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先日の中教審の答申で、道徳の「特別教科」化が事実上決定した。
現在「教科外活動」である道徳が格上げされて成績評価対象となり、検定教科書も導入されるという。
いよいよ安倍首相の宿願である愛国教育、いや、国民総ネトウヨ化教育が本格化するわけで、きっとその中身はツッコミどころ満載のものになるはずだ。
いや、すでにその兆候は現れているといっていいだろう。今年4月から道徳教育の教科化をにらんで、
文部科学省が『私たちの道徳』なるタイトルの教科書を小中学校に配布しているのだが、その中学生版に、
あの曽野綾子が「誠実」のお手本として登場しているのだ。
曽野といえば本業は小説家だが、クリスチャンとしてボランティア活動にも取り組んでおり、
1995年から2005年までは日本財団会長として途上国支援に飛び回っていたことがしばしばクローズアップされる。
だが一方で、彼女は極端な保守エリート主義、しかも大衆侮蔑思想の持ち主としても有名で、これまで差別的な発言を何度も口にしてきた。
昨夏、「週刊現代」(13年8月31日号/講談社)に寄稿した
「甘ったれた女性社員たちへ〜私の違和感 出産したらお辞めなさい」という一文だろう。
「最近、マタニティ・ハラスメントという言葉をよく耳にするようになりました。マタハラとかセクハラとか、汚い表現ですね。
妊娠・出産した女性社員に対する嫌がらせやいじめを指す言葉ですが、この問題に対し、企業側は、
反対意見を言えないよう言論を封じ込められているようです。(中略)彼女たちは会社に産休制度を要求なさる。
しかし、あれは会社にしてみれば、本当に迷惑千万な制度だと思いますよ」
この時代に出産したら会社を辞めろ!と説教をぶち、法律で保障されている制度を「迷惑千万」と切り捨てる。
怒りを通り越していっそすがすがしくなるくらいの反動ぶりだが、しかし、安倍政権って「女性が輝く社会」と銘打って、
働きながら子どもを育てることのできる社会の実現を支援しているんじゃなかったけ?
それが道徳教育ではこんな人を教科書に載せているのである。有村治子や山谷えり子を閣僚に抜擢するような政権だからって、これはいくらなんでも……。
しかも、曽野センセイはたんに保守的な「女性は家庭に入れ」論をぶっているだけではない。
実はセンセイには一人息子がいるのだが、その育児経験について別の著書でこんな発言をしているのだ。
「結婚して三年目に長男が生まれたんですが、小説を書くことと子育てというのは、両立がものすごく大変だった。
ところが、両親が離婚して、母親が私の家にいたわけですね。だから、最初から計算したわけでもなかったんですが、
子どもが生まれたら、母が面倒を見てくれる」(曽野綾子×三浦朱門『夫婦のルール』講談社)
これを受けて、夫の三浦朱門氏も悪びれることなく、曽野が全く育児をしていなかったことを証言する。
「私たちは二人とも忙しかったですからね。夫婦二人では、とてもこまめには面倒がみられなかった。息子は彼女の母親が育てたようなものですね」
つまり、自分自身は息子の世話を実母に丸投げしておいて、働く女性たちには「出産したらお辞めなさい」
と説教していたというわけだ。なんという巨大なブーメラン。もしかしたら、安倍政権は自分には甘く他人にはとことん
厳しくすることを新しい時代の「誠実」と位置づけたいのか。あるいは、これからの厳しい国際社会を生き抜くために
「自分のことを棚上げする技術」を教えようとしているのだろうか。
そんな曽野綾子だが、うってかわって優しい一面を見せることもある。『人間の基本』という著書で、曽野はこんなエピソードを明かす。
「以前、大手銀行に勤める知人が『本社の地下にプールを作って、女子行員とのふれあいの場を作るのが
僕のプロジェクトなんです』と言うのを聞いて思わず笑ってしまったことがあります」(『人間の基本』新潮新書)
当然、この後は苦笑しながら「女子行員はあなたの接待要員ではないのよ」とたしなめ、
最近の銀行員の品位のなさを嘆くのだろうと予想していたら、さにあらず。曽野はこの水着の女性行員をはべらしたいと夢想する銀行員の台詞をこう評するのだ。
「彼が頭脳も家柄も抜群なのに絶対に偉ぶらない、都会的なセンスを持った方だからこそ通じる、上等のジョーク」
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(参考)道徳本に登場する主な人物と狙い 朝日新聞デジタルより引用
URLリンク(www.asahicom.jp)