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STAP論文問題と検証実験の構図
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「世紀の発見」と称賛されてから11カ月、理化学研究所の小保方(おぼかた)晴子氏(31)
が自ら行った検証実験でもSTAP細胞は再現できず、その存在についての議論は事実上決着し
た。しかし、実験に関わった最前線の研究者たちは厳しい批判にさらされ、小保方氏の上司で、将
来のノーベル賞候補ともいわれた笹井芳樹氏は命を絶った。世界的な競争の渦中にある日本の科学
界はどうやって信頼を取り戻すのか。重い課題を突きつけられている。(藤原由梨、前田武)
◇ ◇
19日に東京都内で開かれた理研の記者会見。検証実験の責任者として会見に臨んだ理研の相沢
慎一特任顧問は、「これは科学のやり方ではない。今後、何かある度に科学の行為について犯罪人
扱いして検証するようなことはあってはならない」と、不信を前提にした実験を自ら主導したこと
に忸怩(じくじ)たる思いを口にした。
小保方氏が11月まで所属していた理研発生・再生科学総合研究センター(神戸市)の発足から
関わった相沢氏。一連の問題に「大きな責任を感じている」と苦渋の表情を浮かべた。
論文の共著者で、検証実験の副リーダーとして小保方氏とは別に再現実験に挑んだ丹羽仁史氏
は、周囲から入院を勧められるほど体調不良の中での実験参加だった。会見では今後、個人的に再
現実験を続けるかという質問も投げかけられたが、「その考えはない」と即座に否定した。
STAP論文に関わった研究者たちはいずれも厳しい批判にさらされた。
日本の再生医療の牽引(けんいん)者で、実質的にSTAP論文を書き上げたとされる理研の笹
井芳樹氏は、1月の論文発表時には会見する小保方氏の隣に寄り添い、「私が研究者になってから
一番すごい。想定外のインパクト」と持ち上げた。
疑義が深まった後も会見で「STAP現象は有力な仮説」と擁護を続けたが、「不当なバッシン
グに疲れた」などとする遺書を残し8月に52歳で自殺した。
世界初のクローンマウス作製に成功した実績を持ち、小保方氏と二人三脚で細胞の万能性を示す
キメラマウス作製に携わったとされる山梨大の若山照彦教授は19日、「大変重く受け止めてい
る」とコメントを発表した。問題発覚後に体調を崩し、笹井氏の自殺のショックでカウンセリング
を受けるなど、今後の研究への影響が懸念される。
また、ノーベル賞の有力候補者にもあげられる細胞生物学者で、理研発生・再生科学総合研究セ
ンターのトップだった竹市雅俊氏は11月、センターの機能が大幅に縮小されるとともに身を引いた。
◇ ◇
STAP騒動の余波は理研に止まらず、日本の科学研究全体に及ぶと懸念されている。
研究不正の再発防止に向け理研が設置した改革委員会の岸輝雄委員長は6月、「欧州の友人か
ら、『今回の不正は、世界の三大不正の一つとして認知された』というメールをもらった」と会見
で明かした。
日本学術会議は、7月の声明で「わが国の科学研究全体に負のイメージを与える状況が生み出さ
れている」と不信の拡大に懸念を表明した。
米科学誌「サイエンス」は今月、STAP論文の発表と取り下げを今年の科学の失敗「ブレーク
ダウン・オブ・ザ・イヤー」の1つに選んだ。
当初、安全性や作製期間の短さで、人工多能性幹細胞(iPS細胞)より優れた万能細胞との触
れ込みで登場したSTAP細胞。幻となった研究結果の過大な評価や性急な論文作成の背景には、
iPS細胞研究への過度なライバル心があったとも指摘される。
一連の検証実験について、京都大iPS細胞研究所の山中伸弥教授は公の場ではほとんど言及し
ていない。理研が実験結果を公表した19日も沈黙を守ったままだった。
産經新聞:URLリンク(www.sankei.com)