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Wam(アクティブミュージアム「女たちの戦争と平和資料館」)では、
8月5日・6日の朝日新聞による日本軍「慰安婦」問題についての特集
と、それをめぐるメディアの一連の報道や政治家の発言などに ついて、要請文
を作成しました。内閣総理大臣、関連する発言をした公人、メディア各社に本日
送付します。
転送・転載大歓迎です。
様ざまな方法でこの要請文を広くご周知ただければ幸いです。
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要請文
朝日新聞「慰安婦」報道の検証をめぐる
一連の報道に抗議し訴えます
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朝日新聞は8月5日・6日の朝刊で、これまでの「慰安婦」報道の検証結果を発
表しました。一部のメディアやネット上に、「『慰安婦』問題は 朝日新聞の誤
報・捏造によって作られたもの」という中傷や批判があることへの反論です。
特集記事では、故吉田清治氏による強制連行の証言は虚偽として記事を取り消
し、「慰安婦」と「女子挺身隊」を混同した誤用を認め、取材記者 による事実
の歪曲を否定しました。「強制連行」に関しては、朝鮮半島や台湾に限れば「軍
による強制連行を直接示す公的文書」は見つかっていな いが、他の地域には証
拠もあること、問題の本質は軍の慰安所で女性たちが自由を奪われ、意に反して
「慰安婦」にされたという強制性にあることだとしています。
これらの内容は、「いまさら…」と嘆息したくなるほど、日本軍「慰安婦」問
題を少しでも知る者たちには常識となっていることばかりです。このような検
証なら、もっと早くに行ってもよかったのに…と思いましたが、事実確認も検証
も全く行わずに暴論と虚報を垂れ流している産経新聞などの一部メディアが跋
扈している現状を考えれば、朝日新聞の姿勢と自己批判は真っ当で、意義あるもの
と言えるでしょう。ただ、朝日新聞が相変わらず「女性のためのアジア平和
国民基金」を評価していることには、失望を禁じえません。「国民基金」による
負の影響をもっと学ぶべきです。 そして、「慰安婦」被害を朝鮮半島に極小化
し、問題を矮小化しようとしてきた日本政府の“下心”にも迫ってほしいと願わず
にはいられません。
ところがこのような朝日新聞の検証記事を受けて、一部のメディアや政治家たち
が、これを政治利用しようと動き出しました。彼らは朝日新聞の 報道が全部
間違いであり、「慰安婦」被害という戦争犯罪に当たる歴史的事実までなかったよ
うな言い方をしています。朝日新聞の報道が日韓関係 を悪化させ、国際緊張
を招いたと言わんばかりです。
自民党の石破茂幹事長は国会での検証まで言い出しました。これはまさに報道
の自由への国家介入にあたります。橋下徹大阪市長は「産経が頑 張って、朝日
が白旗あげた」と大はしゃぎで、「国家をあげて強制連行をやった事実がなかった
ことがほぼ確定した」などと述べました。彼らは白を黒と言いくるめるつもり
なのです。恥ずかしげもなく、何と犯罪的なことをしようとするのでしょう!
日本国内では言いたい放題の彼らの滅茶苦 茶な暴論は国際社会では全く相手に
されず、ただ危険視され蔑まれるだけだということに、まだ気がついていないよ
うです。
彼らは、10代から20代の頃に慰安所に監禁され、毎日数人から数十人もの日本
兵に強かんされ続けた女性たちの残虐な被害と、半世紀を経て 勇気を持って名
乗り出、日本政府に対して裁判を起こし、謝罪と賠償を求めて立ち上がった彼女
たちの存在を一顧だにしないのです。
被害女性の国籍は10ヶ国以上に上ります。開館から9年が経つアクティブ・
ミュージアム「女たちの戦争と平和資料館」(wam)では、1年 ごとに各国・各
地の被害を伝える特別展を開いてきました。展示の中心は、被害女性たちひとり
ひとりの被害と人生を伝える個人パネルです。これ らの個人パネルを読んでい
くと、あまりにも深い傷跡とそれをも乗り越えた女性たちの勇気と決断に心打たれ
ると同時に、戦争が終わってから69 年、被害女性が名乗り出てから20年以上
も経つというのに、被害者の訴えに耳を傾けないできてしまった日本政府の非情さ
と犯罪性を痛感せざるをえなくなります。