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シェアハウスなどに暮らすひとり親の女性に対し、児童扶養手当の支給が東京都内の一部自治体で打ち切られていた問題は、
生活弱者への行政支援のあり方を問う形になった。厚生労働省は現在、支援窓口となる地方自治体の対応策を検討中だが、
ひとり親の大半を占める母子家庭の貧困率は5割を超え、厳しい経済状況に置かれている。 (我那覇圭)
厚労省の全国母子世帯等調査(二〇一一年度)などによると、ひとり親家庭(推計)は離婚率の増加を背景に、一九九三年度調査に
比べて約五十万世帯増え、百四十六万一千世帯に上った。このうち母子家庭は八割超にあたる百二十三万八千世帯を占め、父子家庭
も二十二万三千世帯ある。
母子家庭の母親の半数強は、アルバイトや派遣社員といった非正規の仕事で生活し、平均総所得は年二百四十三万円にとどまる。
全世帯(五百三十七万円)と比べると半分以下だ。
母子家庭の厳しい経済状況を如実に表すのが、標準的世帯の年間所得の半分未満で暮らす人の割合を示す「相対的貧困率」の
高さだ。直近の一二年の貧困率は、子どもがいる現役世帯(十八~六十五歳未満)で15・1%なのに対し、ひとり親世帯では54・6%
まで跳ね上がる。
苦しい経済状況の支えになっているのが、今回打ち切りが問題化した児童扶養手当だった。
母子家庭の七割、父子家庭の五割が受給。所得制限があるが一人目の子どもに最大で月約四万円支給される。二人目は五千円、
三人目以降は三千円ずつ加算される。低所得者支援には生活保護もあるが、受給者は一割前後。親族への扶養照会など申請時の
手続きなどへの抵抗が影響しているとみられている。
母子は実家に暮らして生活費を節約したり、母親が二つ以上の仕事を掛け持ちしたりしているケースも多い。
最近では、川崎市で殺害された中学一年の男子生徒もひとり親家庭で、母親は事件後に「(自分が)遅い時間に帰宅するので、
(子どもが)日中何をしているのか十分に把握できていませんでした」とコメントした。
ひとり親から寄せられる相談などに対応しているNPO法人「しんぐるまざあず・ふぉーらむ」の赤石千衣子(ちえこ)理事長は「ひとり親
というだけで既に十分に頑張っていることを理解してほしい。簡単に賃金が上がらない以上、公的な経済支援の拡充こそが重要では
ないか」と訴える。
<児童扶養手当の打ち切り問題> 東京都国立市のシングルマザーの女性が、独身男性のいるシェアハウスに住んでいることで
「事実婚」とみなされ、児童扶養手当などを打ち切られた問題。昨年12月に本紙の報道で明らかになった。「事実婚の相手がいれば
手当は支給しない」という30年以上前の厚生省(現厚生労働省)の課長通知が、打ち切りの根拠になっていた。報道を受け、
市は支給再開に向けた準備を進めている。
URLリンク(www.tokyo-np.co.jp)
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