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安倍晋三首相の経済政策のブレーンで内閣官房参与の本田悦朗・静岡県立大教授は27日、共同通信のインタビューに応じ、
消費税率を予定通り2015年10月に10%へ引き上げることは「難しいのではないか」と慎重な見方を明らかにした。
今年4月に消費税率を8%に上げた後の景気の落ち込みを踏まえ、再増税は「リスクが大きい」と懸念を表明。「7~9月の
(経済統計の)数字を見たい」としながらも、経済の情勢次第で、実施時期を半年か1年半程度延期することも検討すべきだと
指摘した。
首相は10%への再増税の是非を今年12月に判断する方針で、本田氏の慎重姿勢が影響を与える可能性がある。
本田氏は最近の景気に関し「非常に厳しい状況が続いている。消費と設備投資の落ち込みが激しい」との認識を示した。その上で、
4月に消費税率を8%に上げてから再増税判断までの期間が短すぎるとし「2回目の増税によって相当消費マインドが落ち込んで
しまう」と語った。
消費税の再増税には、デフレ脱却にめどがつき、経済が安定することが必要だと強調。こうした環境が整うと期待され、予算年度の
始まる月でもある16年4月か17年4月に実施時期を遅らせる案を選択肢に挙げた。
増税を延期しても「(財政再建に向けた)説明責任を国際社会に果たせば国債の信認が傷つくことはあり得ない」と述べ、国債が
売られて金利が急騰するとの懸念は当たらないとした。
仮に来年10月に予定通り増税する場合は「(経済対策を実施する)補正予算と(日銀の)一層の金融緩和が必要になる可能性が
ある」と語った。
◎景気「非常に厳しい」 本田悦朗・内閣官房参与
本田悦朗内閣官房参与の主な発言は次の通り。
―4月の消費税増税後の景気認識は。
「非常に厳しい状況が続いている。消費と設備投資の落ち込みが激しかった。7月以降の消費回復は遅い。広島などの災害で
消費者心理は悪くなっているのではないか」
―来年10月に消費税率を10%へ再増税する予定になっている。
「足元で起きていることを考えると10%に上げるリスクは大きい。7~9月の経済統計を見ないと自信を持って言えないが(予定通り
の実施は)難しいのではないか」
―延期する場合は。
「インフレ率が2%程度で安定する状態が続けば賃金も伸びてくる。2016年4月か17年4月には増税できる状態が整っているのではないか」
―延期すれば財政再建を懸念する見方もある。
「(政府が再増税計画などの)説明責任を果たせば、国債の信認が傷つくという心配は払拭(ふっしょく)できると思う」
―予定通り増税する場合の政策対応は。
「補正予算(による経済対策)と、一層の日銀の金融緩和が必要になる可能性がある」
―消費税率を5%から8%へ上げたのと、10%へさらに上げるのとではどちらが難しいか。
「今回(10%)の方が(経済への影響は)大きい。今年4月に増税し、(さらに10%に上げる)決断が12月というのは間隔が非常に短い。
2回目の増税で消費者心理が相当落ち込む気がする」
◎本田悦朗氏の略歴
本田 悦朗氏(ほんだ・えつろう)東大卒。78年大蔵省(現財務省)。四国財務局長、政策評価審議官などを経て12年4月から
静岡県立大教授。安倍晋三首相と親交が深く、12年12月の第2次安倍政権発足に伴い内閣官房参与に就いた。日銀総裁人事や
消費税率8%への引き上げ時にも首相に助言した。59歳。和歌山県出身。
ソース(共同通信) URLリンク(www.47news.jp)