14/11/09 20:39:48.68 0
ソース(BLOGOS、ノンフィクション作家・門田隆将氏)
URLリンク(blogos.com)
中国の“力の戦略”に、ついに日本は屈した。APEC(アジア太平洋経済協力会議)を前にして日中両政府が11月7日に発表した
文書について、私は、「ああ、日本はやってはいけないことをしてしまった」と思った。
第一報を聞いた時、正直、耳を疑った。それが、尖閣諸島(中国名・釣魚島)問題に関して「(日中双方が)異なる見解を有している」
ことで「一致した」というものだったからだ。
中国問題に多少でも関心がある人間なら、「まさか」と誰しもが思ったに違いない。日本政府は、これまで一貫して尖閣について、
「日本固有の領土であり、領土問題は存在しない」という立場をとっていたからだ。
今回、日中両国が4項目で合意した文面の中で問題の部分(第3項目)を読んでみると、「双方は、尖閣諸島など東シナ海の海域で
近年緊張状態が生じていることに異なる見解を有していると認識し、対話と協議を通じて、情勢の悪化を防ぐとともに、危機管理
メカニズムを構築し、不測の事態の発生を回避することで、意見の一致を見た」というものである。
日本側から見れば、至極当然の文言で、なんら目くじらを立てるものではないように思える。だが、私には、冒頭のように
「ああ、してやられた」としか思えなかった。たしかにこの文章では、尖閣諸島など東シナ海の海域において「“領土問題”が存在する」
とは言っていない。
しかし、あの中国共産党相手に、これはいかにもまずい。今後、中国は、この文言をタテに「尖閣(釣魚島)の領有を中国は一貫して
主張してきた」という基本姿勢を強く打ち出すだろう。
中国の論理では、日本が「異なる見解」を有していることを「認識」したというのは、すなわち「領有権を中国が主張していること」を
日本側が認めたことになる。今後、日本側からいくら「領土問題は存在しない」と言っても、中国側から言えば、「おまえは“異なる意見”
があることを認識していたではないか」となるからだ。
さらに問題なのは、後段の「対話と協議を通じて、危機管理メカニズムを構築し、不測の事態を回避する」という見解である。これは、
尖閣に対して延々とおこなってきた中国による“示威行動”がついに功を奏したことを意味している。なぜなら、「不測の事態を回避する」
というところまで「日本を“譲歩”させた」ことになるからだ。
中国にとって、これで尖閣問題は、フィリピンやベトナムが頭を悩ませる西沙(パラセル)諸島や南沙(スプラトリー)諸島と、同じレベル
の問題まで「引き上げること」に成功したと言える。
言うまでもなく中国にとっては、「自国が領有権を主張している」海域に公船を派遣しようが、民間の漁船が出向いていこうが、
「日本とは“見解が異なる”のだから当然」ということになる。
なんでも都合よく解釈して、あとは“力攻め”で来る中国共産党にとっては、願ってもない「成果を得た」ことになる。本日、外国記者たち
との会見に出てきた王毅外相の抑えようのない「笑み」がすべて物語っている。
私が疑問に思ったのは、日本は、「前提条件なしの首脳会談」を求めていたはずなのに、なぜこんな譲歩をしてしまったのか、という
ことだ。そして、日本はこれで「何を得たのか」ということである。
中国の首脳とそこまでして「会談しなければならない」理由はいったい何なのか。APECのホスト国である中国で、なぜ、日本は
首脳会談を実現しなければならなかったのだろうか。
(>>2以降に続く)
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