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＜衆院選＞公明、存在感維持探る 平和志向や弱者支援強調
テレビ中継のインタビューを終えて、笑顔で席を立つ公明党の山口那津男代表
＝東京都新宿区の同党本部で２０１４年１２月１４日午後１０時９分、内藤絵美撮影
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衆院選で公明党は３５議席を獲得し、小選挙区制下での過去最高を更新した。自民党は公示前議席と比べ微減で、与党内での
勢力格差は縮小したことになる。ただ、自民党単独で過半数を大きく上回る状況は変わらず、公明党内には「数の力」に頼む政権
運営への懸念が根強い。今後は党の存在感をどう発揮するかを巡り、難しいかじ取りを強いられる局面も予想される。
同党の山口那津男代表は１４日夜、ＮＨＫの番組で「多様な意見を受け止めることができるのが連立政権の良いところだ。数がど
うであれ、謙虚に丁寧に合意形成を進めていきたい」と語り、自民党が独断で政策を進めないようくぎを刺した。
公明党にとって最も政治力を発揮できるのは、自民党の議席数が単独では過半数に足りず、自公両党で過半数を上回る場合だ。
公明党がキャスチングボートを握ることができ、自ら掲げる政策実現に最適な環境となる。しかし、今回の衆院選での自民党の獲得
議席は絶対安定多数の２６６議席を上回り、法案成立などで自民党が公明党に頼る必要はなくなる。
こうした状況を見越し、同党の山口氏は選挙戦で「自公連立によって『数の安定』だけでなく『質の安定』を得られる」との持論を展
開してきた。アベノミクスが大企業優遇と見られていることや、安倍政権の進める安全保障政策の見直しに懸念を持つ有権者に対
し、「国民の多様な声を政治に届けられるのは公明党」と主張し、平和志向や弱者支援の姿勢をアピールした。
山口氏は、昨年の参院選では自民党が数を力に強引な政権運営をしないよう「ブレーキ役を果たす」と主張していた。今回は、
野党の主張と似通うことを嫌って、このフレーズを封印したものの、自民党の独走をけん制する姿勢は堅持。「巨大与党に危惧を持
つ国民も多い。野党や国民の声をくみ取り政策に反映する力が求められている」と訴えた。
来年の通常国会では、集団的自衛権の行使容認を含む安全保障法制の審議が本格化し、憲法改正も現実味を帯びる。山口氏
は１４日夜、インターネット動画サイト「ニコニコ生放送」で「この投票率や国民の多様な意見を謙虚に受け止めなければならない。
国会で慌てずしっかり議論することが大切だ」と語り、慎重に進めるべきだとの考えを示した。
自民党は多くの小選挙区で、２万?３万票の基礎票を持つとされる公明党の支持母体・創価学会の支援を受けている。ただ、今
回の衆院選では、野党第１党の民主党が小選挙区での擁立候補者数を絞ったことから、多くの自民党候補が「独り勝ち」での当選
を果たしたものとみられる。
公明党内には「公明・学会票の『ありがたみ』が薄れ、与党関係にも影響が出るのでは」と懸念の声も出ている。
当面の最重要課題は選挙公約で掲げた、生活必需品の消費税率を低く抑える軽減税率の実現に向けた制度設計となる。しかし、
もともと軽減税率導入に慎重論が根強い自民党との調整は難航しそうだ。
また今回の選挙結果は、民主党が、政権交代可能な政党として支持を得られなかったことを示している。このため「与党の中で政
権をチェックする野党的機能」（山口氏）も担っていくこととなりそうだ。
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