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東京商工リサーチの調査によると、15年2月の倒産件数は692件、2月としては24年ぶりに700件を割った。
バブル期以来の少なさとなるが、これは景気回復の象徴なのか。
同社の友田信男情報本部長はそれを明確に否定する。
「倒産件数が減っているのは“延命策”が効いているだけ。むしろ『倒産予備軍』は増えており、30万社ほどに達していてもおかしくない」
延命策とは何か。金融庁が、「中小企業金融円滑化法」が13年に期限切れになった後も、
金融機関に同様の対応を促していること。円滑化法は、経営の苦しい企業が借金返済の
期間を延ばす猶予などを受けることができるものだ。
これらの政策で本来は倒産するような企業が延命しているというのだ。
だが、「大倒産時代」がやってくるかもしれない。輸出企業が少なく原材料を輸入に頼る中小企業にとっては円安はコストアップ要因だ。
「40円以上の円安が進んだ黒田バズーカの恩恵は大企業や一部の業種に偏っており、
規模と業種の中で二極化が進んでいる。業績が改善しなければ延命策の効果もあと2~3年が限界で、
倒産予備軍が一気に倒れる可能性もある」(友田氏)
事業再生コンサルタントの吉田猫次郎氏も、「中小企業の状況は、黒田バズーカ以後もリーマンショック時と変わらない」と話す。
「国に何を言われようとリスクを負うのは金融機関ですから、現実は赤字企業に融資などできない。
個人消費や内需に頼る業種は今も資金繰りに苦しんでいる」
公共事業などで比較的好調とされる建設業でも、状況は同じだという。
「リーマンショック時に極限までリストラやコストカットをしており、今になって
目の前に受注のチャンスがあっても取りに行く体力がない。融資が受けられず人手もなく、身動きが取れない」(吉田氏)
そこへ追い打ちをかけるように、3月決算の企業は5月末に増税後初の消費税(確定申告分)の納期限を迎える。
資金繰りが厳しい企業ほど取引先から預かった消費税を運転資金に回しており、支払いに窮する可能性が高いという。
「再建のチャンスが十分ある企業でも、経営者は目の前の金策に忙殺され疲れ果てている。
消費税を滞納して延滞税や差し押さえという事態になれば、そのまま廃業を選択する企業が続出する可能性もある」(同)
6月はXデーとなるのか。