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ソース（IZA） URLﾘﾝｸ(www.iza.ne.jp)
「サラリーマンは『仕事の奴隷』。沈没船に乗っているのと同じだ」－。大学生たちが自らの将来を切り開こうと、次々に手を
出したのは代金５０万円の「占い講座」だった。自己啓発に向けた投資名目をうたい、高額で実態のない占い講座の受講契約
を締結させたなどとして、被害当時いずれも関西大の学生だった５人が運営会社側に損害賠償を求めた訴訟で、大阪地裁は
９月、請求全額の支払いを命じる判決を言い渡した。古典的ともいえる悪質商法に、学生らはなぜ飛びついたのか。将来に
苦悩する現代の若者の姿が訴訟から浮かび上がる。
■「人間力」高める占い？
「企業の社長が参加する飲み会がある。来ないか」。判決などによると、関西大システム理工学部の４年生だった男性が
トラブルに巻き込まれたきっかけは平成２３年夏、高校の同級生から受けた一本の電話だった。
サークル活動なども忙しく、男性は２～３回は誘いを断ったが、同年冬に再び誘いを受けた。約束の場所で会った同級生が
かつてと違い、生き生きと将来の夢を語る姿に衝撃を受けた。
「自分が成長できたのは、起業家とかかわっているから。起業家を育てているオーナーらとの人間関係のおかげだ」
同級生の話に「自分もそのグループとかかわりたい」と伝えると、関大卒業生を名乗る１人の男を紹介された。経済が急成長
するインドでの体験を語り、「今の日本には夢を追う人が少ない」「ネパールに本を１万冊寄贈することが夢」と熱弁する姿に
魅了された。
「自分の壁を越えて、人間的に成長したい」と相談すると、男は「成長するための大きな壁を与えてあげる。壁を越えると
間違いなく人間的に成長できる」と応じた。そして紹介されたのが、「人間力を高める」ための占い講座と、「経済力をつける」
ための外国為替証拠金取引（ＦＸ）。占い講座の受講料とＦＸ自動売買ソフトの代金は、それぞれ５２万５千円だった。
「（合計）１０５万円は自分への投資。お金持ちはみな自分に投資して成功している」。そう強調する男の横で、同席した
同級生が「自分も１００万円を投資した」と後押しした。男は男性に、消費者金融から資金を借り入れる方法を伝え、男性は
言われるままに頭金８０万円を用意。占い講座の運営会社側に渡した。
■親友にも借金背負わせ
実際には、占い講座は毎回異なる講師と喫茶店などで落ち合い、占い理論が記されたノートを書き写す程度の内容だった。
ＦＸソフトは一度も使用することがなかった。それでも、東京や大阪で実施されるセミナーや飲み会では、運営会社幹部らが
「人生の成功」について熱弁をふるい、１回に５０～１００人が集まる盛況ぶりを目の当たりにした。男性は「自分の壁を越える」
ことを信じ、活動にのめり込んでいった。
契約から２カ月余りが過ぎた２４年３月には、関大経済学部３年生だった親友をグループ内の「起業家」の男に引き合わせた。
男性は親友に対し、かつて自分が説明を受けたように「サラリーマンをしても沈没船に乗っているのと同じだ。抜け出すため
には人間力と経済力が必要」と強調。男とともに、占い講座などを受講するよう３時間にわたり説得を続けた結果、親友も
消費者金融から１０５万円を借り入れて契約した。
（>>2以降に続く）