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【ハノイ】1960年代に米軍と戦っていたベトコン・ゲリラは、米軍というはるかに強い敵を破るため、サイゴン(現在のホーチミン)周辺に
トンネルのネットワークを張りめぐらせた。
トンネルの地下深くから、彼らは奇襲攻撃を繰り出した。地下に隠れたネットワークはB52爆撃機による米軍の猛爆にも耐えた。
トンネル内部に潜入した米陸軍の偵察兵は、それを「Black Echo(暗黒の世界)」と呼んだ。
ベトナムの過去最大の武器購入は、6隻のロシア製潜水艦で、総額で数十億ドルに上った。写真はベトナム軍の潜水艦
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現在、中国からの新たな脅威(今度は海だ)に直面して、中国より装備も兵力もはるかに劣るベトナム軍は、ベトコンと同様の戦術に
頼ろうとしている。海中に隠れるのだ。ベトナムの過去最大の武器購入は、6隻のロシア製潜水艦で、総額で数十億ドルに上った。
ベトナムの新聞報道によれば、3隻目が数週間前に到着した。いわゆる「キロ級潜水艦(ロシアの通常動力型潜水艦)」で、米海軍関係者
の間では「ブラックホールズ」として知られている。
この潜水艦は、ベトコンのトンネルに似て、非対称戦(ゲリラやテロなど、戦力が甚だしく不均衡な勢力間の戦い)の好例だ。ベトナムの
弱い軍隊でも中国という強力な敵の心に不安感を抱かせることができる。
ベトナムのロシア潜水艦購入は、中国の軍事力に匹敵する軍備を持つことは望むべくもない東南アジア諸国が中国の領海上の野心に
対抗するため代替策を求めていることを浮き彫りにしている。それはまた、南シナ海をめぐる緊張が予測不可能な新しい次元に入ることを
意味している。
複雑な潜水艦システムを扱った経験がほとんどない海軍が、浅い海峡を潜水艦で航行すれば、偶発的な衝突のリスクが増える。
その結果、米国など主要国を巻き込む事態に急速にエスカレートする恐れも高まる。
中国の習近平国家主席は、3月28日のフォーラムで、「アジアと世界にとって好ましい地域的な秩序を共同で構築する」と誓い、
アジア太平洋における「共通の利益を持つ共同体」というビジョンを示した。
しかし南シナ海は不安定で危険な状況にある。中国が海南島に新たに構築した原子力潜水艦基地は、遠くインドネシアにまで達する
海洋を直接にらんでいる。中国がこの海域を自国の「海の裏庭」とみなしているかのような振る舞いが増えている。
ベトナムやマレーシアといった沿岸国やインドネシアのような島国国家、そしてシンガポールのような小さな都市国家にとって潜水艦は、
中国の軍事力に対する劣勢を挽回するための最も効果的な方法だ。
キロ級潜水艦の保有はベトナムにとって、中国海軍の威嚇に対する「ささやかだが有効な」答えになるだろう、とオーストラリア国防大学
のカール・セイヤ-名誉教授は指摘している。
東アジアでは、韓国と日本も大規模な潜水艦隊を保有している。オーストラリアは500億オーストラリア・ドル(約393億9000万米ドル)を
投じて強力な新規潜水艦を調達する計画だ。フィリピン、タイ、そしてミャンマーも潜水艦の調達を考えている。こうしたことから海底は
ますます潜水艦で混み合うことになる。
潜水艦を発見して破壊するのは困難だ。そして潜水艦による航行船舶の攻撃は非常に有効だ。海で危機が発生したときに潜水艦を
見つけたら、海上の艦船司令官は、重大な決断を迫られる。潜水艦を攻撃して国際紛争になるリスクを冒すべきかどうかを瞬時に判断
しなければならないのだ。
その上、この沈黙の争いは、世界の最も繁忙なシーレーンである南シナ海の海底で展開されているのだ。
世界の年間商船トン数の半分以上は西太平洋とインド洋を結ぶ南シナ海を通過している。これを掌握する者は、世界経済への確固たる
支配力を得ることになるのだ。
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(続く)