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診察偽装:患者を「職員」 法人理事長、逮捕へ 奈良
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毎日新聞【伊澤拓也、芝村侑美、矢追健介】 2014年10月24日 17時00分
架空の診療書類を作って診療報酬を不正受給した疑いが強まったとして、奈
良県警は２４日、奈良市の医療法人の理事長（５４）を詐欺容疑で逮捕する方
針を固めた。県警は、医療法人が運営する同県橿原市の精神科クリニックの患
者らを法人グループの職員として採用し、その職員らを診療したように装って
報酬を架空請求する手口を繰り返したとみている。
この医療法人を巡っては、内部告発を受けた橿原市が調査で不正を確認し、
２０１２年１１月に詐欺容疑で刑事告発していた。
捜査関係者によると、精神科医でもある理事長は、医療法人の職員らを診察
したように偽装。医療費を集めている「社会保険診療報酬支払基金」などに架
空の診療報酬明細書（レセプト）を提出し、数百万円の診療報酬をだまし取っ
た疑いがあるとしている。
この職員らは、法人が運営する橿原市のクリニック（閉院）に通院していた
患者たちで、法人監査の際に口裏合わせなど隠蔽（いんぺい）工作をしやすい
よう採用したうえで、継続的に不正受給していたとみられる。
クリニックは年間に数億円の診療報酬を請求。押収資料などから、県警は１
０年前後から架空請求を行っていたとみている。１３年１０月にクリニックと
理事長の自宅を家宅捜索し、カルテなどを押収し、裏付け捜査を進めてきた。
法人登記などによると、この医療法人は１９９８年３月設立。同じ名前の社
団法人もあり、奈良、三重両県で自立支援訓練などの福祉サービスを行う事業
所６カ所を運営していた。
調査をした橿原市は、刑事告発をするとともに奈良県にも報告。奈良県は１
３年３～４月、この法人グループが行った福祉サービスに対し支払われた自立
支援給付費約１７０万円と、通院治療に支払われた自立支援医療費約１００万
円は不正受給に当たると判断し、それぞれ指定医療機関・事業者の取り消し処
分をした。