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東京の中小企業や町工場が消費税増税後の景気回復の遅れに苦しんでいる。
円安の加速で輸入品を中心に食料品などは値上がり。消費者も悲鳴を上げる。
一方で金融緩和でだぶつくお金は株式市場に流れ、株を持つ人の宝石や高級時計
の消費は回復傾向だ。日銀が一日に発表した九月の企業短期経済観測調査(短観)も
「大企業の景況感は堅調、中小は悪化」の結果となり、景気認識の格差が開いた。
「都の景気」はどうなっているのか。東京の街を歩いた。 (景気取材班)
大田区の町工場。あちこちから金属を削ったり磨いたりする音が聞こえてくる。
だが二次や三次の下請けでカメラ部品などを加工する町工場の社長(72)の表情は暗い。
「景気回復というが、ひ孫請けの町工場まで恩恵は来ない。もうかっているのは大手だけだ」
仕事は増えず資金繰りは厳しいまま。金融機関からは高齢を理由に融資を断られ、
生命保険を解約し事業を続ける。「腕に自信はあるが、今年いっぱい持つか。瀬戸際だ」と嘆いた。
工作機械の金属部品を加工する「神代(かみしろ)工業」の皆方一義(みなかたかずよし)社長(55)も
「景気回復の実感はあまりない」。公共事業の増加で、橋や高速道路の工事に使う
工具部品の発注は増えたが、それ以外の仕事は減り「全体ではマイナスだ」と話す。
中小企業に景気回復の実感がない中「どうやったら貸し出しを増やせるのか」と、
都内の信用金庫の融資担当役員は頭を抱える。融資先の工場の設備は老朽化。
ギリギリまで追い詰められ、お金を借りて買い替える企業はあるが、
前向きな投資をするのは一握りの企業だけだ。「力尽きる企業も出てきている」と打ち明けた。
百八十軒の商店が立ち並ぶ北区の十条銀座商店街。一角にある「チヒロ靴店」
は閑散としていた。「好材料は何もない」と店主の遠藤誉大(よしひろ)さん(44)。
高齢者らが週に三~四人、ボロボロの靴を履いて来店するが「一足しか持っていないから買いに来る。
靴にお金を使う余裕がなくなっている」。一日の東京市場では円安が進行
。約六年一カ月ぶりに一ドル=一一〇円台をつけた。輸入品の仕入れ値の上昇を心配する店主も多い。
対照的に高額消費の現場では消費意欲は戻っている。三越日本橋本店では
八月、毎年恒例の高級腕時計の展示即売会で三百万円以上の商品の
売り上げが前年比で約10%伸びた。担当者は「高級品の購入層にとって
増税は購買をあきらめる理由になっていない」。松屋銀座も「四十歳代の女性経営者や医師、
弁護士など、主軸となる顧客層には株高の恩恵が出ているようだ」と話す。
安倍晋三首相は今国会の所信表明演説で
「景気回復の実感を全国津々浦々に届けることが内閣の大きな使命」と力を込めた。
だが、「実感」はまだ「津々浦々」まで届いていないようだ。十条銀座商店街の衣料店主は
「アベノミクスは大企業や金持ちには心地良いが庶民には厳しい。店では千円のブラウスとか安い物しか売れない」と嘆いた
URLリンク(www.tokyo-np.co.jp)
景気回復 遠い街角 「下請けには恩恵ない」