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一連の問題は、朝日新聞一社の不祥事にとどまらず、新聞業界、
ひいてはジャーナリズム全体に、大きな影を落としています。
その一つが、人々の新聞離れの加速。近年、新聞を購読しない人は増えています。
長年の朝日読者の中にも、今回のことで、新聞をとることをやめた人が出ているようです。
この機に乗じて読者を奪い合う新聞業界の様子に、うんざりした人も少なくないでしょう。
その果てに新聞が滅んでも、それに代わる報道機関があれば、構いません。
しかし、ネットのニュースも、多くは新聞や通信社の配信です。
日本のテレビニュースは時間が限られ、伝えられる項目はそれほど多くありません。
紙媒体にこだわる必要はありませんが、なるべく多くの情報を、できるだけ正確に、
広く伝えるという新聞の機能は、これからも大切なものです。
しかも、社会で起きている物事に、いろいろな方向から光を当て、多様な物の見方や意見が
提供される機会が必要です。そのためには、力量が拮抗(きっこう)した新聞が
複数併存していることが望ましい、と私は思います。だからこそ、朝日新聞には、
まっとうで信頼される報道・言論機関として立ち直って欲しいのです。
朝日新聞には、多様な言論を紹介するという優れた伝統があります。
その一方で、新聞にとっての生命線である、事実をできる限り正確に、可能な限り迅速に伝える、
という機能に重大な問題があることが、あらわになりました。組織の中に、相当な
(しかも報道機関としては致命的な)不具合が生じている、と見るべきでしょう。
その不具合は、どこに、どれだけ存在し、取り除いたり改善したりするにはどうするべきか。
この委員会は、それを議論する場と受け止めています。
すでに、社員たちの話は聞き始めています。自分たちで問題を解決し、出直そうという声には、
再生への希望を感じます。他方、いまだに問題が認識できていないのでは、と落胆させられる場面もあり、
再生への道は平坦(へいたん)ではなさそうです。
私自身も失敗の多い人間ですが、役目を引き受けた以上、「外の目」から見て気づいたことを、
精いっぱい指摘していきます。10年後、20年後に、朝日新聞が、日本の新聞界が、
そしてジャーナリズム全体が、「今回の問題を乗り越えて、前よりよくなった」と
振り返ることができるよう、微力を尽くしていくつもりです。(寄稿)
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