04/09/25 18:21:31 W4H2/9z2
詳細投下します。1発目。
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♯99 The Birthday Party
塚本家の台所では、なにやらゴキゲンな天満が作業をしていた。
楽しそうな天満に、八雲が何を作っているのか尋ねると、ケーキだと鼻歌混じりな答えが返って来た。
「もうすぐ烏丸君の誕生日なんだ!」
笑顔の天満に、八雲はこちらも微笑みながら納得し、手伝いを申し出る。
だが、天満は一人で作らないと意味がないからと断った。
それからしばらく後――
「ね、姉さん・・・・」
八雲の目の前で落ち込む天満の前には、なにやら崩れまくった妖しげな物体が置かれている。ケーキのなれの果てだった。
無言で蝋燭を立て火をつける姉に、八雲は必死にフォローの言葉を投げる。
「と・・・とりあえず烏丸さんへのプレゼントは品物を買うっていうのも良いと思うんだけど・・・」
「でも私、男の人が喜ぶものなんかわかんないし・・・あとちょっとヘンだし烏丸君・・・」
ここまで言って、ふと天満は何か思いついたらしい。八雲から番号を聞いて電話をかけたその先は。
「明日ね、ちょっと買い物に付き合って欲しいの―――」
次の日、矢神駅前では、学ランを着た播磨が佇んでいた。
『俺は今、夢を見ているのだろうか・・・? 天満ちゃんの方から先に誘ってくるとは・・・!』
表情こそ冷静を装っていたが、内心は激しく動揺しているようだった。
そこに、播磨の名前を元気に呼びながら天満が現れた。ゴメンネ待った?と聞かれ、
「い・・・今来たトコ」
湧き上がる感激を必死に押し隠し、脂汗を流しながらも何とか呟く。播磨の人生で1度は言ってみたいセリフベスト8らしい。
それで今日は何を買いに? 2人の思い出の品とか? とわくわくしながら尋ねたが、
「じ 実は好きな男のコにプレゼントを買おうと思って!」
『そ・・・・烏丸かーーーーー!!!』
微妙に頬を染めた天満の前で、播磨はまたしても吹っ飛んだ。
「播磨君なら八雲と付き合ってるからわかると思って! 男のコのキモチ」
地面に手をついてうなだれる播磨に、天満は嬉しそうに声をかけてくる。
「あ あのよ! 前から言おう言おうとしてたんだけどよ・・・・妹さんの件はホントに誤――――」
「ごめんね・・・頼れるのは播磨君だけなの・・・・」
「任せとけ」
即答していた。
その後、播磨の提案で東京まで買い物に出てきた二人。雑踏を散策する播磨と天満だったが――
『俺たちは・・・・・俺たちは今きっと! 恋人に見られている!! まちがいねぇ!!』
いかにナチュラルにカッコつけるか、と播磨は異常に固くなっていた。
天満に対して気の効いたセリフでカッコつけようと努力していたが、激鈍の天満には全く効果なし。
そうこうするうちに、プレゼントなら服とかが良いんじゃねえか、ということで『着物王』という店に入った。
そこで、播磨の身体でTシャツを見繕う天満。シャツには『暴れ星 銀路郎』とペンギンが描かれている。
播磨は天満の目の前で幸せに浸っていた。
「こうしているとなんかデートみたいだね」
『キ 君も乗り気かーーーー!?』
少なくとも悪い気はしてないのだろうと、播磨は感涙。ここで想いを伝えるしかないと口を開きかけたが。
「彼氏ですか? カッコイイですね」
「いーえ、違いますよ」
店員と天満の会話に遮られた。
「じゃあトモダチ?」
「いえ、妹のカレです」
断言されて、播磨は涙を飲む。この店は駄目だと、天満を連れて表に出たのだった。
『そうだよな・・・天満ちゃんは烏丸のことが・・・俺の妄想とは違って、振り向いてくれるわけないんだよな・・・・』
通りを歩きながら、播磨は内心でごちていた。そんな播磨に、天満はさっきの服も良かったけど何買うつもり?と問うてきた。
『そうだよなあ・・・・俺も妄想ばかりして現実から逃げてちゃいけねえよな・・・天満ちゃん・・お前の為に現実と戦うぜ!』
ついに目覚めた播磨。
「ヨシわかった教えてやろう!! とっておきのオススメプレゼントを!! 見ろ!!」
そして勢いよく天満に差し出したものは―――
くまっ
鮭を咥えた露店の木彫り熊だった。
その頃塚本家では、八雲が天満作の得体の知れない物体を突っついていた。
「姉さん・・・大丈夫かな・・・・」