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東京外国為替市場で10月1日、円安が加速し一時1ドル110円台をつけた。
110円台はリーマン・ショック前の2008年8月25日以来、実に6年1カ月ぶりの数字だ。
市場ではこのまま110円台時代に突入するとの観測も出ている。こうした中、日本商工会議所の三村明夫会頭は
1日午後に記者会見を開き、円安で「不利益になる企業が増えてきた」と力説した。
■円安は地方経済や中小企業に深刻な影響
安倍晋三首相も急激に進む円安に対して9月23日、
「プラスもマイナスもある。燃料代などが高騰しており、地方経済や中小企業に与える影響をしっかり注視していきたい」
と語ったばかりだ。もはや輸出を主体とした大企業製造業にメリットがあるとばかりに手放しでは喜べない状況になってきた。
しかも、今回の円安は日本の金融政策やアベノミクスの効果でもたらされたものではない。米国の雇用が改善し、
自動車をはじめとする消費が米国において改善したことを受けたドル買いがベースの円安だからだ。
日本銀行が10月1日午前に発表した企業短期経済観測調査(日銀短観)でも、企業の景況感を表す業況判断指数(DI)が、
大企業・製造業はプラス13と前回6月調査から1ポイント改善したものの、大企業・非製造業は6ポイント悪化し、
プラス13になった。中小企業では、製造業が前回を2ポイント下回ってマイナス1ポイント、
非製造業も前回を2ポイント下回って0ポイントと、いずれも2期連続の悪化だ。
こうした状況で、来年10月に消費税を10%に引き上げることはできるのか?
■実体経済が低迷している事実は否定できない
金融シンクタンクRPテック代表の倉都康行氏は、「(今年4月の)消費税増税の影響は限定的だと言い続けてきた日本政府も、
流石に実体経済が低迷している事実を否定できなくなってきた」と指摘する。
内閣府は9月8日、4-6月期の実質国内総生産(GDP)成長率を前期比年率6.8%減から7.1%減へ下方修正した。
年率15.0%減となったリーマン・ショック後の2009年1-3月期以来の落ち込みという深刻な状況だ。
さらに日銀は今年に入って今年度の成長見通しを3回下方修正しており、4回目の下方修正は時間の問題と見られている。
「政府・日銀の説明には『低迷の主因は天候不順』との釈明が常に付随しているが、世界経済の動向を見誤ったことも認めるべきだろう」
と倉都氏は強調する。日本経済は、国内の消費不振だけでなく外需低迷というリスクにも晒され続けているというのだ。
第一生命経済研究所経済調査部主席エコノミストの永濱利廣氏は「今回はヘッドラインの数字がこれだけ落ちているにもかかわらず、
民間在庫品増加と外需が大幅に押し上げていることには注意が必要」という。GDPから在庫品増加をのぞいた最終需要で見れば、
年率12.6%のマイナス成長となり、さらにそこから外需をのぞいた国内最終需要で見れば同16.9%のマイナス成長となるわけだ。
■国内経済はピークアウトしたとの見方も
第一生命経済研究所の永濱氏は「1~3月期に消費税率引き上げに伴う駆け込み需要で同6.0%のプラス成長を記録した後の
反動の要因が大きいとする向きもあるが、1~6月期で均しても前年7~12月期から年率1.0%成長にとどまっており、
経済成長の勢いが弱まっていると評価せざるを得ない」と続ける。
「中でも、個人消費は実質で前期比5.1%減と7四半期ぶりのマイナスとなり、落ち込み幅は現在の統計で遡れる94年以降で最大となった。
駆け込み需要とその反動を均すために今年1~6月期と昨年7~12月期を比較しても前期比0.4%減となっている」というのだ。
永濱氏がみるように、デフレ脱却道半ばの日本経済に3%の消費税率引き上げ幅は影響が大きかった、といえるだろう。
経営コンサルタントの小宮一慶氏は、「異次元緩和の金融的な効果のピークは、すでに大分前に過ぎている」と指摘する。
日銀が異次元緩和によって急速に増やしているマネタリーベースは、前年比40%台と大きな伸びになっているが、市中に出回っている通貨量を
示すM3の増加率は、今年1月の前年比3.5%をピークに徐々に落ち始めいるからだ。
13年12月まで伸びていた銀行計貸出残高も、今年8月には同2.3%(速報値)まで伸びが小さくなっている。
小宮氏は「今回の景気上昇は、踊り場からピークアウトした可能性が高い」と見る。
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