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再生可能エネルギーの比率20%超へ、早くも2030年の目標に近づく
政府が2014年4月に策定した「エネルギー基本計画」では、将来の電源構成(エネルギー
ミックス)を具体的な数値では示さなかった。原子力発電所の再稼働を見通せないことが
最大の理由だが、再生可能エネルギーについては「これまでのエネルギー基本計画を
踏まえて示した水準を更に上回る水準の導入を目指す」と表現している。
過去に示した水準の1つが2010年に策定した「2030年のエネルギー需給の姿」である。
資源エネルギー庁が固定価格買取制度の最新状況(2014年5月末時点)をもとに集計した
ところ、すでに認定を受けた発電設備がすべて運転を開始すると、2030年の目標値を
上回る状況になっている)。
「2030年のエネルギー需給の姿」では、バイオマス・廃棄物発電を除く4種類の再生可能
エネルギーの合計で1億2025万kWを見込んでいた。それに対して2014年5月末までに
認定を受けた発電設備を含む最新の導入容量は1億2995万kWになっている。このうち太陽光
発電は7431万kWで、2030年の目標である5300万kWを大幅に上回った。
さらにすべての発電設備が運転を開始した場合の発電電力量を試算すると、2030年の
目標値2140万kWhの94%に相当する2018万kWhに達した。太陽光発電がすでに目標を
超えているほか、バイオマス・廃棄物発電も目標を突破している。
この結果、国全体の発電電力量に占める再生可能エネルギーの比率は20%を超える。
東日本大震災の影響から国全体の発電電力量が2010年時点の想定よりも低下しているためで、
その分だけ再生可能エネルギーの比率が高くなる。実際に2013年度の発電電力量は1億kWhを
割り込んでいる。
政府が2010年に描いた「2030年のエネルギー需給の姿」は発電電力量の約70%を再生可能
エネルギーと原子力で供給するシナリオになっていた。CO2を排出しないゼロ・エミッションの
電源比率を高める狙いからだ。
しかし2014年のエネルギー基本計画の中で「原発依存度については可能な限り低減させる」と
明記したことから、2030年の発電電力量のうち原子力が全体の50%を占めるような目標は
現実的ではなくなった。
その一方で再生可能エネルギーの発電設備にも問題がないわけではない。固定価格買取制度の
認定を受けた設備がすべて運転できる状況にはなっておらず、特に太陽光発電は認定を受けながらも
実現できない案件が増えている。経済産業省が出力400kW以上の太陽光発電設備を対象に実施した
報告徴収・聴聞の結果、2012年度に認定を受けた設備のうち1割近くが運転を断念した。
今後さらに運転を断念する発電設備が増えていくことは十分に想定できる。それでも再生可能
エネルギー全体で見れば影響度は小さく、これから3年程度のあいだに運転を開始する発電設備を
合わせれば2030年の目標値に到達することは確実な情勢だ。
石田雅也,
スマートジャパン 2014年09月17日 13時00分 更新
URLリンク(www.itmedia.co.jp)
※図は省略。ソースからご確認下さい