04/07/19 03:07 j4vPONPn
合宿前日─寄宿舎浴場の洗い場にて
じー…
右手にスポンジ、左手にボディソープのボトルを手にして、
鏡の前に裸形仁王立ちの斗貴子さん。
(…いざ)
おもむろに浴場の腰掛けに座り、体を優しく、しかし丹念にこすっていく。
泡まみれになるスレンダーな肢体。そのすみずみにスポンジを這わせる斗貴子さん。
(私の洗浄術は俊敏にして正確─!)
しゅわしゅわしゅわ…
なぜこんなに気合を入れているかと言うと、明日カズキたちにこの素肌を見せることになったからだ。
(─これはすでに決まったこと。泣き言を言う前に、できるかぎりのことは、する)
シャワーのコックをひねる。勢い良く飛び出してくる飛沫を体にまんべんなくあてていき、
豊かな泡とそれに包まれた汚れをていねいに流していく。
鏡にシャワーをあてて曇りをとれば、湯気に煙る若い肢体に浴場の照明がよく照りかえり、
まひろ曰く「すべすべの」肌にさらなる張りと潤いが生まれたことがわかる。
(これでいい。あとはもう一度湯船につかり、十分な水分確保と疲労回復をするだけだ)
立ち上がる。
そのとき、ふと目に付いた腹部の中央やや下のくぼみ。
─ヘソ。
(そういえば)
明日はここも見せるんだなあ…と今更のように思う。
じっくりと見つめる。やがて鏡越しにではなく、直接頭をかがめ、自分のそれを眺めてみる。
(いけない─ここは意外に死角だった)
「ヘソのゴマ」という言葉のとおり、ヘソにはゴマみたいな垢の塊がその奥に襞に沈んでいることがあるのだ。
一度浮き上がった腰をまた下ろし、ヘソに向けて浄化の手を伸ばす斗貴子さん。
さっきのが大規模掃討戦だとすれば今度は超局地戦。スポンジも慎重だ。
実はさっきの段階できちんと洗えているのだが、今の斗貴子さんは下手な任務行動のときよりも
慎重に慎重を期している。