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─日本が中国主導のアジアインフラ投資銀行(AIIB)参加を見送ったことは、費用対効果などの面で、妥当な判断だと
第一生命経済研の熊野氏は指摘。
熊野英生 第一生命経済研究所 首席エコノミスト
中国が主導して設立するアジアインフラ投資銀行(AIIB)の創設メンバーになる申請期日が3月31日に到来した。結局、日本は申請をしなかった。
台湾、韓国など約50カ国・地域が申請、または意向を示した。
この構想への参加が、まるで環太平洋連携協定(TPP)参加と同じような感覚で「船に乗り遅れる」と議論されることに違和感を覚える。
TPPは貿易連携に関する共通のルールづくりをしようとしているので、船に乗り遅れるのは大きなマイナスだ。TPP加盟国の中での
輸出入の拡大にはメリットが大きい。
一方、AIIBへの参加は、まず、透明性の高いルールづくりの中に参画できるかどうかが不透明だ。日本が参加した場合には、
他の参加表明国に比べると、そのプレゼンスの大きさから考えて、出資金額は膨らむだろう。当然、欧州諸国などよりも利害関係は大きくなる。
だからこそ、透明性が担保されていないと、日本が享受できるメリットは甚だしく読みにくく、費用対効果が低くなる可能性もある。
アジアの投資案件に対する融資に関しても、創設メンバーとして活動した方がメリットが大きいのか、今後、アジア開発銀行(ADB)の融資との
協調を模索することができるのか、という点を検討することが重要だ。
筆者は、今後のAIIBにおける運営が不透明な中で、拙速な判断をしなかったことは妥当だと考える。実際にAIIBのスキームが固まってきてから、
ADBなどを通じた協調を推進しても遅くない。
URLリンク(jp.reuters.com)