14/08/07 10:07:07.01 0
白濁したスープに浮かんでいるのは、羽を広げた小型のコウモリです。
おなかを上に、口を半開きにして、ちょっと恨めしげな顔で見上げています。
そんなパラオの郷土料理を食べてみたいと願ったのは、私です。
それは衝撃的な体験でした。
コウモリといっても、主に果物を食べる草食で、身体からいい香りがするためにフルーツバットと呼ばれ、
パラオだけでなく南太平洋諸国や中国南部、アフリカなど広い範囲で食べられているそうです。
頭や内臓、皮も食べることができるので、調理法は1匹まるごと姿焼きや姿煮にするのがポピュラー。
お祝いなど特別なときに食べる高級食材として珍重されていて……。
ひと口食べてみると、密集して生えている短い毛が舌にまとわりつきます。
自分の長い髪の毛が口に入ってしまったときに感じる舌触りとはまた異なる、もっとやわらかい動物の毛。
私は小型犬を飼っているのですが、いたずらで前足を口に入れられたときの感触がもっとも近いかもしれません。
パラオ料理はコウモリだけじゃない
とはいえ、毛皮さえ丁寧にはがせば、意外にもすいすい食べ進められます。
肉はちょっと野性味があるけれどやわらかく、大きな青唐辛子を入れて辛めに仕上げ、
タロ芋でとろみをつけたココナツスープがよく絡んで、エキゾチックな味わいでした。
パラオ料理は、もちろんコウモリだけではありません。
主食はキャッサバやタロなどのイモ類。
これを蒸かして食べるのが一般的です。
また、戦時中に日本が統治していた影響もあり、庶民に人気の巻き寿司は「スシ」とか「マキ」と呼ばれ、いなり寿司などと並んでスーパーマーケットお惣菜コーナーの一画を占めていました。
酒のおつまみとして、はしが止まらなかったのは、陸ガニを使った料理「ウカイブ」。
パラオで人が暮らしている九つの島のうちのひとつ、ペリリュー島の名物だそうです。
作り方はいろいろあるそうですが、私が食べたものは、新鮮な陸ガニの身を丁寧にほぐしてココナツミルクで煮込み、
それを甲羅に詰めて、さらにココナツミルクをかけたものでした
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