03/12/17 20:53
松本は、「衝撃降下90度」とか「鉄の竜騎兵」のような、登場人物が自分たちの
運命に頓着しないようなエピソードの描写に才能を示してきたと思う。
いくら思わせぶりなセリフを言わせても、松本が提示した陰謀とか秘密とかは
読者に衝撃を与えるような内容であったためしがない。
たとえば、熱力学第二法則に題材を得た光瀬・萩尾の「百億の夜」とか、
日本創造神話や弥勒の伝承を馬の頚暗黒星雲と結びつけた諸星大二郎の
「暗黒神話」のような雄大な構想力は見られない。
最初から一貫して思わせぶりだったにもかかわらず、それなりに成功したと
思うものに「大純情くん」があるが、背後で進行していたらしい陰謀よりも
もののけじめの日常生活をイキイキと描写したこと、ダラダラ引っ張らずに
終了したのが良かったのだろう。