14/09/12 11:02:24.31 bm/2hUsG0
●手塚治虫が亡くなったときの宮崎駿の追悼文
●宮崎駿の追悼文
<手塚さんの特集だそうですが、悼む大合唱はたくさんあるだろうから、
それに声を揃えて一緒に大合唱する気は、ぼくはないです。(中略)
アニメーションに対して彼がやった事は何も評価できない。虫プロの仕事も、
ぼくは好きじゃない。好きじゃないだけでなくおかしいと思います。
いちいちそれを言葉に挙げていうのはしんどいから言いませんが
『展覧会の絵』(`66・11)も、何だこの映画と思ってみていた。
『クレオパトラ』(`70・9)も、ラストで「ローマよ帰れ」と言うあたりに嫌味を感じました。
それまでさんざん濡れ場ばかり一生懸命やってて、何が最後に
「ローマよ帰れ」だと思って、その辺に手塚さんの虚栄心の破綻を感じたんです。
一時彼が「これからはリミテッドのアニメーションだ。
三コマがいい三コマがいい」とさかんに言ってましたが、
リミテッドアニメーションは三コマという意味ではないですし、
その後言を翻して「やっぱりフルアニメーションだ」とあちこちで喋るに至って、
フルアニメーションの意味を知らずに言ってるんだと思ってみてました。
同じようにロートスコープをあわてて買い込んだ時にも、もうぼくらは失笑しただけです。
自分が義太夫を習っているからと、店子を集めてムリやり聞かせる
長屋の大屋の落語がありますけど、手塚さんのアニメーションはそれと同じものでした。
昭和38年に彼は、一本50万円という安価で日本初のテレビアニメ
『鉄腕アトム』を始めました。その前例のおかげで、
以後アニメの制作費が常に安いという弊害が生まれました。(中略)
アニメーションに関しては--これだけはぼくが言う権利と幾ばくかの義務があると思うので
言いますが--これまで手塚さんが喋ってきたこととか主張したことというのは、
みんな間違いです。(後略)>