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外交筋は国連が「究極の人権保障に向けて各国政府をたたき続ける存在で
あることが大きい」と指摘する。特にジュネーブは国連人権高等弁務官事務所
(OHCHR)が本部を置くことから同地に事務所を持つ人権関係の非政府組織
(NGO)も多く、委員との情報交換やロビー活動が日常的に行われている。
国家による「政治」の場がニューヨークの国連本部なら、個人の「人権」は
ジュネーブの国連本部が本場なのだ。今回の審査をみてもなぜ国連が日本を
批判しつづけてきたかがわかる。
対日審査に先だって14、15の両日、地元記者が「NGOによる委員洗脳の場」
と揶揄(やゆ)する「NGOブリーフィング」が実施された。
15日には日本の16団体の代表が慰安婦問題をはじめ特定秘密保護法、
死刑制度、朝鮮学校の高校無償化除外などに関し、イデオロギー色の濃い
説明を委員たちに英語で伝えた。
ブリーフィングの主催者は、今回の審査のために結成された日本弁護士連合会
などの団体からなる「ジャパン・NGO・ネットワーク」。会場に入るには
事前登録が必要だ。
会場には慰安婦問題解決や死刑制度廃止、ヘイトスピーチ(憎悪表現)
禁止の法整備などを求め日本から来たNGO関係者ら約70人が陣取っていた。
ほとんどが左派・リベラル勢力だ。
直撃された南ア委員「重要でない」
こうしたなか、ひとりの「普通」の主婦が立ち上がった。16日の審査終了後、
傍聴したスイス在住の日本人主婦、大坪明子(めいこ)(57)は、審査で
日本を批判した南アフリカの委員、ゾンケ・マジョディナにこう質問した。
「あなたが『慰安婦は奴隷』と言ったのでとてもショックを受けました。
本当に彼女たちはお金をもらっていなかったんですか」
慰安婦が旧日本軍兵士の数十倍の月収を得ていたことは、米軍資料などでも
記録されている。なぜ国連の場で日本ばかりが標的にされるのか、大坪は
疑問に感じ審査に足を運んでいた。
マジョディナは答えた。
「お金を受け取っていたかいないかは重要ではない。奴隷的な扱いを受けて
いたかどうかが問題で、『奴隷』に該当する」
なおも事実関係をただそうとする大坪にマジョディナはこう言い放った。
「その質問は重要ではないので答えない」
短時間のやりとりだったが、大坪はたちまちほかの委員や日本のNGO
メンバーらに取り囲まれた。「やり過ぎだ!」などといった日本語も飛び交った。
(敬称略)