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ソース 朝日新聞 (「竹島の日」条例10年)日韓、会ったから知ったこと2015年2月20日13時35分
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真っ青な海のかなたに突然、岩の塊が現れた。
韓国・鬱陵島(ウルルンド)から高速船で1時間40分。ソウルに留学中の大学生(21)=大阪府出身=は昨秋、
竹島(韓国名・独島〈トクト〉)を訪れた。雲一つない青空を背に、四方が断崖絶壁の孤島は、神秘的だった。
韓国が実効支配する竹島を、日本から訪れる手段はない。日本の外務省は旅行者に、韓国からの渡航も自粛するよう求めている。
韓国側の管轄権に服することを認めたという誤解を与えかねないとの理由だが、大学生は「この目で見たい」と韓国側のツアーに参加した。
韓国人観光客が「独島はわが領土」と記したカードを手に写真を撮り合い、警備隊員が銃を肩にかけていた。悔しさを感じた。
だが、高ぶった気持ちは同行したインド出身の留学生らの感想を聞いて冷めた。
「ほかの国はもっと深刻な問題で悩んでいるのに、なぜ日韓は小さな岩でいがみ合っているんだ」
隣国と国境地帯の帰属をめぐり、流血が続く国もある。大学生は思う。
「関係を台無しにしてまでぶつかる必要があるのか、大きな視野で考えてみたい」
日本のNPO法人「言論NPO」と韓国のシンクタンク「東アジア研究院」が昨年行った日韓世論調査では、
相手国の印象を「良くない」と答えたのは日本側54%、韓国側70%。理由の上位は両国とも「竹島問題による対立」が占めた。
一方で、50年前の国交正常化時に年間1万人だった両国の往来者は今、500万人を超える。
自治体の姉妹提携は150以上を数え、「竹島の日」条例を機に慶尚北道から「断交」された島根県でも、市町レベルの交流は続く。
2012年4月から島根県雲南市で国際交流員を務める李在鎮(イジェジン、40)=ソウル出身=は来日前、
不安だった。「島根は竹島のイメージしかなかった」。赴任後、母国の文化紹介で小学校を訪問。
韓国を「悪い国」と思っている児童がいることに驚いた。
ただ、多くの児童は「李さんに会い、韓国に行ってみたいと思った」と感想に書いた。
李さんも地域の祭りに参加し、玄関のチャイムが頻繁に鳴るほど濃く付き合う「ご近所さん」ができて、
印象は変わった。「生身の人間と付き合うことで誤解が減った」