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「世界のカネ持ちたちが今欲しがっているのは、有価証券だの不動
産などだけではなく、エコノミック・セキュリティー(経済上の安全)である」
という書き出しで始まるのは、朝日新聞が配信した「ニューヨーク・タイム
ズ 世界の話題」(2015年2月5日)の日本語記事だ。要するに、中国やロ
シア、中東諸国などの金持ちが、自国以外の2つめのパスポートを欲して
いるということだ。
2つめのパスポートが必要な理由はいくつかあるだろう。もちろん自国
を信頼しておらず、いざというときに財産を没収されるようなことがないよ
う、外国に合法的に滞在できるパスポートを得るという目的もあるだろう
し、子どもをつれて先進国の教育を受けさせるといった目的もあろう。
その国に投資すれば「永住権」貰えるプログラムも
記事で紹介されているマルタでは、市民権を1件65万ユーロで売りだし
たそうだ。マルタに住む義務もなく、単に市民権だけを購入できる。これ
さえ持っていれば、EU諸国全てに合法的に滞在し、就労も、事業も自由
なのだから、非常に便利だといえる。
富裕層を補填する必要が?
富裕層を補填する必要が?
カリブ海のタックスヘイブンであるセントクリストファー・ネイビスもその
一つである。セントクリストファー・ネイビスのパスポートも、文字通り「販
売」されている。この国に住む義務はない。私がこの国を知ったのは、
このパスポートがビットコインで売り出されたからだ(現在ではビットコイ
ンでの販売は停止)。
この小さな国のパスポートだが、とても役立つ。この国のパスポート
で、世界125か国以上にビザなしで渡航できる。この国は英国連邦王国
の一部として独立したこともあり、このパスポートでかつての英国領を中
心に、多くの国に渡航できるのだ。
マルタやセントクリストファー・ネイビスほど極端でなくても、その国に投
資をすれば永住権かそれに類するものが貰えるというプログラムは数多
く存在する。
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