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写真=11月17日、公明党結党50周年記念式典であいさつする安倍首相
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第二次安倍政権は「経済成長」が、その支えである。民主党政権時の2年間をデフレに喘いだ国民が、2012年の衆院選で自民党に
それを期待して政権交代が実現したからだ。
民主党政権時の日経平均の最高値は2010年4月5日の1万1339円30銭。現政権下ではそれを50%も上回っている。その一方で
今年4月に8%にアップされた消費税は、国民生活にずっしりとのしかかっている。
4月の消費税率増税を反映して4~6月期のGDPは年率マイナス7.3%だった。そして17日朝に発表された7~9月期GDPも、年率
マイナス1.6%と低水準だ。これは消費税に加え、8月に広島市で発生した豪雨による土砂災害や9月の御嶽山の噴火など自然災害
が影響したためである。しかしアベノミクスの「威力」を信じた市場予測は平均2.0%と、かなり楽観視していたのである。
■「民間の予想よりはるかに低かった」
17日午前に行われた定例会見で、菅義偉官房長官は経済が深刻化している事実を認めた。当初は12月に発表される修正値を見て、
安倍晋三首相が消費税10%を決断するはずだった。それが前倒しされたのは、修正値になればさらに悪い数字が出る可能性が高いと
考えられたためである。
18日に解散を発表して19日に解散。12月2日に公示され、14日が投開票。これが最も有力視されているスケジュールだ。19日の解散
は天皇陛下のご都合によるという。14日投開票は、23日の天皇誕生日までに議会の構成を決めておかなければならないためだ。
同日に開かれる祝賀会に、三権の長である衆院議長が不在では務まらない。
さて安倍首相が解散に踏み切るのは、消費税増税を先延ばしするためだ。あえて景気条項を使わないのは、「アベノミクスは失敗した」
との批判を避けるためでもある。さらにこの時期に解散総選挙しないと、獲得する議席数が激減するかもしれないという危惧もある。
だがいま解散して本当に勝ち目はあるのか。これまでの消費税の導入時および税率アップ時を見ると、与党が苦戦する歴史しか出て
こない。
■与党が負けるジンクス
日本で消費税が導入されたのは、竹下内閣時の1989年4月だった。その3か月後に参院選が行われたが、マドンナ旋風で土井たか子氏
が率いる社会党が45議席と躍進したのに対し、自民党が獲得したのは33議席減の36議席で、大惨敗という結果だった。
この時は消費税の他、リクルート問題や宇野宗佑首相の女性スキャンダルも災いした。参院選の直前に行われた東京都議選でも、
自民党は20議席を失っている。
橋本龍太郎政権はその高支持率を頼みとして、1997年4月に消費税を3%から5%に上昇させた。しかし同年に勃発したアジア危機や
住専問題などの不良債権問題で経済が思わしくない上、所得減税打ち切り2兆円分と医療費自己負担増2兆円分が国民に重く
のしかかった。翌1998年の参院選では、自民党は65議席から44議席と21議席も減らしている。思惑が外れて選対本部で不機嫌そうに
タバコをふかす橋本氏の顔が、テレビ画面に大写しされた。その18日後、橋本氏は責任をとって退陣した。
このように増税は政権の命を縮めてしまう。それを一番知っていたのは小泉純一郎氏だろう。小泉氏も橋本氏と同様に高支持率を
誇ったため、それを背景に消費税率をアップするように圧力を受けていた。だが「私の任期中は上げない」と頑としてそれに応じなかった
のである。
そのおかげで小泉氏は5年5カ月もの長期政権を謳歌し、日本の政治史に名を留めることになった。安倍首相も長期政権を目指し、
それゆえ賭けに出たのだろう。幸いにして、野党も、いまのところ、自民党の敵としては弱すぎる。ただそれが吉と出るか凶と出るか。
1カ月後には情勢ががらりと変わる可能性も否定できない。
ソース(東洋経済) URLリンク(toyokeizai.net)