06/09/13 00:15:17 HjDoHWhL
「なあ、あんまり動くなよ。手首にまでキズ出来ちまうぜ?大人しくしてれば、気持ち良くしてやるからさ」
「いやや……離して……」
「それは出来ねえな」
だんっと音を立てて、新一の手にしていたナイフがサイドテーブルに突き立てられた。
「もっかい確認。俺のオンナになる気ねえ?」
新一の問いに、和葉は再び首を振った。
「ふうん……そっか」
つまらなそうに呟くと、新一は和葉の背中に回していた手を抜いて、代わりに彼女の華奢な喉を覆うように、掌を当てた。
そのまま、ほんの少し力を込める。
苦しくはないけれど、圧迫感と恐怖感を十分に与えられるだけの力。
「じゃあ、体だけ貰うぜ?」
静かに告げる新一の瞳からは、何の感情も読み取れない。
それが返って恐ろしくて、和葉から言葉を奪った。
「なあ、和葉ちゃん。こう言う時にさ、服部のやつ、いつもどんな事囁いてんだ?好きだとか愛してるとか、そんな甘いセリフ吐いてんのか?それとも、卑猥な言葉で責めたりしてんの?アイツと同じように抱いてやっからさ、教えろよ」
喉を押さえていた手をゆっくりと胸へと移動させた新一が、その柔らかな膨らみを弄ぶ。
和葉の肌が粟立った。
「服部って胸好きそうだよな?結構しつこく触ってんじゃねえ?先っぽは舐めるのか?吸うのか?アイツの事だから噛んだりしてんのか?ああ、こんな風に指で遊んでたりもしてそうだよな」
冷たい口調とは裏腹に、新一の動きは優しい。
愛撫と言ってもいいくらいに。
けれど、和葉にとってはただ恐怖と嫌悪しか感じられない。
胸を弄ぶ手を止めないままに、新一が和葉の耳元に唇を寄せた。
「……なあ、もしかして、まだ服部とヤってなかったりするのか?」
囁いたとたん、一際大きく手錠が音を立てた。
「やっぱりそうか」
新一の声に、楽しげな色が加わった。
「そうじゃねえかとは思ってたんだ。ずっと大事にしてきたオンナってのは、中々手ぇ出せねえからな。……じゃあ、俺が『初めてのオトコ』ってわけだ。光栄だな。大丈夫、優しくしてやるよ。一生の思い出に出来るようにね」
優しげな声に混じる冷酷なまでの冷たさは、和葉の中のささやかな希望を打ち砕くには十分な力を持っている。
それでも何とか逃れようと抵抗する和葉を押さえつけて、新一が彼女の膝を割った。
窓の外、徐々に夕闇に支配されていく空。
対照的に明るい部屋。
和葉の細い悲鳴と、助けを求める声。
彼女の手首を傷付ける手錠の、金属特有の硬い響き。
ベッドの軋む音。
彼女を陵辱している新一の、楽しげな色を含んだ、優しく冷たい声。
ただそれだけが、部屋を満たしていた。
879:名無しかわいいよ名無し
06/09/13 00:16:29 HjDoHWhL
*****
平次が帰宅したのは、日の光が勢いを無くし始めた夕刻。
さして面倒な用事ではなかったのだが、気分が乗らなかった事もあって、何となく疲労感を覚えた。
「まあ、これも浮世の義理言うヤツか……」
自室に戻った平次は、愛用のキャップを机の上に投げると、ポケットから携帯を引っ張り出してベッドに寝転がった。
出先の都合で切っていた電源を入れ、着信を確認する。
電話はなし。
新着メールが3件。
その内2件は、今日練習試合で他校を訪れていた部活仲間からの報告メール。
残り1件は、単身東京へと向かった和葉からの、到着メールだった。
一昨日の夜、突然の東京行きを決めた和葉。
誘いをかけてきたのは、平次の親友であり、共通の友人でもある新一。
親友の蘭の事で相談があると言われて断れるような和葉ではなく、すぐに東京行きを承諾していた。
平次としても、親友の彼女であり自分にとっても友人である蘭の事は心配だったので、東京行き自体は反対ではなかったのだが、自分が同行出来ない今日という日にちに関してだけは、反対した。
他人が聞いたなら『心配性』だの『過保護』だのと言われるだろうが、平次にとっては、和葉一人での東京行きには、色々と不安もあったのだ。
それならば、平次が予定を空ければいいのだろうが、生憎とそう出来ない理由があった。
恐らく、前々から予定されていたとはいえ、ごり押しすれば今日の用事を断れない事もなかったのだろう。
だが、それをするには断る理由が弱かったし、結局は先延ばしになるだけで、返って面倒な事にもなりかねないとわかっていた。
だから、平次は自分が同行出来る日にしろと言ったのだが、自分には特に予定がないのに親友の事を後回しにする事など、和葉の性格からして出来るわけもなく、また、全く知らない所に行くわけでもないので、渋々ながら平次も同意したのだ。
「東京駅到着のメールだけかい」
少し不機嫌そうに平次が呟いた。
今日、昼前の新幹線に乗るという和葉を見送りがてら、新大阪の駅で早めの昼食を一緒にとった。
その時約束したのが、メールでの報告。
和葉の事だからこまめに連絡してくるだろうとは思ったが、平次は、ほんの一言でいいから、どこにいるか頻繁にメールするようにと改めて約束させた。
少し驚いた顔をしながらも、和葉は嬉しそうに頷いていたのだが、東京駅に着いたというメール以降、彼女からの連絡は入っていない。
「話に夢中になっとるんか?しゃーないなぁ……」
一つ息をついた平次が、不満の言葉を口の中で転がしながら、和葉にメールを送る。
あと3時間もすれば、新幹線の最終が出る時刻だ。
何時に帰るのか、それとも泊まる事になったのか。
そもそも、今何処にいるのか。
暫く待ってはみたが、返信はない。
「ケータイ見ろや」
ため息混じりに呟いて、改めてメールを送る。
和葉が携帯の電源を切っているとは思えないが、やはり返信はない。
相談事だと言っていたから、深刻な話をしているのかもしれないが、何となく不安になって、平次は和葉の携帯を鳴らした。
880:名無しかわいいよ名無し
06/09/13 00:18:02 HjDoHWhL
呼び出し音が続く。
「…………」
10回目のコールで一旦切り、少し間をおいて、もう一度掛け直す。
5回繰り返したが、和葉は出ない。
待ち受け画面に切り替わったディスプレイを睨み付けた平次は、今度は新一の携帯を鳴らした。
*****
静かな部屋に、高い電子音が響いた。
断続的に何度も流れてくるのは、流行のラブソング。
薄く笑った新一が、和葉の腕に絡み付いて、まるでシーツのように広がったパーカーのポケットから、音源である携帯を取り出した。
「服部だろ?」
耳元で囁くように尋ねてくる新一の言葉に、半ば放心したように横たわっていた和葉の肩が小さく揺れた。
「心配でしょうがねぇんだな」
身体を離した新一が、鳴り続ける携帯をパーカーのポケットに戻して、和葉を見下ろした。
「服部ってさ、和葉ちゃんの事突き放してるように見えて、影ですっげえ心配してんだよな。傍で見てて面白かったぜ?ああ、今はもう隠してねえか。何しろ『恋人』に昇格したんだもんな」
楽しげに話す新一に、応えは返らない。
それを気にする風もなく、新一は言葉を続ける。
「本当は、今日一人で来る事も反対されたんだろ?服部が一緒に来れる日にしろってさ。なあ、和葉ちゃん、アイツ『恋人』になってから、過保護に磨きがかかってんじゃねえ?」
話しているうちに、新一の声から楽しげな響きが消えた。
突き放すような事を口にしながらも、影で気を揉んで心配していたのは、自分。
恋人として、傍で彼女を護っていたかったのは、自分。
(俺と服部と、どこが違うってんだよ!!)
全て、自分の行動の結果だとわかっていても、納得など出来ない。
どうしても、彼と自分が重なってしまうから。
昂ぶった気持ちを落ち着けるように、一旦和葉から視線を外して、新一は大きく息をついた。
それを見計らっていたように、繰り返し流れていた音が途切れ、僅かな間をおいて無機質な電子音が部屋を満たした。
発信源は、新一の携帯。
ことさらゆっくりと携帯を取り上げた新一が、表示された名前を見て、改めて和葉に視線を向けた。
「よお、服部。何か用か?」
普段と全く変わりない声で、新一は親友の名を呼んだ。
「和葉ちゃん?駅に迎えに行った後、蘭とこに連れてったぜ?どうかしたのか、彼女?………ああ、そうか。こっちから蘭に聞いてみようか?………ああ、わかった。またな」
通話を終えた新一が、乱れた和葉の髪を軽く撫で付けた。
和葉はただぼんやりと新一を見上げている。
恐らく、今の会話の内容などわかってはいないのだろう。
ただ、自分や恋人の名前に反応しているだけで。
そもそも、今の彼女に、何かを理解する事が出来るのかも怪しい。
「服部からだよ。和葉ちゃんと連絡が取れなくて、心配してた。蘭にも聞いてみるってさ」
881:名無しかわいいよ名無し
06/09/13 00:19:25 HjDoHWhL
今日、蘭は恋人とデートだった筈だが、そろそろ帰宅する頃だ。
平次が蘭に連絡を取れば、新一の嘘がバレる。
そこから、新一の思考や起こすだろう行動を読み取るのは、彼には容易い事だろう。
新一が、平次の起こすだろう行動を予測出来るように。
良くも悪くも、新一と平次は似た境遇にあったのだ。
「今からだと、最終の新幹線には間に合うな。とすると、こっち着くのは夜中か。もう暫く楽しめるぜ、和葉ちゃん?」
親友の……いや、親友だった男の慌てふためく様が目に浮かぶようで、新一は心底楽しそうに、声を上げて笑った。
*****
新一との通話を切って、平次はゆっくりと身体を起こした。
宵闇に支配された部屋。
確かな形を持つ物も、まるで闇に取り込まれたように、ただぼんやりとその影を滲ませている。
見慣れている筈の光景。
けれど、今日はそれが何故か酷く不安定で、平次に居心地の悪さを感じさせる。
それを振り払うように、平次は大きく頭を振った。
東京に着いた和葉は、新一に送られて蘭の元に行った。
何処にも不自然な所はない。
何も心配はいらない筈だ。
なのに、何故か胸騒ぎがする。
不安が拭えない。
「……考え込んどっても埒あかんわ」
相談事の当事者たる蘭に電話をかけるのは憚られたが、ほんの一言二言で、この得体の知れない、恐怖にも似た不安が取り除けるのだからと、蘭の携帯を呼び出した。
数回のコール音のあと、蘭の柔らかな明るい声が、平次の耳に届いた。
「姉ちゃんか?久し振りやなぁ……ああ、今日和葉そっちに行っとるやろ?スマンけど、こっちに電話入れろ言うてくれんか?……え?」
蘭の返事に、平次は一瞬言葉に詰まった。
「……和葉、姉ちゃんとこにおらんのか?」
確認するように問う平次に、蘭はその理由と共に同じ答えを繰り返した。
不思議そうなその声に、嘘は感じられない。
意地を張る事はあっても、元々彼女は素直な性質なのだ。
携帯を持つ平次の掌に、じっとりと嫌な汗が滲んだ。
不安が形を持って、ゆっくりと心臓を締め上げていく。
それを悟られないように、平次は殊更に明るい口調を保った。
「……出かけてたって、工藤とか?……そうなんか?知らんかったわ……いや、別にええねんけど……ああ、大した事やないで。ただ、東京行く言うてたから、姉ちゃんとこかな思ただけやから……ああ、頼むわ。ほなな」
明るい口調とは裏腹に少々乱暴に通話を切ると、平次は混乱した思考を整理するように、深く息をついた。
親友の蘭の事で相談があると呼び出された和葉。
呼び出したのは新一。
その事を知らなかった蘭。
同行出来なかった平次。
そして……。
蘭に出来た新一以外の恋人。
連絡の取れない和葉。
新一の言葉に含まれた嘘。
882:名無しかわいいよ名無し
06/09/13 00:20:36 HjDoHWhL
少しずつ組みあがっていくパズル。
その完成形が示すものを悟って、平次の身体から一気に血の気が引く。
反射的に部屋を飛び出した。
「……まさか…」
新一は親友だ。
そんな事をする男じゃない。
感情はそう叫んでいたが、自分を納得させる事が出来ない。
逸る心に急き立てられるように、平次は東京へと向かった。
*****
「そろそろか?」
サイドテーブルに置いてある目覚し時計に目をやった新一が、低く呟いた。
時計の針は、既に日付が変わっている事を示している。
「もうすぐ服部が迎えに来るから、大人しくしてろよ?」
和葉の頬を優しく撫でた新一は、その手を無防備に晒されている白い喉に滑らせ、包み込むように掌を当てた。
そのままこの細い首を折ってしまいたい衝動を押さえて、一瞬、指先に力を込める。
急激な頚動脈の圧迫に、和葉は僅かに残っていた意識を手放した。
「さてと……」
シャツの襟を直しながら、新一は携帯を取り上げた。
平次からの電話のあと、時間を置いて入ったメールを開く。
『和葉、そこに居るのか?』
『オマエの嘘はバレとるで?』
『首洗って待ってろや』
画面に現れた文字はただ言葉を伝えて来るだけだが、その先にある平次の感情は、新一には手に取るようにわかる。
「アイツの事だから『親友』を疑いきれないんだろうけどな」
楽しげに笑って、新一は携帯を放り投げた。
硬い音を立てて携帯が床を転がり、フローリングに小さな傷を残す。
それに目をやる事もなく、ベッドに腰掛けている新一はゆったりと足を組んだ。
「アイツなら、どう動くか……」
今この工藤邸は、新一の部屋を除いて、闇に溶け込むようにひっそりと静まり返っている。
平次は恐らく、新一の意図するところを正確に読み取っているだろう。
だとすれば、正面から来る事はない。
呼び出した所で、新一が応えるつもりがない事もわかっているだろうから。
ならば、1階の窓かテラスだろうか。
だが、そこから侵入したとしても、鍵の掛けられた新一の部屋のドアを破らなくてはならない。
平次はそんな二度手間は掛けないだろう。
では、何処から?
工藤邸の敷地、庭の状況、間取り。
平次の性格と身体能力から考えると、一番可能性の高いのは、南側のベランダ。
「……やっぱりな」
ベランダに続く大窓の向こうに期待した通りの人物を見つけ、新一は冷たい笑みを浮かべた。
883:名無しかわいいよ名無し
06/09/13 00:21:14 HjDoHWhL
ベランダに姿を現した平次は、息一つ乱した様子もなく、ガラス越しに新一に鋭い視線を投げつけている。
「予定通り……ってか?」
新一が呟くと同時に、耳障りな音を立てて、ガラスが砕け散った。
重い音と共に床に転がったのは、ベランダに置かれていたガーデンチェア。
観音開きの大窓はその衝撃で形を崩し、内と外とを隔てる役目を手放していた。
「高けえんだぜ、このガラス」
ゆっくりと立ち上がった新一が、床に散らばったガラスが踏み砕かれる音に眉を顰めて見せるが、平次は一瞥も与える事無く、真っ直ぐに和葉の元に向かう。
気を失い、力なく横たわる和葉の、血の気の引いた青白い肌。
これ見よがしに付けられた、紅い痣。
刃物によるものだとわかる、浅い切り傷。
抵抗した為だろう、手錠に傷付けられ血を滲ませた手首。
そして……明らかな暴行の痕。
キリ……っと唇を噛みしめた平次の左肘が、新一の胸を狙う。
すっと身体を引いてそれを交わした新一だが、ガラスの欠片に足を取られ、体勢を崩した。
平次のように靴ではなく、柔らかな素材のスリッパだと言う事が、余計にバランスを悪くさせたのだろう。
すかさず、鳩尾を狙って繰り出された平次の左の踵。
横には避けられずに、新一はバックステップで勢いを殺す。
それでも十分にスピードと体重の乗った蹴りは、新一を壁に叩き付けた。
そのままずるずると座り込み、新一は苦しげに咳き込んだ。
過去何度も蘭から蹴りを出されたが、それは全て『幼馴染』としての戯れの範疇にあるもので、敵意を持ったものではなかったから、余裕で交わす事も出来た。
だが、今は違う。
運動神経や身体能力は、新一と平次に大きな差はないが、近接戦―所謂格闘戦―においては、新一は平次には敵わない。
その平次から、はっきりとした敵意を持って攻撃を受けたのだ。
意識を保っていられただけでも、幸運だろう。
(アバラ2~3本、持ってかれたか?)
骨折まではいっていないかもしれないが、確実に皹は入ったはずだ。
勢いを殺してなお、これだけの力を持った蹴り、まともに入っていたら、内臓をやられていただろう。
新一が乱れた呼吸を整えながら顔を上げた瞬間、狙いすましたように目覚し時計が投げ付けられた。
顔の横に叩き付けられ砕けた時計の破片が、新一の頬に幾つもの浅い傷を付ける。
「……この…時計……気に入って…たん…だぜ?」
「そら、スマンかったな」
工藤邸に現れてから初めて発せられた平次の声。
普段の彼を知る者が聞いたなら耳を疑うような、抑揚の無い平坦な声は、ただ硬い響きだけを残して消えた。
884:名無しかわいいよ名無し
06/09/13 00:24:57 HjDoHWhL
その瞬間、新一の左肩に鋭い痛みが走った。
シャツの下、素肌を伝う生暖かい感触。
壁に深々と刺さったナイフは、新一が使ったもの。
反撃を許さないように両の膝で新一の足を封じた平次が、左手を新一の右肩の関節に当てた。
そのまま力を込める。
「………つっ」
全身から伝わる物理的な痛みに新一が小さく声を漏らしたが、平次は眉一つ動かさない。
直情型の平次は、いつもなら喜びも怒りも素直に表に出す。
けれど今は、拭い去られたように表情を無くして、ただその瞳だけが感情を表している。
だからこそ余計に平次の怒りの深さが窺えて、新一は不思議な満足感と共に口角を上げた。
その表情に、平次の右手にさらに力が加わった。
新一の耳元で、壁が傷付けられる音が響く。
浅く息をついて、平次はこのまま刃を返して新一の喉を裂きたい衝動を押さえた。
自分はどう裁かれようと構わないが、それを知れば、和葉は更に傷付くだろう。
深い疵を負った和葉に、これ以上の精神的負担を与えるわけにはいかない。
それに、疵を負った和葉を独りにする事は出来ない。
いや、独りにはしたくないのだ。
「拉致監禁、暴行、傷害……法に照らし合わせた罰なんぞで、この罪贖えると思うなや?」
平次の、斬り付けるような鋭さを含んだ、冷たい熱を孕んだ低い声。
その静かな口調に秘められた殺気と、言葉の示す所に気付いて、新一の背筋を快感にも似た戦慄が駆け上った。
暗に表沙汰にするつもりはないと言っているのだ。
だが、和解するつもりもない事も明白だ。
「そんな事でいいのかよ?お前、探偵だろ?」
「ああ『探偵』やで?……『警察』やない」
揶揄するような新一の問いを、平次はあっさりと切り捨てた。
885:名無しかわいいよ名無し
06/09/13 00:28:40 HjDoHWhL
日本の刑法は犯罪者に甘く、また弁護士も本来の目的を忘れて、刑を軽くする事しか考えていない。
ましてや、レイプ事件においては、被害者たる女性やその家族の前で『女の方が悪いのだ。
そんな格好をしているから、そんな所を歩いているから、レイプされても当然だ。殺されても
当然だ』と、裁判の場で平然と言い放つ弁護士までいるのだ。
加害者が少年法で護られている年齢であれば尚のこと、その犯した罪に対する罰は、無いに等しい。
しかも、加害者はあの『工藤新一』だ。
結果は見えている。
それに、警察で、検察で、裁判で、レイプ事件の被害者である女性が受けるセカンド・レイプの実態。
以前より幾分マシになったとはいえ、被害者であるのに、非は加害者ではなく自分にあるのだと責め
られ、忘れてしまいたい恐怖の記憶を事細かに再現させられ、加害者からの報復や周囲の好奇の目
を恐れ、癒える事のない心の疵を一生抱えて隠れるように暮らさなければならない現状は、一向に
改善されていない。
レイプ事件で、被害届も出せずに泣き寝入りするしかない女性が多いのは、真に護られるべきである
『被害者の人権』を蔑ろにしたまま『犯罪者の人権』ばかりを声高に主張している、所謂『専門家』と言わ
れる人たちのせいだ。
平次には、そんな人間たちの前に、軽犯罪程度にしか扱われないだろうとわかっていながら、和葉を引き出す事は出来ない。
たとえそれが、平次の探偵としての信念を曲げる事になってもだ。
「闇夜には気ぃ付けるんやな」
平次のセリフに、新一は片眉を上げた。
「この世には、解けねえ謎は無えんだぜ?」
「フン……そんなモン、気ぃ付くヤツがおらんかったら、謎にもならんわ」
片目を眇めた平次が、口元にだけうっすらと笑みを浮かべた。
「それにな、謎があったかて、解けるヤツがおらんのや。お宮入りするだけやろ?」
そう続けた平次が、何かを思い出したような表情を見せる。
「ああ、そうや。お前とは『親友』やからなあ。何かあったら、オレが『真犯人』挙げたるから、安心せえや?」
新一の瞳に、一瞬、楽しげな光が過ぎった。
「……そん時は頼むぜ?」
「ああ、任しとき」
不自然な程に穏やかな会話。
『親友』の仮面の下に押し込められた感情は、多分彼らにしか読み取れないだろう。
僅かな間を置いて、平次は新一から身体を離した。
「カギ出せや」
「サイドテーブルの引き出し」
壁に突き立てたナイフもそのままに、平次が新一に背を向ける。
無防備に見えるその動作には、だが隙はない。
もし今、背後から斬りかかった所で、ダメージを受けるのは新一の方だ。
それがわかっているから、新一はただその背中を見やった。
886:名無しかわいいよ名無し
06/09/13 00:29:29 HjDoHWhL
引き出しには、鍵だけが入っていた。
和葉を戒めていた手錠を外すと、平次は血の滲む彼女の両手首を、裂いたハンカチでそっと覆った。
和葉が着ていた服は、既にその役目を果たしていない。
腕に絡んだパーカーは唯一服としての機能を保っていたが、和葉の身体を被うには足りない。
この家の物など何一つ使いたくはなかったが、仕方なく放り出されていたタオルケットで和葉の身体を包み込むと、平次は携帯を取り出した。
通話先は、病院。
高校生ながらそれなりの伝を持った平次には、自分のテリトリー外でも、口が堅く融通の利く病院を手配する事は容易い。
すぐに話はついた。
「オマエにも紹介したろか?」
「いや、俺はちょっと階段から落ちただけだし、湿布でも貼っとくからいい」
傷害事件として届けるか?と暗に尋ねる平次に、新一は端からそんな事は無かったのだと言うように、首を振った。
平次が、まるで硝子細工を扱うかのように慎重に、和葉を抱き上げる。
最後にもう一度だけ、新一に視線を投げた。
「ほな『また』な」
「ああ『また』な」
ドアが閉まる。
『また』
友人同士の、再会を望む別れの挨拶。
その言葉に含まれた、決別と敵対の宣言。
自分に向けられた明確な殺意。
「やっぱり、お前は『親友』だよ」
新一が微かに肩を揺らした。
小さな笑いは、次第に大きなものへと変わって行く。
新一の楽しげな、それでいて何処か悲鳴のような笑い声が、部屋を満たした。
―堕ちて来たな、ここまで。
このモノクロの世界、一緒に楽しもうぜ?―
<了>
887:名無しかわいいよ名無し
06/09/13 11:17:08 ZekZ2uPx
本当にカズハって気持ち悪いというかなんというか。
一番引いたのは乱と平時の服がお揃いだとか何だとか言った時。
そんなに平時が好きなんだ~って思う前に
嫌味ったらしい奴だな、という思いしかなかった。
カズハって周りのキャラを引き立てる為にあんな糞キャラなのかな、と思ったら納得した
888:名無しかわいいよ名無し
06/09/14 12:08:25 nxjVrhNX
よく女性からの相談の中で、
遊ばれたや、捨てられたという言葉を発する人がいます。
これに私は違和感を覚えます。
というのも、
自分の意思はないのですか?と思うからです。
そこで何かを自分が得ようと思ったから、そうしたわけであって、
結局は、自分のためにやったことなのです。
それを、遊ばれた、捨てられたというのは成長がない。
男女雇用機会均等法といいながらもいつまでも依存状態は抜けませんよ!
がんばれ!乙女!
と私はいいたい。
話がそれましたが、そういうことなのです。
男性に依存していると、男性の思うままになってしまいます。
多数の大多数の男性は、従順な女性は、絶対に離れていかないという
錯覚に陥ります。
そして、だんだんエスカレートしていき、
こいつは大丈夫だから、と勝手に決め込み、
他の女性にいってしまったりします。
そんなときに悲しい目にあうのはあなたなのです。
それでもよければ、そのまま言ってください。
私の彼はそんなことないと思う人は、そのままいってください。
ただ、そう思わない人は、
それをさせてはいけないのです。
その方法はこれ↓
もしかするとあなたの態度しだいでは私はどっかいっちゃいますよ
的な雰囲気を出さないといけない。
ダイレクトに出すのではなく、
男性に「やばいかな?」と思わせるくらいにしないといけない。
ダイレクトに出すのは、それはそれで問題になりますので。
難しいかもしれませんが、それをやると効果は抜群にあります。
一度、試してみて下さい。
889:名無しかわいいよ名無し
06/09/19 23:55:03 5bI1PH9L
そういや最近御守りの影が薄いが
一般読者からもキモがられてるんだろうか
890:名無しかわいいよ名無し
06/09/20 01:37:59 NblLtdJD
>>886
いいねえ。エロパロスレに投下してくれよ
こんなカススレにはもったいない(・∀・ )
891:名無しかわいいよ名無し
06/09/20 13:26:40 siE7A3Xe
>>890
お前エロパロスレでは和葉アンチじゃなかった?
腐女子って指摘されたからキャラ変えたの?
まあどっちにしろ和葉に執着してることはよくわかるが
892:名無しかわいいよ名無し
06/09/25 09:03:18 thjazu8T
55巻で珍しく役に立ってたが、平次にマジ顔で「トロい」とか言わせてるとこ見る限り
作者にも和葉が有能に活躍するのは不自然って思われてるんだな。
893:名無しかわいいよ名無し
06/09/25 12:28:39 thjazu8T
ネットしてて見かけた某和葉ファン(二次元で和葉が一番好きらしい)が
好きな女性のタイプ:背が低くて細くて優しくて強くなくて自分より能力(知能とか面白さとか)が下な子
とか言ってた。
なんとなく和葉を好きになる男の系統が分かった気がした。
894:名無しかわいいよ名無し
06/09/26 13:41:42 qNdQ3lYy
女性キャラのアンチは大抵リアルで不満のある婦女子
895:名無しかわいいよ名無し
06/09/27 01:07:22 ASu/87Zd
だろうな
心が汚れてるから腐女子といわれるわけだし
896:名無しかわいいよ名無し
06/09/27 01:36:17 ytjZ8b+J
普通の女にも和葉は嫌われてるよ。
女から見て嫌な女すぎるんだから仕方ない。
実力ないくせにプライドだけは高い低スペック男には可愛く見えるんだろうが。
>服部くんのお母さんの同級生の息子が結婚することになり、母の代わりに
>出席する服部くんと和葉さん。前日から上京し、東京見物をします。たまたま
>服部くんと蘭の服がおそろいだったから、またもや和葉さんがやきもちを焼き
>まくっています。しかし、蘭が即座に着替えたことに感動し、すっかり蘭に気を
>許します。あんなにしつこく的はずれな嫉妬をしていたくせに。その底の浅さが
>かわいい和葉さんでした。まあ、おそろい騒動は、いつまでも和葉が蘭を敵対
>視していると和葉の株が落ち、服部くんのファンを納得させられなくなるから
>でもありましょうが
>
>しかし、蘭に言いがかりをつけた和葉さん、やはりただではすみませんでしたね。
>まさか蘭が自分より強いとは夢にも思っていないのでしょう。仕返しに、服部くん
>とおそろいの服にさせられます。思い切り恥じらう和葉さんですが、服部くんの
>反応は、照れるでもなく別に意識していない様子。服部くんは、新一が蘭を想う
>ようには和葉を想っていないようです。父性本能で大切に思ってはいるのでしょう
>が、恋愛感情はなさそう。これからどうにかなるのでしょうか、あの二人。
897:名無しかわいいよ名無し
06/09/27 21:01:46 GnXqh5Z5
>>896
本当にリアルなら二次元なんかに興味ないだろ。
リアルならただのアニメとしか認識しないと思う。
898:名無しかわいいよ名無し
06/10/03 23:54:03 YXuYSPTs
というかここって信者叩きスレなんですか?
なんか怖いね。