04/11/14 02:12:42 6ck9TmIO
>>649
こんなんでええか?
歌詞を意識して書いてみたよ、タイトルは「つよがり」
逃避行開始から約2週間が経過した。
ニュートンアップル女学院での数日の捜索では手がかり一つ見つからず、
次の行動を決めあぐねぬまま時間は無常に流れていた。そんなある日の夜…
「ん…」
ふと目が覚めた斗貴子、外の風に涼もうとテントを出た。
しばらく歩くと、川岸にしゃがみこむ人影を見つけた。見慣れた後ろ姿だった…
「カズ……」
そう言いかけて呼ぶのをやめた。微かに聞こえた音によって。
(泣いて…いる?)
しかしその声に気づいたのか、後ろ姿はおもむろに手を動かした後こちらを向いた。
「あれ? 斗貴子さんも涼みに来たの?
テントに剛太一人だともし何かあったら危ないから、俺 戻ってるね」
そう言うと斗貴子と目を合わそうともせず、走り出した。
「待て、カズキ…」 たまらず斗貴子は声をかける。
「すまない、聞こえてた… つよがらなくていい
つよがらずに…泣きたい時は泣けばいい」
「慰めないでよ…だいじょうぶ、だから」
「だが…」
「いいってば!」
優しく触れようとする手を、カズキは振り払った。
「そんな…そんな、安っぽい慰めなんてしないでよ…
俺の…今の気持ちなんて、わからないくせにっ!」
「! ……そうだな
確かに私には、キミの気持ちなんてわからない
泣いてる所を見られたキミに、ただ安っぽい慰めをかけただけなんだろうな
私はずっと…戦士として生きてきた、こんな時にどうしたらいいかなんてわからない
けど…けど、キミの事を心配な気持ちに偽りはない
何も手がかりが見つからなくて…キミが絶望しているのかと思ったから…
だから…私は…私はっ…!」
ガシッ…
聞いたことのない震える声を聞いていられず、
見たことのない緩んでいく目を見ていられず、
男は女を優しく抱きしめた…
「ごめん、本当に…ゴメン」
(何をやってるんだろう、俺は
つよがっていたのは斗貴子さんじゃないか…
そうだよ… 斗貴子さんが死ぬ時が、俺の死ぬ時
斗貴子さんがつよがってくれているなら、俺もつよがって前に進んでいこう)
「…うん」
「また…明日から頑張ろう」
「…うん」