判然とはしない。
何より日本経済の実力の反映なのか、疑問だ。
2万円回復の要因となったのは、大企業の業績改善であり、
そのため比較的経済状況の良い日本市場に、ことしに入り金融緩和に踏み切った
欧州や新興各国のマネーが流れ込んだ結果である。
だが、大企業に好業績をもたらしたのは、日銀の大規模金融緩和による
円安であり、企業の実力とは言い難い。
実体経済から懸け離れたバブル的な株価との指摘があるのは、そうした理由からだ。
この株高が、個人消費の低迷や苦しい中小企業の経営環境といった
実体経済の厳しさを覆い隠し、景気回復に向けた課題解決の動きを鈍らせるような
ことがあってはならない。そう注文しておきたい。
というのも、株高の環境づくりをしてきたのが、他ならぬ安倍政権と日銀だからだ。
株価2万円に「よくここまできた」と、達成感を吐露した
菅義偉官房長官のコメントがその証しではないか。
安倍政権は成長戦略で、金融市場活性化のため年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)
の公的年金資金の運用方針見直しを掲げ、実際に国内株式へ投資を拡大した。
公務員の共済年金もその運用方針に追随。政府が大株主である日本郵政の子会社、
ゆうちょ銀行は株式投資強化を打ち出した。一方、日銀は株価連動の
上場投資信託(ETF)を買い入れ、株価の下落に歯止めをかけてきた。
こうした公的資金で株式を買う「官製相場」を形成することで、アベノミクスの成果として、
内閣の高支持率維持にもつながる実態以上の株高演出に腐心してきたといえる。
だから、2万円回復は政府にとっては朗報に違いない。
そのいわば「上げ底」の株式市場に海外の緩和マネーが流れ込んでいるのは、
日本企業の業績はさらに上向き、経済の好循環につながるという「期待」からである。
だが、そうならなければ、期待は「失望」に変わる。投資マネーは日本から逃げ、
急激な株安・円高を招き、景気は後退しかねない。そのことを政府は肝に銘ずべきだ。
過去最高益を更新する勢いの大企業が今後の景気動向を慎重に見ていることが、
日銀の調査で明らかになった。
消費税増税・円安物価高ショックが尾を引き、個人消費の回復に力強さを欠くことが
その背景にある。中小企業は円安による輸入原材料高にあえぐ。
それらの改善なくして経済好循環はあり得ない。
株価の2万円回復は、株高を維持するため
政府は今、何に腐心しなければならないかをも問うてはいまいか。
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