14/11/22 11:04:44.47 0
[東京 21日 ロイター] - 衆院が21日解散された。過去には投開票日まで株価が上昇するケースが多かったが、
今回はその再現を疑問視する声も多い。すでに急ピッチで株価が上昇しているだけでなく、
アベノミクスに対する好感度も、一方的な上げ基調とは言いづらくなっているためだ。
長期安定政権の実現による構造改革や成長戦略の推進が期待されているが、
総選挙後に民間から後押しするムードが強まらないと、改革実現は難しいとの声も出ている。
<株価の過熱感と内閣支持率の低下>
1990年以降、8回の解散のケースでは、解散日から投開票日までの日経平均.N225の騰落は7勝1敗。
平均で約3.6%の上昇率だ。今回も12月14日とみられる投開票日まで、こうした株高アノマリーを期待する強気派もいる。
しかし、今回はその再現は難しいかもしれない。1つはテクニカルやバリュエーションでみた株価水準が高過ぎるためだ。
過去8回のケースにおける日経平均と25日移動平均線との平均かい離率は0.18%のマイナス(移動平均線より株価が下)であり、
株価が上昇しやすい状況だった。それに対し、今回は21日時点で6.3%上方にかい離しており、
過熱感が強い。安倍晋三首相が解散宣言した18日は8.1%もあった
25日移動平均線は徐々に上昇してきており、日が経てば過熱感も和らぐ(日柄調整)とみられるが、
予想PER(株価収益率)でみて、日経平均が16倍、TOPIX.TOPXが17倍を超えるなど、
バリュエーション面でも割高感が漂う水準だ。アベノミクス相場が始まる前に
解散価値の1倍を割り込んでいたPBR(株価純資産倍率)も約1.4─1.5倍まで回復した。
さらにアベノミクスへの支持率が落ちていることも、株高期待を後退させている。朝日新聞の世論調査(19、20日に実施)によると、
安倍内閣の支持率は第2次内閣発足以来最低の39%に低下。一方、不支持率は40%と過去最高を更新し、
初めて支持と不支持が逆転した。消費増税の延期について
「国民に信を問う」という解散理由について「納得しない」が65%%と「納得する」の25%を大きく上回っている
11月第2週までの3週間で日本株を現物、先物合わせて約4.5兆円買い、
株価を押し上げたのは海外投資家だったが「自民党が票を伸ばせないケースを懸念している海外の投資家が、多くなっている」(外銀エコノミスト)という。
<自民勝利でも歓迎ムード高まらない可能性>
自民党が負けるような場合、「デフレ的な政策に戻るおそれがある。それは金融市場にとっても大きなリスクだ」と
SMBC日興証券・シニアマーケットエコノミストの嶋津洋樹氏は警戒する。
ただ、安倍首相が白旗を上げる可能性は低いだろう。安倍首相は今回の勝利ハードルを与党で過半数とした。
衆院の定数は今回から475に5減るため、過半数は238、現在、自民党が295、
公明党で31の合計326を有しているため、議席を88減らしても過半数は維持できる。
それでは低過ぎるということで、絶対安定多数の266にプラスアルファを加えた270が「基準」となる
見通しだと伝えられている。それでも56議席の「余裕」があるため、勝利はほぼ間違いないとの見方が市場では多い。
とはいえ、野党への票が伸びない結果ゆえの、地滑り的な勝利では、市場の期待は高まらないかもしれない。
構造改革、成長戦略の推進には民間の後押しが欠かせないためだ。「規制緩和にしろ、政府がおぜん立てをしても、
民間が動かないことには効果は生まれない」と証券ジャパン・調査情報部次長の野坂晃一氏は警戒する。
<急激な円安が「逆風」に>
一段と進行する円安も、今回は安倍首相にとって逆風となるかもしれない。前回の解散時(2012年11月)、
ドル/円は80円を割り込む水準であり、円高是正によって日本経済が良くなるという姿が描きやすく、国民も受け入れやすかった。
しかし、今回は120円に迫る水準に円安が進行しており、デメリットも懸念されている。
輸入コスト増による身近な物価の上昇は、野党の攻撃材料にされやすい。
内需が回復していた2013年は国内需要も回復していたため、紙・パルプなど円安デメリットを受ける業界も、
値上げによってコスト増を吸収できた。しかし、7─9月期国内総生産(GDP)がマイナスとなったように、
今年4月の消費増税の影響は大きく、現時点で内需は疲弊しており、値上げは難しい。
HSBCの日本担当エコノミスト、デバリエいづみ氏は「消費再増税延期で短期的に日本の経済は良くなるだろう。
しかし、労働市場改革など構造改革は進んでおらず、賃金の上昇につながる経済の好循環メカニズムは、
まだ働いていない。そうした中での円安による物価上昇は批判の対象になりやすく、選挙の結果は依然不透明だ」と述べる。
同社の2016年における日本のGDP成長率見通しは0.9%増にすぎない。
過去の衆院解散のケースでは投開票日までは株価が高いことがほとんどだったが、
実は、投開票日から1カ月後まで見渡すと3勝5敗(1990年以降)となる。
新体制への期待の反動が出ることが多いためだ。今回は、期待先行で株価がすでに上昇しているだけに、反動の動きが早く出るかもしれないことには注意すべきだろう。
URLリンク(jp.reuters.com)
解散後の株高アノマリーに疑問も、改革推進に必須の民間後押し