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製薬大手ノバルティスファーマ社の臨床研究データの不正操作、アルツハイマー病研究「J-ADNI」のデータ改ざん疑惑─。数々の不正に揺れる最高学府・東大で、ついに学生たちが立ち上がった。
「東大で学ぶことを誇りに思ってきた。患者第一の医療を実践したいが、何を信じて勉強をすればいいのかがわからなくなった」
そんな思いから“反乱”を起こしたのは、東大医学部医学科6年の岡崎幸治さん(24)ら男子学生5人。6月23日、浜田純一総長、宮園浩平医学部長ら宛てに公開質問状を提出。大学側に説明を求めたのだ。
一連の不正疑惑は、昨年以降に相次いで発覚した。ノバルティス社の研究は、事務局の東大病院から、患者の個人情報が会社側に渡っていた。アルツハイマー病の研究では、東大教授の下で臨床データの書き換えが行われたとされる。
大学側は内部調査を行い、マスコミ向けの記者会見は開いたが、学生側への説明は一度も行われていない。そんな姿勢に疑問を抱き、岡崎さんらは行動を起こしたのだ。
だが、2日後に医学部の事務方から届いた返事は、信じられないものだった。
「(一連の経緯は)ホームページに公開している」
「懲戒委員会の結論が出たら、学生と教員が参加する『考える会』を実施する方向である」
不誠実な対応で、末尾に浜田総長の名前すらない。岡崎さんらは2回目の公開質問状を、今度は浜田総長のみに宛てて提出した。
返事は、その3日後に届いた。大学のコンプライアンス担当の理事の名前で、
「まずは医学部・病院における対応を見守りたい」
と、短く記されているだけ。浜田総長の言葉は一切なかった。
「他学部に比べ、医学部は厚生労働省などとの関係が深く、教授会による自浄作用が発揮されていないと思う。だからこそ、総長のリーダーシップに期待したのに、残念です」(岡崎さん)
くしくも、今国会では大学の運営で学長のリーダーシップを強める改正学校教育法が可決、成立した。
教授会の役割は、教育や研究について話し合うことなどに限定され、大学運営では学長がより強い権限を発揮できるようになる。だが現状では、東大でリーダーシップが発揮される可能性は、限りなく低いようだ。
(本誌取材班)
※週刊朝日 2014年7月25日号
URLリンク(dot.asahi.com)
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