14/07/31 23:33:36.26 0
街頭犯罪のワースト1位返上は幻だった。不祥事がやまない大阪府警で、今度は8万件の犯罪統計のごまかしが明らかになった。
「大阪名物」とまで言われた街頭犯罪を減らそうと、市民や自治体を巻き込んで取り組んだはずが、警察署で裏切り行為が続いていた。
◇「署長うるさいから」
「どうせ同一犯や。まとめて1件にしよ。署長もうるさいからな」
過少報告が始まった08年のある日。大阪市内の警察署で刑事課長が統計担当の若い警察官に小声で指示した。
この日の未明、管轄する市内で数十分間に5件の車上狙いが連続して起きた。半径数百メートルの範囲の5カ所の駐車場が現場
だった。
警察庁が定めたルールに基づくと、視界に入る範囲で一度に複数の車が被害に遭えば1件として数える。しかし、5カ所の駐車場は
それぞれ離れており、本来は5件として報告する必要があった。
その場に居合わせた捜査員は「幹部の指示に反論なんてできない」と振り返った。
他の警察署でも独自の解釈で犯罪件数が間引かれた。約3万7000件と過少報告で最も多かった自転車盗。被害が届けられてから
最大約1カ月かけ、行政が撤去していないか確認するが、その間に自転車が見つかると計上しなかった。窃盗未遂事件も「実害がゼロ」
と勝手に判断し過少報告の対象となった。
「自転車が見つかったら計上せんでええ」「自転車のサドルだけ盗まれたケースは外していいんちゃうか」。上司がこう指示したことも
あったという。
こうした独自のルールは引き継ぎなどで全ての警察署にまん延したとみられる。
「経済の発展には治安の向上が不可欠ですよ」。08年の春。当時の府警本部長が府庁に出向いて、就任したばかりの橋下徹知事に
街頭犯罪対策などの必要性を直談判した。
財政改革を掲げる橋下氏も耳を傾け、当初打ち出した警察官の削減案などを撤回した。同時に府警側も治安の数値目標を求められた。
当時はひったくりなどの街頭犯罪が大阪の代名詞とされた。そこで生まれたのが「街頭犯罪のワースト1位返上」の大号令だった。
府警は署に専門の班を設けたり、本部に担当部署を新設したり、対策を急いだ。行政にも協力を求め、街頭には防犯カメラなどが
増設された。
府警幹部は「当時は『返上』が合言葉となり、毎日の発生件数に一喜一憂した。結果を出さないといけないという雰囲気が府警全体に
広まった」。ある捜査員も「署の刑事課長時代、ひったくりが連続発生し、上司に『すみません』と思わず謝った」と振り返る。
過少報告に関わったある警察官は府警にこう釈明したという。「ワースト1返上への重圧が苦しかった」
◇うそつきは泥棒の始まり
吉本興業元常務のフリープロデューサー・木村政雄さんの話
うそつきは泥棒の始まりと言う。泥棒を捕まえる警察がうそつきとは、目も当てられない。なぜ数値を偽装する必要があったのか。
せこいことをしてワースト1位を返上するなんて「大阪らしさ」がまったくない。大阪府警には猛省を促したい。
◇数字ではなく内容
小宮信夫・立正大教授(犯罪社会学)の話
大阪府警は「ワースト1返上」を掲げ、数字の魔力にとりつかれてしまった。幹部のプレッシャーを感じた部下がつじつま合わせに
走ったのだろう。認知件数はあくまで治安状況の指標だ。他の警察と比較して競うものではない。数字ではなく内容を評価する組織に
生まれ変わるべきだ。
ソース(毎日新聞) URLリンク(mainichi.jp)
写真=刑法犯の約25%を過少報告していた門真署の管内で、盗難自転車を含めた放置自転車が後を絶たないとされる京阪・古川橋駅周辺
URLリンク(img.mainichi.jp)