15/03/21 09:38:43.95 *.net
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自転車の価格が上がっている。原因は円安と中国の人件費高だ。実は、国内で販売されている
自転車はほとんどが輸入品。2014年の場合、国内供給に占める輸入品のシェアは89%にも上る。
そのほぼ全量が中国で造られた製品だ。
軽快車(いわゆるママチャリ)の輸入単価は2012年には年平均で7246円だった。
が、2013年は8684円、2014年は9511円と年を追って上昇している。
中国の部品なしでは成り立たず
1990年ごろはまだ国内生産が9割と、部品から組み立てまで一貫供給体制が維持されていた。
ところが輸入関税の撤廃も後押しとなって、1990年代後半から2000年代初頭の間に、
安い人件費を生かした輸出主導型成長を志向する中国からの輸入が急増した。わずかに生き残った
国内生産も、中国で造った部品なしでは成り立たなくなった。
自転車生産は労働集約的であり、部品も標準化されているため人件費の高い国内に生産拠点は残りにくい。
だがここまで輸入が増えた背景には、用途が欧米のようにレジャー用ではなく、買い物、通勤・通学用に特化している
日本の特殊事情がある。実用品では安さこそが求められる。
日本の消費者は品質にもうるさい。この点については、自転車産業に詳しい慶応義塾大学経済学部の駒形哲哉教授が
「台湾メーカーの果たした役割が大きい」と解説する。「中国と台湾の両岸交流が解禁されて以降、
台湾大手企業の大陸進出によって、日本向けの品質を提供できるサプライヤーがそろい始めた。
1990年代の末までには、ほぼその体制が完成した」。
だが、販売の現場は頭を悩ませている。価格高によって販売が伸び悩んでいるからだ。
販売シェアトップのあさひでは、柔軟に価格転嫁を行いながらも、為替予約によるヘッジや、
自ら商品企画を行うSPA(製造小売業)という強みを生かしたモデルチェンジ、部品の組み替えで仕入れ値の抑制に努めている。
人件費高がコストに直結しないよう、生産委託先に対して、「生産性向上に役立つ情報提供にも力を入れている」(経営企画)という。
東南アジアでの代替生産は非現実的
こうした企業努力や販売競争が、店頭価格の値上がりを緩和している面がある。
とはいえ、輸入単価は今後も上がり続けるおそれがある。
では、東南アジアが中国の代替生産地になるといった選択肢はないのか。業界関係者からは「現実的ではない」との声が上がる。
ママチャリのような中低級品では世界の自転車生産は中国に集中している。
中国では「あらゆる種類、価格の部品が必要なだけ手に入る」(駒形教授)。より人件費の安い国に工場を作ったとしても、
中国の部品を使わざるをえない以上、物流費などを考えればペイしないというわけだ。
いずれにしても、供給者と消費者が痛みを分かち合いながら、今後も中国と付き合っていくほかにすべはなさそうだ。
国内生産の空洞化が行き着いた姿がここにある。