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更新日:2015年1月15日
新年を迎え、著名エコノミストらによる世界経済の予測記事が海外メディアを賑わせている。日本
経済について言及しているものも多いが、極端な円安政策や少子高齢化を理由に悲観的な展望を
示す見方が目立っている。
◆日銀の追加金融緩和は「ハロウィンの悪夢」
ビジネスニュースサイト『ビジネス・インサイダー』は、米エコノミスト、ジョン・モールディン氏による
「世界経済の5年予想」を掲載している。同氏はアベノミクスや日銀の政策に批判的な論客として知ら
れ、この記事でも、日本経済についての悲観的な予測を筆頭に挙げている。
同氏は、今後の5年で、「7つの大きな変化を及ぼすTSUNAMI」が世界を襲うとしている。その第一
波が、極端な円安政策を取る日本が仕掛けている「通貨戦争」だという。昨秋の日銀の追加金融緩
和を最悪な展開をもたらしたハロウィンの悪夢とし、これによって今後5年間円安水準が保たれる可
能性は90%に達したと予測。円安はドイツ、中国、韓国などライバルの貿易立国に「効果的にデフレを
輸出する」と、批判的に見ている。
その円安のレベルについては、「私は以前、1ドル200円まで下がると言った」とし、他のエコノミスト
たちは140円だとも300円だとも言っていると記す。ただし、今の円安は、日本政府・日銀が行ってい
る「世界の主要国が歴史上行ったことのない壮大な実験」の結果であり、誰にも予測不能だとしてい
る。そして、同氏は次のように付け加えている。「正直なところ、日本の消費者にもう逃げ道はないと
思う。もし私が日本人なら、金と円建てではない資産を買い、現金はドルなどの外貨に替えるだろう」
◆労働改革が日本浮上の鍵
元エコノミスト誌のエディター、ビル・エモット氏は、当面の日本の情勢が、世界のエコノミストたちが
懸念する世界経済の「長期停滞(Secular Stagnation)」の真偽をはかる指標になるとするコラムを、
英フィナンシャル・タイムズ紙に寄せている。「長期停滞」とは、「世界経済全体が長期的な停滞に陥
っているかもしれない」という見方で、昨年2月に元米財務長官のローレンス・サマーズ氏が提起した。
エモット氏は、「日本は“長期停滞”の世界チャンピオンだ」と記す。「その要因は、「もはや抜け出せ
ない感のある賃金の低迷というトレンドだ」と言う。非正規雇用の拡大により、第一に結果として正規
雇用の労働市場が固定化されてしまったこと、第二に労働者がスキルアップする機会が失われたこ
とを指摘。それが、賃金、ひいては経済全体の停滞にも結びついていると同氏は主張する。
そして、アベノミクスが目指す労働改革が、日本が停滞から脱出できるかどうかの鍵になると見る。
同氏は「レイバーノミクス(Labournomics)」という造語でそれを表現し、「正規」「非正規」の二重構造
の労働システムを一つの労働法のもとに整理することが必要とされていると主張する。それによって
正社員を解雇するコストがリーズナブルなレベルまで下がれば、結果的に、経営側には市場のニー
ズに対応する柔軟性を、労働者側には正規・非正規を問わず対等な権利を与えることができるとし
ている。
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引用元:ニュースフィア URLリンク(newsphere.jp)