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【パリ宮川裕章、モスクワ真野森作】マレーシア航空機撃墜事件を受け、欧州連合(EU)がロシアへの
制裁強化の動きを強める中、フランスがロシアへの「ミストラル」級強襲揚陸艦2隻の売却方針を
堅持していることについて、米国や欧州各国から批判が出ている。
欧米の対露制裁の足並みの乱れにつながりかねない一方、契約を見直した場合、フランスの経済損失も大きく、
オランド仏政権は厳しい外交運営を迫られている。
米国務省副報道官は22日、フランスの売却方針について「全く不適切だ」と批判。キャメロン英首相も21日、
「英国では考えられない」と発言した。
リトアニアのグリバウスカイテ大統領、ウクライナのポロシェンコ大統領も、相次いで不快感を表明している。
仏露両国は、2011年に総額12億ユーロ(約1640億円)の売買契約を交わしている。
1隻目の「ウラジオストク」はすでに完成し、10月にロシアに引き渡される予定。ウクライナ情勢が緊迫する中、
ロシア軍が訪仏し、乗船訓練も行っている。2隻目の「セバストポリ」は来年、完成予定だ。
オランド大統領は21日、2隻目の引き渡しについて「ロシアの対応次第」と契約見直しに含みをもたせたが、
売却堅持の姿勢は変えていない。契約を見直すと高額の違約金が発生し、造船業など1000人以上の雇用に影響が出る。
一方、英米との対立は、対露制裁の結束を弱める懸念もあり、仏政権は板挟みの状態に陥っている。
強襲揚陸艦は全長約200メートル、排水量約2万2000トンの大型艦。ヘリコプター16機、
装甲車60台などを積載し、地上部隊を素早く展開する能力がある。10月に引き渡し予定の
「ウラジオストク」は極東に配備される予定だが、ウクライナ情勢への対応で黒海に変更される可能性もある。
一方、ロシア海軍参謀本部の元高官は2隻目の引き渡しについて「ウクライナ危機におけるロシアの立場と、
揚陸艦を結びつけるのは恥ずべきことだ。(引き渡しをやめた場合)フランスにとって補いがたい
損失を及ぼすことになるだろう」とタス通信に答え、ロシア政府の立場を代弁した。
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