14/11/19 09:54:04.63 0
ソース(東京新聞・11/19社説) URLリンク(www.tokyo-np.co.jp)
安倍晋三首相が衆院を解散することを表明した。消費税再増税の先送り決断の是非にとどまらず、二年間にわたる「安倍政治」を
問う機会としたい。
二〇〇五年、郵政民営化を掲げて衆院を解散、圧勝した小泉純一郎元首相を意識したのだろうか。
安倍首相がきのう夜、首相官邸で記者会見し、一五年十月に予定されていた消費税率の10%への再増税を一七年四月に延期する
ことを決断し、衆院を二十一日に解散すると表明した。
総選挙は十二月二日公示、十四日投開票の日程で行われる。
◆増税先送りを大義に
税は民主主義の根幹だ。首相の「重い決断をする以上、速やかに国民に信を問うべきだ」との説明も理解できなくはない。
ただ今回は増税ではなく増税先送りの決断だ。消費税増税を決めた当事者である民主党も先送りに賛成で、あえて国民に是か非か
を問うにしては切迫性は乏しい。
政治空白をつくるべきでないとの主張にも一定の説得力はある。
とすれば、首相がこの時期に解散する理由は、むしろ別にあると考えた方がいいのではないか。
九月の内閣改造で入閣した小渕優子前経済産業相と松島みどり前法相が有権者への利益供与疑惑で同じ日に引責辞任した。
ほかにも閣僚の政治資金問題が取り沙汰され、内閣支持率は下落傾向だ。
来年以降、集団的自衛権の行使容認を受けた安全保障法制整備や原発再稼働など、国民の反発が必至の課題が続く。さらなる
支持率低下は避けられまい。
その一方、野党側は選挙態勢を十分整えているとは言い難い。
自民党にとって年内解散の方が議席減を最小限にとどめられる。与党で過半数を維持すれば来年九月の自民党総裁選での再選、
政権延命を確実にできる-首相側はそう考えたのだろう。
◆格差拡大は経済失政
増税先送りという「解散の大義」は政権側の言い分にすぎない。私たち有権者は大義に惑わされず、二年にわたる安倍政治を冷静に
検証し、貴重な一票を投じたい。
まずは、経済政策である。
消費税再増税の先送りは当然としても、そもそも首相の経済政策「アベノミクス」の内側に誤りがあったのではないか。それを継続するか
否かは大きな争点だ。
経営者寄りの政策は企業や富裕層を富ませたが、雇用者の平均年収や正規雇用者数は減り続け、経済格差は拡大している。
経済弱者に冷たい雇用、社会保障政策も、消費活動を支える中間層を細らせた。個人消費に支えられる国内総生産(GDP)が落ち込む
のは当然だ。消費税増税後の反動減対策である五・五兆円の経済対策の効果も十分でなかった。
経済だけではない。
安倍内閣の二年間を振り返ると特定秘密保護法の成立強行や原発再稼働の推進、歴代内閣が積み重ねてきた憲法解釈を、一内閣の
判断で変えた集団的自衛権の行使容認などが、やはり思い浮かぶ。
いずれも国民の反対意見を顧みず、強権的手法で推し進めたものばかりだ。
(>>2以降に続く)