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群馬県警渋川署地域課巡査の秋山暢大(のぶひろ)容疑者(24)が小学4年の女児(10)を誘拐しようとしたとして
未成年者誘拐未遂容疑事件で逮捕された事件は、女児が車に乗るよう誘われた際に「いやです」と毅然(きぜん)と拒んだことで
未遂に終わった。女児が通う小学校の校長は「毎年の防犯教室で指導してきた『いかのおすし』が役に立った」と話す。
子どもを守る取り組みの効果が表れた形だが、逮捕された容疑者は警察官。防犯活動の成果を手放しでは喜べない事態となっている。【山本有紀、尾崎修二】
「いかのおすし」とは、行かない▽(車に)乗らない▽大声を出す▽すぐ逃げる▽知らせる−−の頭文字。
不審者に声をかけられた時の心構えを子どもに覚えてもらうための「合言葉」だ。
2003年に警視庁と東京都職員が考案した。県内では県と県警が年間150回以上の「防犯出前講座」を開き、
小学生に「いかのおすし」の紙芝居を見せて覚えるよう指導してきた。不審者から逃げる訓練も続けている。
今回被害に遭った小4女児の通う学校では年1回、防犯教室を開いてきた。
昨年10月には秋山容疑者の上司に当たる吉岡町交番の所長も出席したという。
県警によると、秋山容疑者は1月15日午後4時10分ごろ、女児の自宅前で車を止めて待ち伏せし、
帰宅した女児に「パパが交通事故に遭って病院に運ばれた」とうそをつき、車で連れ去ろうとしたとされる。
女児は拒否して帰宅し、パート先の母親にすぐ連絡。午後4時半には父親が渋川署に通報し
校長は「機転を利かせて偉かったね」と女児を褒め、「いかのおすし」の指導を続けてきたことが功を奏したととらえている。
県警の羽鳥信之生活安全部長は20日、記者会見で「子どもを連れ去る凶悪事件が全国的に発生する中、
『いかのおすし』を利用して指導してきた。今後も継続したい」と話した。
一方、県警幹部の一人は取材に対し「地道に続けている
防犯啓発の成果が出たのであれば幸いだが、今回は警察官が起こした事件だけに残念だ」と力なく話した。