14/12/27 17:45:28.30 0
視点:成長と財政再建へアベノミクス「仕切り直し」の好機=竹中平蔵氏
URLリンク(i.imgur.com)
[東京 26日] - 消費増税先送りを受けて、国際公約でもある財政健全化目標の達成を危ぶむ声が増えている。
しかし、竹中平蔵・慶応義塾大学教授は、アベノミクスを仕切り直し、もう一度、「3本の矢」を確実に放つことによって、
成長主導で目標を達成することは可能だと指摘する。
同氏の見解は以下のとおり。
<30代問題と消費増税の設計ミス>
「TINA(ティナ)」という言葉がある。
英国のマーガレット・サッチャー元首相が好んで使ったフレーズで、
「Thee is no altenative(他に方法はない)」の略語だ。
自民党も選挙スローガンで「景気回復、この道しかない」と掲げていたが、私もアベノミクスは「TINA」だと考えている。
こう話すと、2四半期連続のマイナス成長を指して、アベノミクスは正しくないのではないかと批判する人もいよう。
ただ、思い起こしてほしいのは、アベノミクスは最初の1年半は非常にうまく行っていたということだ。
日経平均株価は約70%上昇し、実質国内総生産(GDP)成長率も
2012年度のプラス1%から2013年度にはプラス2.1%へと大きく改善した。
歯車を狂わせたのは、率直に言って、当初アベノミクスのメニューにはなかった
消費増税(5%から8%への第一弾)を2014年4月に実施したことだ。
安倍晋三首相も菅義偉官房長官もおそらく本音ではあのタイミングでの消費増税に反対だったと思うが、
民主党前政権下で自公民の三党合意に基づき法制化されたものなので、やらざるを得なかった。
そして実際に引き上げてみたら、案の定、景気は失速してしまった。
しかも、マイナスの影響は予想以上に大きく、長期化することになった。
ただ、それによって、今後の政策課題として学べたこともあった。
まず、若い世代の消費マインドが大きく落ち込んだことだ。
消費増税後の消費動向を年齢階級別にみると、30代の支出の落ち込みが際立っている。
この世代は就職氷河期を経験しており、非正規比率が高い。いわゆる30代問題だ。ここが見落とされていた。
また、日本の消費税の構造問題も改めて浮き彫りになった。
例えば、7―9月期のGDPをみると、特に民間住宅投資の落ち込みがマイナス24%強(年率換算)と大きかった。
実は、(日本の消費税に相当する)付加価値税が高い欧州では、住宅のような高額商品には低い税率が適用されている。
イタリアでは、20%の付加価値税率(標準税率)に対して、4%。スウェーデンに至っては、同25%に対して、ゼロだ。
日本は住宅にも一律8%を課しており、需要が伸び悩むのもそれが一因だろう。
こうした課題が浮き彫りになったことを、今後の政策運営に生かしていかなければならない。
もちろん、全体を良くすることで、全員が良くなるわけではない。しかし、全体を良くせずして、全員が良くなることはありえない。
全体を良くしようというアベノミクスのやっていることは正しいのだから、新たに見えてきた課題も踏まえて、もう一度、仕切り直せばいいのだ。
第1の矢(金融政策)については、日銀が先行して、10月31日に追加緩和を決めた。次は第2の矢(財政政策)についても、経済がいったん正常化するまでは追加で放てばいい。
それによって成長を確実なものにし、中期的な財政再建を目指すことは可能だ。
URLリンク(jp.reuters.com)