05/09/10 16:59:56
とある南の島の孤島。イクラが砂浜で砂いじりをして遊んでいる。
現地人らしき老人と女の子がその様子を遠巻きに見ている。
「不思議な子供じゃ。この島に流されてきて以来、食事と寝る時以外は
ああやってずっと砂遊びばかりして。しかも、全く何もしゃべらんときておる」
「でも、おじいちゃん。私、あの子が考えていること分かるのよ」
「何、おまえ、あいつがしゃべっとるのを聞いたのか?」
「ううん。そうじゃなくて、なんか心に語りかけてくるって感じ」
ふとイクラが何かに気づいた様子、立ち上がってしばらく空を見上げている。
すると「シュンッ」と音がして、イクラがいきなりこつ然と姿を消す。
「あ、消えた!」
驚いてイクラの居た場所に駆け寄る二人
「一体どうしたことじゃ!何が起こったんじゃ!」
「わからないわ。でも彼の心の言葉だけがここに残ってる」
「何じゃそれは?」
「行かなくちゃ…だって。私にも良く分からない」 イクラの座っていた付近の砂地に不格好な指文字が描き残されている。
「A....R....A....T....」