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ソース(毎日新聞) URLリンク(mainichi.jp)
新潟県三条市は「和食に合わない」などとして12月以降、牛乳を外す学校給食を試行する。この異例の試みへの反響は大きく、
京都市でも同様の論議が起きているほか、ネット上では牛乳の「悪影響」をめぐる情報が飛び交い、日本の食文化論にまで発展
している。給食に牛乳は必須なのか。
◇ご飯に合わず、代替は可能 長谷川正二・新潟県三条市教育長
写真=長谷川正二 新潟県三条市教育長
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子育て世代以上の多くが、学校給食と聞くと「パンと牛乳」のイメージを持つのではないだろうか。「給食=パンと牛乳」だ。牛乳は
給食と切っても切れない関係である。しかし、1970年代に導入された米飯給食は、徐々にその回数が増え、現在全国平均で週3回
を超えた。
三条市では毎日例外なく米飯給食を提供している。主菜にはコロッケもハンバーグもあるが、基本はご飯、汁物、主菜、副菜のそろう
「お膳のかたち」だ。子供たちの生涯にわたる健康的な食習慣の定着を目指すからである。日本人の米消費の激減と、増え続ける
生活習慣病が、完全米飯給食への転換を後押しした。使用する米にもこだわる。農薬や化学肥料を半量以下に抑えた特別栽培
(その2割は有機栽培)の地元産コシヒカリを7割精米(胚芽やぬかを残す)にしている。
このような背景の下、保護者や関係者から「ご飯に牛乳は合わない!」「子供たちの食育としてどうなのか?」という声が上がった。
文部科学省の定める給食のカルシウム摂取基準は高く、牛乳を外して簡単に補える値ではない。そこで2007年、牛乳を給食と分離
して、休み時間などに飲ませる試みを行った。学校からは不評だった。忙しい学校運営の中で、給食が2回あるのと同じである。
牛乳問題は一時棚上げとなった。
昨冬、和食がユネスコの無形文化遺産に登録された。三条市の給食は和食を次世代につなぐ取り組みとして評価され、農林水産省
の和食ガイドブックに紹介された。同じ頃、消費税増税による給食費の値上げが課題となった。議論の結果、今年12月から年度末まで
牛乳を停止し、その経費で増税分を補い、合わせて「牛乳を外した給食」にチャレンジしてみようという決定に至ったのである。
牛乳を外すことで不足する栄養価は、主食であるご飯の増量(大きなひと口分ほど)、魚や肉も少し大きな切り身にすることで補う。
副菜も増量し、特に大豆製品、ごま、海藻、緑の葉野菜、小魚等を活用したいと考えている。中でも切り札的存在は「煮干し粉」だ。
これまではだしをとると捨てていた物を食べてしまうというものである。煮干し粉は意外と安価で味にも深みが増す。
ここで誤解のないように言えば、牛乳や乳製品が悪いと考えているわけではない。デザートにはヨーグルトなどの提供もある。調理用
としての牛乳や乳製品の活用はもちろんである。合わせて、家庭でのカルシウムやビタミン補給のために牛乳を飲むなど食生活の見直し
も啓発する。
少し視点を変えると、学校給食の回数は年間190回前後。1年間の食事のわずか17%程度に過ぎず、残り83%は家庭における
食事だ。給食は集団の食事なので子供たちの食習慣に与える影響は大きいが、本当に重要なのは家庭食であることを、改めて感じる。
この試行に対するテレビ取材や新聞報道等、全国的な反響の大きさに驚かされた。この件に関する「市長へのたより」も大半が
県外からのものである。一方で三条市民は冷静だ。理由は10年以上も学校給食を柱に食育を進めてきた地域性にあると考える。
この試行が「給食には牛乳」という固定観念を再考し、「世界の和食」を国民が取り戻す一助になればうれしい。(寄稿)
(>>2以降に続く)
※記者が全文閲覧できることを確認済…9/6 00:14