06/02/17 23:28:33
島本和彦「ワンダービット」
「炎の漫画家」島本和彦による、SFショートショート風短編シリーズ。
話ごとにタッチを買え、児童漫画風、レディコミ風、鉛筆画、果ては写真取り込みなど
同氏の作品としてはかなり実験的なシリーズでもある。
自分のクローンに意識を移し、本体の安全を確保した上で冒険に挑んだ男の人生を描いた「勲章」
天使や死者の霊が、現世の人間の人生を賭けの対象にする「霊界トトカルチョ」
「3つの願い」の話題で必ず出てくる「願いごとの回数を増やしてくれ」がアリだったらどうなるか?を考える
「山ちゃんと魔法のランプ」などの作品が収録されている。
本シリーズのイメージキャラクター、謎の科学者「首藤レイ」とその発明品を巡るシリーズ─
自由意志を持った上で所有者に奉仕する家電品「ポットちゃん ボクの日記」
「嫌な体験をしていると時間が長く感じる」理屈を利用して、人より長い人生を送る「体感時計」
なども読み応えあり。
しかし白眉はやはり、作者の趣味を反映した特撮ヒーローネタの諸作品─
立ち位置の異なるヒーローたちが、「正義」の定義について争う「これが正義だ!」
ヒーローに憧れるあまり、ヒーローに倒される悪の組織作りから始めた男の意外な結末「怪奇カメムシ男」
などの話ではないかと思われる。
「ワンダービット」のタイトルで出ていた単行本は既に絶版だが
2001年に「熱血SF短編集」のタイトルでエンターブレインから復刊されている。
なお、以下のリンクで本シリーズの一編がAAストーリー化されているので参考にしてみてくれ。
URLリンク(sunset.freespace.jp)