04/10/08 22:09:23
続き
今日は違う意味でレイに疲れさせられたわ。
「アスカ、今度はいつするの?」
「するって何を?」
「意地悪しないで。あれよ。エッチな事よ」
レイから誘ってきたのよ。色々な意味で驚かされたわ。
「アンタ、自分が何を言ってるのか、分かってるの?」
私は二人の事を考えると、簡単には応じられなかったわ。
でも、レイは懸命になって懇願してきたの。
「分かってるわ。けど、どうしようもならないの。私の中の綾波レイが止まらないのよ」
「後悔するかもしれないわよ」
「後悔したっていいわ。私には碇君しかないもの」
「仕方がないわね…」
だけど、レイはレイのままなんだなって気づいたら、不安なんて小さな物に思えたのよ。
私はレイの頼みに応じる事にした。
シンジはレイとしたことで吹っ切れたみたい。最近、レイとの付き合いがぎこちなかったけど、自然に振舞えるようになったわ。
私はどこかほっとしたかな。レイに変わりないって確認できたから。
でも、これで更なる深みに落ちたような気がする。
今日は疲れたから、考えるのをよそう……
152:何処かの793
04/10/08 22:10:15
後書き
ここまでお付き合いしていただき、本当にありがとうございます。
一段落ついたのと、これ以上はだらだらと書く事になりそうなので、とりあえずは終わりにしておきます。
ユイを絡ませたのは、ネルフ側の問題を解決するのに使えそうだと考えたからです。
純粋にレイが好きな方には、不快な思いをさせたかもしれません。ここで謝罪します。
ちなみに、このレイはリナレイではありません。大人のユイと淡白なレイが単純に合わさったものです。
それと、最後まで書けたこのスレと、ここの住人の皆様には感謝の念でいっぱいです。
それでは、また機会があったらお会いしましょう。
153:名無しが氏んでも代わりはいるもの
04/10/08 22:12:28
お疲れさまでした。残念ですが。
とても素敵なお話で、いつも楽しみにしていました。
154:名無しが氏んでも代わりはいるもの
04/10/08 22:25:51
>152
おつかれさま。ぜひとも推敲清書して、どっかにまとめてください(笑)。掲示板に留めておくのもったいないし。
155:名無しが氏んでも代わりはいるもの
04/10/09 01:25:40
アスカ同意の下で、
レイ+ユイ(いずれもシンジの母親に値する存在)が、シンジとエッチしまくってるって事・・・?
156:名無しが氏んでも代わりはいるもの
04/10/12 21:08:54
乙
157:名無しが氏んでも代わりはいるもの
04/10/12 22:39:39
Z
158:名無しが氏んでも代わりはいるもの
04/10/16 01:45:00
保守
159:春琴
04/10/18 19:06:27
1
シンジの目はいつも、あたしのことを綺麗だと言っていてくれたから。
「会いたくないの」
そう言って、アスカはプイと横を向いた。
病室という場所はどこも同じにおいがする。
葛城ミサトが僅かに顔をしかめたのは、アスカの返答によるものではなく、不意に鼻についた消毒薬の匂いの為だった。
彼女は部下であり同居人でもあるアスカの我儘には慣れており、すでに隔意を憶える様な事もない。
自分がここへ来るのは初めてだが、毎日通っているという少年からも報告は受けていた。
この病室の前まで来ながら、彼が一度としてこの部屋に入ることを許されずに、帰っているということも。
部屋の印象は全体的に白く、その清潔なリネンはアスカの赤い髪を鮮やかに浮かび上がらせてはいる。たが、大きなベットに映るそれは、どこか寂しげな赤い花を思わせた。
細い肩の上で髪を揺らし、わずらわしげに打ち振れば、その包帯の巻かれた顔が顕になる。
「でも、せっかくシンジ君が来てくれたのよ」
「いいって言ってるでしょ!」
160:春琴
04/10/18 19:07:37
2
綺麗な花束は彼女の気を紛らわせるため。
甘い菓子。
色とりどりのフルーツ。
手のひらに乗るほどの、かわいらしい人形たち。
少女向けの小説などは、あの少年がどのような顔をして買ってきてくれたのかと思うと、アスカの言うままに無碍に突き帰すこともためらわれる。
「いいじゃないの、少しぐらい会って上げても。
シンジ君、毎日来てくれてるんでしょう?」
「しつこいわね!
会いたくないって…」
荒げられた声がわななく唇から紡ぎだされ、隠されずに残った青い瞳には苛立ちよりも不安が色濃い。
一人にして欲しいと言いながらも心細げにため息を吐かれれば、早々に帰ることも出来なかった。
気づまりな沈黙を打開する術もなく、ただ視線を見舞いの品へやっていたミサトは、控えめなノックに急いで扉を開ける。
客が少年なら、いっそ既成事実をと思ってのことだったが、あいにくと扉の向こうから顔を出したのはアスカの唯一といってもいい友人だった。
161:春琴
04/10/18 19:08:23
3
「アスカ。
あの、はいってもいいですか?」
おずおずと述べられた入室の許可に、部屋の主の言も待たずミサトは彼女を部屋へと招き入れる。
「入って、入って。
アスカも退屈してるのよ。
時間の許す限り居てやってね。
…アスカ、私はお邪魔にならないように帰るから。
何か必要なものがあったら、次に持ってくるけど。
何かいるものあるかしら?」
体のよい生贄と思ったわけではないが、洞木ヒカリのタイミングはミサトが辞するのにちょうど良かった。
ミサトには仕事があり、長居は出来ないと云う理由もある。
また、「子供のことは子供同士のほうが分かりやすいかもしれない」、「アスカが望んだ物を持って来るという理由があれば、次回シンジを入れる言い訳にもなる」などと、計算にもならないようなことを考えていた。
162:春琴
04/10/18 19:09:07
4
ミサトが慌しく去っていくと、ヒカリはアスカの枕元に椅子を寄せて座った。
「アスカ、どう?」
「どう…って、別に」
「あの、これお見舞いなんだけど…」
ヒカリは見舞いに持ってきた小さな花束を手に、迷っていた。
窓際に置かれた色とりどりの品々に、気後れを感じる。
「凄いわね。
こんなに、たくさん。
私のお花なんて…。
…アスカ、これ全部、碇君からなんでしょ?
碇君、毎日お見舞いに来てるって。
あのね、アスカ。
アスカがどうして碇君に会わないのか、私わからない。
だって、碇君あんなにアスカのこと…」
「やめて!」
163:春琴
04/10/18 19:10:01
5
「会いたくないの。
いいえ、会えない。
会えないわ…」
アスカが首を振れば、長い髪は揺れて、緩やかに彼女の肩を打つ。
「こんなかっこ、見られたくないの」
その包帯が巻かれた顔を隠すように俯いて、アスカはこぼした。
ヒカリが漸く聞き取れるほどの、独り言のような小さな声だった。
「そんなこと…。
そんなこと、碇君は気にしないと思う」
ヒカリの慰めも、アスカの耳には届いていない。
シンジに会うことへの恐怖が、アスカの心を占めていた。
164:春琴
04/10/18 19:11:00
6
自分自身を誇ること。
その誇りを支えに己を鼓舞することは、アスカのアイデンティティといってもいい。
エヴァのパイロットであること。
14歳にして大学を卒業したことなどは、アスカが勝ち取ってきたものだった。
弛まぬ努力と、忍耐の結果だ。
アスカはそのことを誇っていたし、支えにもしていた。
しかし、それはシンジにとっては何の意味も持たない。
あるいは、「何の価値も持ってもらえない」と言い換えたほうが正しいのか。
165:春琴
04/10/18 19:12:37
7
アスカにとっては自慢になることも、シンジにはどうでもいいことらしかった。
エヴァのパイロットは強制された結果でしかなく…。
学業とて、赤点さえ取らなければ良いぐらいにしか思っていない。
アスカのことも表面は感心して見せるが、競おうともせず其れだけだ。
アスカは、シンジに無関心でいられることが何よりも辛かった。
アスカに残っているのは、あとは自分自身だけだった。
しかし、肢体を武器に誘おうにもシンジは子供過ぎた。
慌てるばかりで、アスカが望むような反応を引き出せたことはない。
まして同居人の葛城ミサトの熟成したそれに比べれば、アスカは己の体が魅力に足るものとは思えなかった。
シンジの気を惹きたいが、彼が関心を持ってくれそうなものを何一つ持っていない。
ライバルであるファースト・チルドレンがシンジと親しげに話す姿を見れば胸が痛んだ。
悲しみと苛立ちはアスカの言葉を自然ときついものに変える。
それがシンジを遠ざけることになると判っていながら、アスカはほかにどうすることも出来なかった。
166:春琴
04/10/18 19:13:49
8
口下手なシンジは、あまり本心を語らない。
そのかわりに、嘘を吐くこともなかった。
そんなシンジが、たった一度だけアスカを褒めてくれたことがあった。
ただ一度、「アスカの目は海みたいな色で綺麗だね」と。
167:春琴
04/10/18 19:15:16
9
美醜など皮一枚のことだと、アスカには判っていた。
美しさが優る時期を過ぎれば、それを留める術など無い。
アスカの実母は、幼心にもとても美しい女だと思えた人である。
アスカよりも淡い金の髪と、薄い色の瞳をした儚げな人だった。
狂気の淵を彷徨いながらも、その美貌には翳りはなかった。
しかし、そんな美しい女ですら、夫の心を繋ぎ止めることは出来なかったのだ。
父が二度目に選んだ女性を見たことが、美しさは価値に成り得ないのだと言う事をアスカに強く印象付けてしまったとしてもおかしくない。
その上、アスカは自分が美人だと思ってはいなかった。
移ろい易い、失うことが判っているものに縋ることほど、愚かしいことはない。
アスカの理性は、そう告げる。
168:春琴
04/10/18 19:16:21
10
それでも…。
シンジがアスカに価値を置いて、それを認めてくれたのは、「アスカの目の綺麗さ」だけだった。
「青い目が綺麗だ」と、そう言ってくれたことがアスカの全てだった。
シンジの視線を感じアスカが振り向くと、彼はいつもアスカの顔を見ていた。
アスカが目を見開き甘く潤ませれば、シンジは眩しいものでも見たかのように目を細め、赤くなって俯く。
シンジは、アスカの「目」を好きでいてくれる。
その「目」が作り出す表情を、表情を作り出すアスカのこともきっと。
アスカは、口で甘えることなど出来ない。
態度に表すことも苦手だった。
だからこそ、その「目」で甘えた。
シンジが好きだといってくれた「目」が、少しでも彼を捕らえることが出来るようにと。
169:春琴
04/10/18 19:22:50
>165
訂正
ミサトの熟成したそれ→ミサトの成熟したそれ
170:名無しが氏んでも代わりはいるもの
04/10/18 19:23:20
春琴抄にモチーフを借りてうまくまとめましたね
うまいなぁ
171:名無しが氏んでも代わりはいるもの
04/10/18 19:24:08
>170
×うまいなぁ
○切ない感じがいいなぁ
172:名無しが氏んでも代わりはいるもの
04/10/18 20:05:18
終わりでつか?
173:名無しが氏んでも代わりはいるもの
04/10/19 10:25:57
もちろん続くでしょ。
期待大
174:春琴
04/10/19 19:11:40
11
寂しさを言葉に出来なくとも、視線を向ければシンジはアスカを待っていてくれた。
「ごめんなさい」が言い出せなくても、思いを込めて見つめればシンジは許してくれた。
感謝も好意も、言葉や態度であらわせない代わりに、アスカはその「目」でシンジに伝えていた。
シンジはいつだって、アスカの「目」を見つめてくれた。
…彼は、アスカの「目」を気に入っていたから。
アスカのシンジに対する解釈には、幾許かの誤解と思い込みがあった。
しかし、それを正してくれるものはいなかった。
アスカは、己の不安を素直に口にするには天邪鬼すぎた。
それに、アスカの「目」は口よりもはるかに雄弁だったが、その眼差しが注がれる相手はシンジに限られていたからだ。
175:春琴
04/10/19 19:13:30
12
だから、今、アスカはシンジに会うことが怖い。
ヒカリのとりなしにも、俯いて首を振ることしか出来なかった。
「会えない…」
そう、小さく繰り返すばかりで。
「…うん、わかった。
ごめんね、アスカ。
でも、アスカが会いたくなったら言ってね。
このままずっと、会わないわけにもいかないでしょ?
碇君も、待ってると思うの。
だから、ね、アスカ…」
怒ることも呆れることもなく、ヒカリはアスカを思いやる。
ヒカリの優しさも、アスカには辛かった。
ヒカリは、アスカをいたたまれない気持ちにしたまま帰っていった。
176:春琴
04/10/19 19:21:26
13
自分が、もしもヒカリのように家庭的で優しい子だったら…。
シンジはもっと違った形で、アスカを認めてくれたかもしれない。
人に素直にやさしく出来るヒカリが、羨ましい。
…そんなふうに考えてしまうことが、アスカは嫌だった。
己を卑下し、他人を羨むばかりの人間は汚い。
アスカがこんなことばかり考えていると知れば、シンジは嫌いになるかもしれない。
シンジに嫌われたくない。
一人きりになれば、アスカの思考は悪いほうへばかり進む。
シンジが心を配って揃えた品々も、落ち込むアスカの慰めにはならなかった。
177:春琴
04/10/19 19:22:52
14
病院の廊下というものは、常に人の気配があっても騒がしいということはない。
けれどその日、アスカは自分の病室に近づいてくる、大きな足音を聞いた。
この病室は緊急病棟にあるわけではない。
ただの見舞い客が立てる音だとしたら、随分不躾な客だった。
アスカはドアに鍵が掛からないことを思い出し、軽くため息を吐く。
ドアを開く前から、それが誰であるか分かっていた。
「惣流、じゃまするでー」
ノックというものを知らない客は、ずけずけと室内に入ってくる。
何か投げつけてやろうかと思ったが、アスカはそれを諦めた。
手元にあるものはどれも、シンジがアスカのために選んでくれた品だったから。
178:春琴
04/10/19 19:28:27
15
「あんなー、ええ加減にせんと、碇のこ、と」
挨拶もなしに本題に入ったのは、シンジの友人である鈴原トウジだった。
が、全てを言い終える前に、後ろから入ってきたヒカリに叩かれる。
「鈴原っ!
病院で走るなんて!!」
「委員長、いきなりどつかんといて」
「患者さんにぶつかったら、どうするつもり!
学校の廊下だって、何度言ったって…」
ヒカリはアスカにとって大切な友人だ。
彼女の美点を、アスカは幾つも数えることが出来る。
しかし、恋人の趣味だけは、どうしても理解することが出来なかった。
ヒカリが好きだと言う、この関西弁を喋る男は、アスカから見ると野蛮人にしか見えなかった。
179:春琴
04/10/19 19:29:13
・・・続く
180:名無しが氏んでも代わりはいるもの
04/10/19 19:30:53
胸が痛くなりますね
181:名無しが氏んでも代わりはいるもの
04/10/20 05:37:02
切ないね。
182:春琴
04/10/21 17:33:32
16
「仲がいいのはかまわないけど。
ここで漫才するなら帰って。
部屋に入って良いとは、言ってないわ」
二人の仲の良い姿を見て微笑ましいと思えるほど、今のアスカには余裕がなかった。
ベットの隅を見つめることで目を逸らし、出来るだけ冷たく言う。
ヒカリは大好きだが、今は駄目だった。
…見ていたくない。
怒らせてもいいから、早く帰って欲しかった。
「つんけんやなぁ」
「鈴原!
…アスカ、ごめんね。
今日は、あの、碇君のことで」
「シンジが怪我したんや!」
トウジの声に、アスカは一瞬大きく身を竦ませた。
183:春琴
04/10/21 17:34:07
17
「…ど…こを?」
尋ねる声が、自分のものではないかのように聞こえる。
振り向いたアスカの片方の「目」が、トウジを呆然と見つめる。
見えているはずの目であるのに、何も映っていないかのようだ。
「惣流のせいや。
シンジはなぁ、いっつも」
「鈴原、いいかげんにして!
碇君の怪我は、アスカに関係ないでしょ!
アスカのせいだなんて、言い方しないで!」
「そやかて、あいつがぼんやりしよったのは、
惣流のこと考えとったからやろ?」
「シンジは、どこ!!」
「下の医局や」
184:春琴
04/10/21 17:35:16
18
ベットから滑り降りると、アスカは駆け出した。
この病院はネルフ直属であり、外来などの受付もあるが、基本は職員が利用している。
シンジはパイロットなので、アスカと同じく健康管理に関しては技術部が責任を負っていた。
医局には、彼ら専用の窓口があった。
その日ごろ通いなれた場所までの通路を、走るアスカはひどく遠く感じる。
肩で息を弾ませながら、アスカはドアを開けた。
背もたれのない診察用の黒い椅子に座り、シンジは医師の説明を聞いていた。
一つ二つうなずくと、顔を上げる。
その頭部に巻かれた白に、アスカは血の気が引くような気分を味わった。
シンジは、鼻から上を包帯に包まれた姿で座っていた。
185:春琴
04/10/21 17:36:16
19
「…シ…ンジ」
かすれた声は、言葉として聞こえなかったかもしれない。
しかし、その声に少年は的確に反応した。
「アスカ?
アスカだよね。
どうしたの?もういいの?
あっ、医局に来たんだから、良いわけないよな。
どこか、痛い?」
ドアの前から動けずにいるアスカに、まるで見えているかのように話しかける。
声音も、隠されていない口元の表情も、いつもどうりのシンジとなんら変わることがない。
だが、そこに巻かれた白が、アスカの動きを止める。
「見られたくない」というアスカの願いを、それは叶えてくれるものだったのに。
186:春琴
04/10/21 17:37:01
20
「鈴原、待って」
「あ~、はいはい。
委員長、なんで惣流は怒らん?
ごっつう走っとるやん」
後ろから聞こえてきた会話に押されるように、アスカの足が動く。
躊躇いがちに踏み出したその動きに、気づいたシンジが椅子を立つ。
視界を半分失えば、距離感の違いにしばし戸惑う。
まして、両目の見えない状態のシンジは、当然のように躓いた。
体勢を崩したシンジを、支えるためにアスカは腕を伸ばす。
アスカから、シンジに触れるのは、初めてのことだった。
187:春琴
04/10/21 17:37:39
・・・続く
188:名無しが氏んでも代わりはいるもの
04/10/21 19:10:12
うむー。
アスカかと思ったらシンジの方だったのか。
ネルフの科学力は世界一ィィィィィィー! な展開を
キボンしたいところであります。
189:名無しが氏んでも代わりはいるもの
04/10/21 19:33:32
大切な人を想う気持ちが込められているのを、ひしひしと感じます・・・
190:名無しが氏んでも代わりはいるもの
04/10/21 23:27:51
目をふさぐならシンジだと思ってはいたけど、故意じゃなくて事故なのか……続きを見たいです。
191:春琴
04/10/24 10:48:09
21
アスカの手よりも、僅かに大きな手。
汗が引いて少し冷えたその手に、シンジの温もりが滲む。
その重なった手を解くことも出来ず、アスカはただ見つめた。
関節の形が、アスカの形とは違う。
アスカが他に知る誰の手とも、シンジの手は似ていない。
シンジの手、その肩、細い首、首にかかる黒い髪。
アスカは視線を上げていく。
今見えるのは、シンジの口元だけ。
それでも、包帯の下に隠された目も鼻も全て、よく知っている。
アスカは、それをはっきりと思い浮かべることが出来た。
シンジがアスカを見ていたのと同じ時間だけ、アスカもまたシンジを見ていた。
192:春琴
04/10/24 10:50:29
22
「なんや、仲直りしたんか」
横から不意に掛かった言葉に驚き、アスカは手を引こうとした。
しかし、その手をシンジが握る。
強い力ではなかった。
アスカが払えば、簡単に振り解けるだろう。
手を離したほうがいい。
すぐ側で、ヒカリや鈴原が見ている。
シンジとしても視界を奪われた不安から、反射的にアスカの手を握ったに過ぎないだろう。
そう思いながらも、アスカは動くことが出来なかった。
手が重なった部分が、暖かい。
アスカばかりが、未練がましくこの手に縋っている。
…自分からは、離せない。
アスカに選べた方法は、一つだけだった。
193:春琴
04/10/24 10:51:56
23
「離して」
「あ、うん、そうだね。
…でも、椅子まで」
アスカが意を決して言った言葉に、シンジはあっさり頷いた。
しばらくぶりに交わすシンジとの会話だというのに、アスカは心と裏腹の言葉を口にしている。
この、視線を合わせて本心を知ってもらうことも出来ない状態で。
「心配した」の一言さえ、言えない。
もどかしさに、アスカは泣き出したくなる。
いっそ泣いてしまえたら、楽だったろう。
だが、他人のいる前で泣くなどという醜態をさらすことは出来ない。
自分のプライドがそれを許さないことも、アスカにはよくわかっていた。
アスカの思考は乱れるばかりなのに、横に立つシンジの顔に変化はなかった。
アスカのそっけない言葉にも、特に何かを思っているようではない。
それが気持ちの温度差を表しているようで、アスカは辛かった。
194:春琴
04/10/24 10:53:09
24
椅子までの距離は僅かだったが、二人の歩みはもどかしいほどに遅い。
アスカは考えを放棄し、腕に掛かるシンジの重みに意識を寄せた。
想いが伝わらなくとも、こうしてシンジはアスカを頼っている。
シンジが甘えてくれるのは、初めてかもしれない。
そう考えると、手を離すことがますます惜しくなる。
輪郭や形、温もりや重さ。
シンジのパーツの一つ一つを、確かめるようにアスカはたどった。
アスカの思いに応えるように、その手が強く握られる。
息をつめたアスカの前で、シンジは椅子に座るために屈んだ。
体勢が崩れたために力を入れただけだと判ったが、アスカの心音はいつもよりもやや早い。
椅子に着いても、シンジの手は離れなかった。
195:春琴
04/10/24 10:54:23
25
「アスカ」
「何」
「アスカ、大丈夫?」
「別に。
それより、手」
握られたままの手が、熱い。
「いちゃついとるんかと思えば、それか。
シンジもいいかげん、ガツンと言ったらんかい。
惣流も、惣流や。
我儘ばかり言いよらんと、
たまにはシンジを心配したらどうや。
そのうちシンジにも、見捨てられるで」
「鈴原、言いすぎよ!
アスカだって…」
庇ってくれるヒカリの声が、遠い。
…シンジに、見捨てられる?
幾度も想像したことがあったが、他人に言い切られるのとでは衝撃が違う。
アスカは無意識に、シンジの手に爪を立てていた。
196:春琴
04/10/24 10:56:04
26
「たいしたことないんだよ。
僕が、ぼけっとしてたから。
だから平気だって。
トウジも、大げさすぎるんだよ。
よくあることだろ。
心配するほどのことじゃないよ。
…アスカが知ったら「バカシンジ」って、
言われるんじゃないかな」
握り締めた手は変わらない。
アスカの耳に届く、シンジの声も。
「甘すぎや。
たまには灸でもすえんと、わからんのや」
「アスカはいつもやさしいよ」
「なんでそない…「鈴原!」」
「だって、わかるよ。
アスカの手、こんなに震えてる」
197:春琴
04/10/24 10:57:02
・・・続く。
台風怖い。
もう、来るな。
二度と来るな。
198:名無しが氏んでも代わりはいるもの
04/10/24 13:53:43
乙。
ご無事で何よりでした。
199:名無しが氏んでも代わりはいるもの
04/10/24 15:17:06
なんか読んでるほうがもどかしくなるなあ。いい小説です。
200:名無しが氏んでも代わりはいるもの
04/11/03 09:26:01 hYqGvW/D
続きよみたいです。楽しみです。
201:名無しが氏んでも代わりはいるもの
04/11/10 06:38:35
保守しておきますよ。
しかし、、テーマ別の投下スレがわんさかあるからあまり需要無いのかも
202:名無しが氏んでも代わりはいるもの
04/11/13 23:03:20
続き読みたいです。まったりお待ちしています。
203:名無しが氏んでも代わりはいるもの
04/11/25 22:59:45
待ってます
204:名無しが氏んでも代わりはいるもの
04/12/07 07:56:44
がんがれ
205:名無しが氏んでも代わりはいるもの
04/12/18 18:58:20
お待ちしています
206:名無しが氏んでも代わりはいるもの
04/12/28 03:12:34
二ヶ月たった・・・続きをー
207:名無しが氏んでも代わりはいるもの
04/12/28 22:17:42 eusEKA65
誰か神様来て・・・
208:名無しが氏んでも代わりはいるもの
04/12/28 22:25:15
神様といってもデンデだぞ……
209:名無しが氏んでも代わりはいるもの
04/12/28 22:28:57
某スレが自分のメモ帳のようになってきて、ちょっと自粛しようかなと思っている
210:名無しが氏んでも代わりはいるもの
04/12/29 07:42:41
>>209
自粛しなくていいんじゃないか
少なくとも一ヶ月に1レスあるかないかって状況より良いだろう
211:名無しが氏んでも代わりはいるもの
04/12/29 13:34:56 TGCfQ82+
>>209
どこのスレ?
212:名無しが氏んでも代わりはいるもの
05/01/09 20:17:20
一年ぶりに再会した今月の貞本エヴァを読んで、
来月はどう展開するのか考えて書いたもの、
投稿していい?
213:名無しが氏んでも代わりはいるもの
05/01/09 20:31:43
是非、お願いします!
214:名無しが氏んでも代わりはいるもの
05/01/09 20:31:57
投下しる!
215:名無しが氏んでも代わりはいるもの
05/01/09 20:35:40
「シンジ君、ATフィールド展開、レイの救出急いで!」
「はい!」 トウジを助けられなかった、アスカもあんなことになって……もう二度と、
あんな思いするのは御免だ、絶対助ける。
ATフィールドを展開した初号機に気づいた使徒が、初号機に向かって細長い身体の
末端を矢のように突進してきた。
「碇くん!?」すでに使徒と接触し、零号機を侵食されていたレイには、自分の心に侵入
してきた使徒の思考が見えていた。初号機とも融合しようとしている。
間一髪、初号機は使徒の突撃をかわし、使徒はエヴァの射出装置を粉々にした。
すぐさま向きを変え、再び突進してきた使途を初号機は両手で捕らえたが、
それは使徒の目的を妨げたことにはならなかった、使徒を掴んだ両手からじわじわと
蛭のように侵入して初号機と融合すると同時に、シンジの両手にも太い血管のような腫れが
網の目のように広がり、痛いようなくすぐったいような感覚をシンジに与えた。
「なんなだよっコレ!どうすればっ…」不気味に腫れ上がる自分の腕を引きつった目で
睨み付ける。
「シンジ君、プラグナイフで応戦して!」
ミサトに指示され、気を取り直したシンジはプログナイフを巨大な蚯蚓のような使徒の
身体に突き刺した、赤い血が白く輝く身体から吹き出し、細長い体躯をのたうたせた。
「!!?」シンジは、はっきりと誰かの悲鳴を聞いた、しかしそれは耳で聞いたものでは
なく、頭に直接響いたようだった。「クソッ、なんなんだよ!使徒、コイツなのか!?」
感情だけではなく、微かだが痛みも伝わってくるように感じた。
“イタイ… クルシイ…”最初、音ではない声だったが、それが聞き覚えのある声のように
聞こえてきた。“イタイヨ… イカリクン…”その声が誰のものであるか察した時、シンジの
手の腫れはいくつもの小さな人の頭や体の形に変形した。「綾波っ!?」
216:名無しが氏んでも代わりはいるもの
05/01/09 20:43:39
初号機に掴まれていた使徒の身体の端が突然とレイの上半身の形を成し、初号機に
迫った。「これは…私の心、碇くんと一緒になりたい…」自分の心を侵した使途が、
内に秘めた欲望を体現させようとしているのだと、レイは悟った。レイの姿をした使徒が
初号機の顔に抱きつく。
“苦しい… 寂しい… 悲しい… 私を独りにしないで…”自分のものでない感情が、
はっきりと怒涛のようにシンジの脳裏に流れ込んできた。
レイの目から涙が溢れた、それはさっきのように寂しさのせいではなかった、十数年間
彼女を怯えさせていた心の空洞が満ていくような感覚を覚え、その悦楽に再び意識が
遠のいた。
“どう?碇くんとひとつになる感覚は?”もうひとりの自分、自分の姿をしたヒトがレイに話かける。
“気持ちいいでしょう。嬉しいでしょう。”
「ダメっ…こんなのは、違うわ…やめてっ…!」拒みがたい幸福な気持ちに心がすべて支配されそう
になったが、寸でのところで彼女は抵抗した。「あなたは私じゃないわ、勝手なことはしないで!」
“何が違うと言うの?これはあなたの望んでいることよ。碇くんとひとつになりたい、自分だけのもの
にしたい。私が手伝ってあげるわ。”
「ダメ、碇くんを巻き込んではダメっ…!」
“そう、なら私とひとつになるしかないわね。”
「ATフィールド反転、一気に侵食されます!」マヤが零号機の状態の急変を告げた。
「使徒を押さえ込むつもり!?」マヤの肩越しにステータスグラフを見ていたリツコが呟いた。
初号機の顔に張り付いていた使徒が後ろから引っ張られるようにして剥がれ、
使徒の身体は零号機の身体に吸い込まれていった。
「綾波?」レイの姿をした使徒が初号機から離れる刹那、シンジは不穏なものを感じ取った。
217:名無しが氏んでも代わりはいるもの
05/01/09 21:31:20
「フィールド限界、これ以上はコアが維持できません!」マヤが告げたのは零号機の身体が
崩壊することを意味していた。
「レイ!機体は棄てて逃げて!!」ミサトは命令というより、必死の願うように叫んだ。
「だめ、私がいなくなったらATフィールドが消えてしまう、だから…だめ…」
レイはエントリープラグ内の端末から、初号機の自爆コードを打ち込み、レバーを引いた。
「レイ、死ぬ気!?」ミサトは愕然とした表情で呟いた。
「綾波!やめろぉっ!!」同じくレイの行動を悟ったシンジは、初号機でレイのもとに駆け寄ろう
とした、しかしもう一機のエヴァ、弐号機が初号機の脚にしがみついてそれを阻止した。
「なにするんだ!放せよっ!!」弐号機を引きずり、振りほどこうとしながらもシンジはレイのほう
へ向かった。
「よせ、行ってどうする気なんだい?あの使徒を倒すにはこうするしかないだろう、それに、
これは彼女自身が望んだことだ、君も感じただろう?」カヲルの言うことは確かだった、
銃器も刃物も効かない、触れるだけで身体に侵入してくる使徒を殲滅する方法は他に考え付かない。
「でも、こんなのって…!」シンジは使徒を介して流れ込んできたレイの悲痛な感情を思い返した。
「やっと、やっとあいつの気持ちが分ったのに…それなのにこんなのって…!」
「コアが潰れます!臨界突破!!」モニターが示すままに、マヤが初号機の最期を告げる。
「最後に…もう一度、あの手に触れたかった…」使徒を完全に取り込み朦朧とする意識の中、
シンジと出会ってからの短い日々を去来し幻を見た。
目が潰れるような眩い光と、N2兵器のような熱エネルギーが第三新東京市を包み、
レイを乗せたエヴァ初号機は消滅した。
218:名無しが氏んでも代わりはいるもの
05/01/09 21:34:21
あ、プラグじゃなくてプログだっけ…orz
219:名無しが氏んでも代わりはいるもの
05/01/09 22:36:52
(´・ω・`)?
220:名無しが氏んでも代わりはいるもの
05/01/10 01:12:34
シンジがレイを「あいつ」と呼ぶのはちょっと違和感。
221:名無しが氏んでも代わりはいるもの
05/01/10 01:53:02
シンジはレイのこと、三人称でも「綾波」っていってたっけ?
222:名無しが氏んでも代わりはいるもの
05/01/10 10:11:33
"初号機が"消滅?
223:名無しが氏んでも代わりはいるもの
05/01/10 10:13:29
「やっと、やっと綾波の気持ちが分ったのに
でいいじゃん。
224:名無しが氏んでも代わりはいるもの
05/01/10 10:23:45
ほんとにこんな展開だったら泣く
225:名無しが氏んでも代わりはいるもの
05/01/10 10:30:13
アニメ版を踏襲するなら二人目がいなくなるのは必然だが
できれば違う展開にならんかな。
役立たずなカヲルを犠牲にするとか。
226:名無しが氏んでも代わりはいるもの
05/01/10 11:02:49
でもカヲルがここで死ぬと最後のシ者が…。
でも連載の予想SSってのが中々面白かった。
本編放送中はこんな感じで書いてた人が居たんだろうか?
227:名無しが氏んでも代わりはいるもの
05/01/10 15:14:18
書くってなにを
228:名無しが氏んでも代わりはいるもの
05/01/10 15:59:46
次回を予想したSSを。
229:名無しが氏んでも代わりはいるもの
05/01/10 16:31:32
あのころ今ほどネットが一般化してなかったとおもうが、
どこで発表したもんだろう。
230:名無しが氏んでも代わりはいるもの
05/01/10 16:35:30
同人誌って知ってるか?
231:名無しが氏んでも代わりはいるもの
05/01/10 16:48:13
Niftyに居た気がする。
予想FF。
232:名無しが氏んでも代わりはいるもの
05/01/12 18:30:41
本編の予想FFか
きっと、ことごとく裏切られたんだろうな
233:名無しが氏んでも代わりはいるもの
05/01/15 03:10:25
次回が楽しみだ。予想あたってたら凄くない?
234:名無しが氏んでも代わりはいるもの
05/01/17 23:56:20
展開予測ショー
235:名無しが氏んでも代わりはいるもの
05/01/23 19:48:36
変態観測
236:名無しが氏んでも代わりはいるもの
05/02/09 02:42:14
\ | ,,...-‐‐‐--、, l / / / /
|、 / | ,.べ;;;;;::、--- 、:::;;`ヽ、 ''‐-‐'゙/ / / /
、,_,.! ゙'-'゙(. //::/´ ``ヾ、 l / /
) (. /:,`!ヾ、. , ゙>- ヽ、_,,./ / /
'゙"`ヽ, /``/::;:゙;゙::!:.:| ``'''‐--‐''゙ '-‐'゙ ゙、 / /
ヽ ヾ /:;'/:.:!:::l 、,r''"゙`'ヾ ,:',-‐-、,'l / /
-=,'゙ ./:::/:.:.|::::l / (・),. ヾ,_(・) ,'゙l (
`ヽ ,゙:::,'::::;':!::::l `"´ ''"´ | ̄__,,l,,...,,_ \ ひいっ・・・!!!
-='゙ l::::l::::;':. l:::::l ` ゙、.,,_,,.``ヽ、
__) l!゙,l:::;'-、 ';::::! ,.-‐‐:、 l `ヽ、 \
ヽ. !:l:::l/-ヽ.゙;::', U /:::::::::::r=‐'''"´`''‐,.-゙'‐-、ヽ.
) ゙!::l l"''、l ヾ゙:、 u l:::::::::::::::`'''‐‐''''‐i'゙ ,,..、 `\
l:::l,ヽ、_, ヾ;\ ゙、.,,_ノ/ ̄ ̄ノ /ヽ. ` \ ____
/ !::l:゙ヽ、. ,、 ヾ、;、 ゙'‐''"7'゙/ /゙ヽ \ _,./´-、ヽ.`´ ̄``
/ / l::l``;::,`´:ヽ、 `ヾ:;、.,__ :::: / `'''゙ \ ゙、 ヾ;‐、''-、゙; ヽ\::`
/ / l:l ";'::;'::';';! `''‐ 、.,_` ̄ / r'゙´ ̄ ̄``'''‐、 ゙、 ' l l:::! ゙、 ヽ`
. / l:! !:;'::!::::;! ``'''‐‐---┬'゙ `'''''''''‐-、 ゙、 ./ l:::l ヾ
237:ひまひまひま
05/02/12 16:07:02
「ねぇシンジ、1人でするのって気持ち良いの?」
晴れた日曜の昼下がり、リビングでTVを点けたまま雑誌を読み、
ポリポリとお菓子を食べている器用な少女の突然の問いに時が止まった。
「え?・・・・・・・えっ?何か言った?」
1人でする?何を?何で?気持ち良い?何が?
何か会話してたっけ、、いや、記憶に無い。
昼頃起きて、良い天気だったので布団を干して洗濯して、
遅い朝食を昼食代わりに食べた後、アスカはリビングへ、
僕は彼女より遅く食べ終わって今は食器を洗ってる。
2人とも無言だったし、特に変わった行動もしてない。
「だからぁ、1人でするのって気持ち良いの?」
アスカの雑誌を読む目がチラリとこっちを見て再び問いかける。
238:ひまひまひま
05/02/12 16:07:45
「何を、、するの?」
そう答えた瞬間に想像したのは「アレ」だった。まさか・・・そんな訳ないよな。
そう思って首だけリビングに向け、アスカの手元に目をやって青ざめた。
読んでいる雑誌は「ホット・マガジン」。
一昨日トウジとケンスケが泊まりに来た時に持ってきたやつだ。
大人、というよりはもうちょっと若い年齢層向けでH重視の内容。
もちろん興味が無い訳じゃなかったし、アスカは洞木さんの家に泊まりに行ってたから
男3人でちょっと赤くなりながら盛り上がった記憶がある。
なんで・・・ケンスケが持って返ったと思ってたのに。
どうしてアスカが見てるんだろう・・・いや、考えればすぐ分かる。
忘れていったんだ、そしてアスカが僕の部屋に勝手に入って押収したんだ。どうしよう。
「何って、アンタもしてたじゃない」
心臓が止まるかと思った。
いつ見られた?する時はいつもアスカが寝てるか居ない時間を選んでた。
場所はトイレ、終わった後の紙は流してるから証拠も無い。
材料は?ケンスケから無料で貰った10枚のアスカの写真、絶対見つからないような場所だ。
いやそれよりも、何て答えたら良いんだ?
239:ひまひまひま
05/02/12 16:08:26
「な、何を?してないよ?」
分からないのに「してない」んだ。僕は馬鹿だ。
いや、もういい。とにかくしてないんだ。
「ふーん、アタシが入院してる時のアレは錯覚だとでも言うつもり?」
心臓が止まった。一瞬。
僕に目も合わさずに雑誌を読みながらアスカが問いかけてくる。
声の抑揚は普段と全く変わらない。それがさらに怖い。
そうだ、僕はアスカに知られてるんだ。
病院の個室で病人として寝てるアスカの目の前でやったアレを。
でも何で今更!一度も口にしなかったのに!
補完の中で「私をオカズにしたくせに」って言われたけど、
戻ってきてからは一度も言われてない。
だからあの事は覚えてないんじゃないかと思い込んでた。
「ねえ、今もしてるの?」
ちょっとだけ赤くなってニヤついた目でアスカが僕を見る。
ダメだ、言葉が出ない。何と答えても罵倒される気がする。
240:ひまひまひま
05/02/12 16:09:09
「どうなのよ?」 「い、いや、その、、、」
「・・・・・・してんのね」 「し、してないよ!」
「気持ちいいわけ?」 「だ、だから!してないって!」
「あーぁ、加持さんもしてんのかなぁ?」 「!!」
「ねえ、どう思う?やっぱりしてると思う?」 「か、加持さんは1人じゃ、ないから、、」
「なーるほどねえ。ってー事はアンタはしてるわけだ」 「!!」
「ア、アスカには関係無いだろ!」
ダメだ、部屋に逃げよう。そして家を出よう。
もう顔を見る事が出来ない。恥ずかしさと屈辱感が襲ってくる。
「へぇー、オカズにされる側は“関係無い”かぁ」
部屋へ向かおうとする足が止まる。
「ご、ごめん・・・・・」
何を謝ってるんだ僕は!
でも、アスカに悪い事をしたのは確かなんだ。
その気持ちが反射的に僕の口から謝罪の言葉を紡ぎだす。
ちゃんと謝った方が良いんだろうか。でも恥ずかし過ぎる。
241:ひまひまひま
05/02/12 16:09:51
「べっつにぃー、謝って欲しいわけじゃないけど」
まるで無関心という感じの声だ。
「で、どうなの?気持ち良いの?」
まるで興味津々といった具合に声が変わる。
「分からないよ・・・そんなこと」 「じゃあ、何でするのよ?」
「分からないよ・・・そんなこと」 「アンタバカぁ?“気持ち良いから”以外に理由があるの?」
「分からないんだ!ホントに!確かに欲望を満たす為かもしれないけど、しなかったら変になっちゃいそうで・・・」
「変って、どうなんのよ?」 「分からないよ・・・そんなこと」
「アンタねぇ、、バカ?」 「そうかも、しれない」
「はぁ、、もういいわ。それより、してみせてよ」
「うん、ごめん。・・・・・って、えぇっ!!?」
思わずアスカの方を向いてしまう。
青い目は爛々と輝き、否定を決して許さないという意思が伝わってくるようだった。
242:ひまひまひま
05/02/12 16:10:36
っていうSSを誰かエロエロに仕上げてよ。
243:名無しが氏んでも代わりはいるもの
05/02/12 16:32:39
うはwここでおあずけですかw
続き書いておねがいします
244:名無しが氏んでも代わりはいるもの
05/02/12 16:46:00 BzoF66Il
>>242
きゃあスレへGO!
245:ひまひまひま
05/02/12 18:32:05
「な、何言ってるんだよ!」 「何?恥ずかしいわけ?」
「当たり前だろ!それに女の子がそんな事言う 「じゃ、男の子は女の子の前であんな事しても良いんだ?」
「う・・・アレは!その、、ごめん」 「だから、別に謝んなくても良いのよ。いっくら謝っても許すわけないんだから」
「・・・・・・・・・・・・・・・・」 「1回見られてんだから何度見られても同じでしょ。しかも今度はちゃんと見ててあげるって言ってんの」
「同じじゃないよ!それに、、見られた方が恥ずかしいよ!」 「だからやれって言ってんのよ」
やっと分かった。アスカは復讐のつもりなんだ。
そりゃ悪かったと思ってる。でも、なんで今更!
いや、ホントは最初から、僕がアスカを殺そうとしてしまった10ヶ月前から
アスカは僕に復讐したかったんだ。この家にまた3人で暮らす事を
承諾したのも復讐が目的だったんだ。
「ほら、早くしないと皆に言いふらすわよ?」 「・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「アンタ、もしかしてアタシが怒ってると思ってる?」 「・・・・・・・そりゃそうでしょ・・・・」
「まぁそうよね。でも別にもうそんなに怒ってないわよ」 「・・・・・じゃあ、どうして・・・・・」
「言ったじゃない、“1人でするのって気持ち良いの?”って」 「・・・・なんでそんな事・・・」
「質問してるのはアタシ。アンタは覚悟を決めりゃ良いのよ」 「・・・出来ないよ・・・・」
「あっそ、じゃ皆に“あの事”言いふらすわよ」 「・・・・なんでそんなに、その、見たいの?」
「ここに書いてあるのよ。“週に4回以上が平均値”って。そんなに頻繁にするぐらいなら気持ち良いんでしょ?」
僕は勘違いしていた。アスカは完全に面白半分、興味半分だ。
そして僕がその対象に最も適している事は分かりきってる。
それにしても、僕って平均より多い回数なんだな、、オカズがアスカがだからかな。。
246:ひまひまひま
05/02/12 18:33:56
「それともアタシが他の男の子に頼んでも良いの?」
嫌だ。それは嫌だ。
そんな事を了解する男なんて居ないと思いたいけど、
アスカが相手なら他の事までやりそうなの男なら居ると思う。
「それは・・・・・やめてよ」 「じゃ、良いじゃない。まぁアンタ以外の男のアレなんか見たくもないけど」
「え、、それってどういう・・・」 「ふ、深い意味は無いわよ!アンタのは1度見てるってだけよ」
アスカが少し赤くなってる。なんで・・・やっぱりアスカも恥ずかしいんじゃ・・・
「とにかく!早く見せなさいよね。これは決定事項よ、何を言っても覆らないわ」
「・・・・・・・・・・どうしても・・・・・・・なの?」
「もう、往生際が悪いわね。アタシが脱がせてあげるわよ」
アスカが立ち上がろうと膝を立てる。
「ま、待ってよ!分かった!自分で脱ぐから!」 「最初からそうすりゃ良いのよ」
「・・・・・・・・・ここじゃ、恥ずかしいよ」 「じゃ、アンタの部屋ね♪」
俯きながら歩く僕の後ろから元気良くアスカが付いてくる。
はぁ・・・・消えてなくなりたい。でも・・・他の“男”なんかアスカに見せたくないから。
247:名無しが氏んでも代わりはいるもの
05/02/12 18:53:19
ひまひまひま氏うまいけどエロになりそうだから
スレリンク(eva板)に引っ越してほしい
ダメ?もっとあんたの小説読みたいぞ
248:名無しが氏んでも代わりはいるもの
05/02/12 18:55:53
漏れも、もっと読みたい
シンジ受けは良いなあw
249:名無しが氏んでも代わりはいるもの
05/02/12 18:58:43
あんたのエロ作品読みたいからきゃあに来て
250:名無しが氏んでも代わりはいるもの
05/02/16 05:20:34
古びたベッドに腰をかける。
指を絡ませて、指をほぐす。
ほう、と息を吐き、目を閉じる。
―うん、さぁいこう
目を開くと少し傾いた陽が赤く染まりかけていた。
窓越しに見る空でさえどこか大きく見える。
外に見える住人のいないアパート群は世界の終わりに直結しているようだった。
そして誰もいないアパートの一室。
年月が経った今も、その存在自体は変わらず齢を重ねていた。
このことが寂しいとも、嬉しいとも思える。
弓を引き、弦を押さえる。
一音一音確かめるように音を刻んでいく。
奏でた音の一つ一つに心がこもるようにゆっくりと。
ゆったりとした時の流れの中で思うのは、赤い瞳をした一人の少女。
今の僕を消し去って、もっと奥にある僕を呼び起こす。
奥に根付いた自分の本質を掘り起こす。
もう一度目を閉じて、反芻する。
とん、とん、とん
リズムを重ね合わして旋律を作る。
綾波のイメージによく合う曲を思い浮かべる。
251:名無しが氏んでも代わりはいるもの
05/02/16 05:22:38
―ドビュッシー作 月の光
ピアノ曲を自分なりにアレンジを加え、より綾波にあうように。
後悔と懺悔と、感謝をこめて音に乗せる。
切ない恋心が届くように歌にのせる。
左指をやさしく弦にあてる。
ヤシマ作戦での綾波のみせた笑顔を思い浮かべるように。
手に添えられた綾波の手の温もりを思い返すように。
静かな月の光に照らされた綾波を思い描く。
透き通るような青い髪はどこまでも幻想的で。
赤い目はやさしく微笑んだ。
音は時の水面に漂って流されていく。
散らばって茶色に変色したプリント。
コンクリート剥き出しの壁。
汚れた包帯が段ボール箱に押し込まれていた。
台所に目をうつすと綾波が火傷したポットが見えた。
そして、ほこりをかぶった棚の上に、ビーカーと壊れた眼鏡が置かれてあった。
―父さんもいたんだ
鉄の重い扉を開く。
ギィと鉄と鉄の擦れる音がする。
―また来年、きっと来るよ
252:名無しが氏んでも代わりはいるもの
05/02/18 01:04:49
乙!なんかシンジ切ねぇ~
253:名無しが氏んでも代わりはいるもの
05/02/19 16:16:54
父さんと母さんが離婚して4年。僕は16歳になった。
離婚の原因は父さんの浮気。同じ職場の赤木ナオコさん・リツコさん親子と不倫し
ていた。よりにもよって親子丼なんて最低だよ。同情の余地無し。
そんなわけで今は母さんと二人暮らしをしている。
初めは少し寂しかったけど、もう慣れてしまった。
また、春から第壱高等学校にも進学して、それなりに学校生活を過ごしていた。
こんな僕にも彼女がいる。
綾波レイ。彼女は少しエキセントリックな感じのする女の子だけど、とっても可愛い。
いつもは無表情に近いが、ほんの時々僕に見せる笑顔がすごくきれいなんだ。
なんだかんだ言っても、今の僕は幸せなのかもしれない。
だけど、時たま思い出すことがある。
3年前に外国へ引っ越してしまった幼なじみの少女のことを。
蝉の鳴き声がうるさく聞こえる夏の日。
夏休みもあと僅か。綾波と最後にどこか行こうかなと考えながら僕は歩いていた。
行き先はとある喫茶店。そこには父さんが待っているはずだった。
ろくでなしの父さんだけど、僕のことは気に掛けているみたいで、月に2回ほど会う約束を
離婚調停でしていた。もっとも、ここ2年ほど父さんはドイツに転勤していて、ほとんど会え
なかったけど。今日は約半年ぶりの再会だった。
クラシック音楽が流れる静かな店内に僕は入った。
落ち着いた雰囲気のするこの喫茶店はコーヒーもデザートもすごく美味しく、時々、学校
帰りに綾波とお茶するのに使ってもいた。
店内を見回すとまだ父さんの姿はなく、僕は待っていようと窓側の席に向かったが、
「シンジー、こっち、こっち」
と聞き覚えのある声に呼びかけられた。
僕はその方へ顔を向け、
「あ、アスカ?」
と思わず声を上げた。
254:名無しが氏んでも代わりはいるもの
05/02/19 16:27:04
あまりにも意外な人がそこにいて、僕は暫し固まってしまったが、
「早くこっちに来なさいよ」
との彼女の声に引っ張られるように脚を運んだ。
僕はアスカの向かい側に腰を下ろし、
「どうしてアスカがここにいるの?」
「あー、日本に帰ってきたのよ。こっちの学校に通うと思ってね」
「連絡ぐらいしてくれてもいいの」
「アンタをビックリさせようと思ってね」
「あはは、ホント、驚いたよ」
その僕の言葉にアスカは口もとをにんまりさせた。
「でも、偶然だね。この喫茶店で会うなんて」
「そう?」
と、彼女はとぼけたように言った。
「アスカ。久しぶりに会ったのに悪いんだけど、これから父さんと会うんだ。だから、
ちょっと今は都合が悪くて。ケータイの番号かなんかを教えてよ。あとで連絡するから」
「んー、そんな必要は無いわよ」
「どうして?」
「だって、アタシもシンジのお父さんに会うんだから」
「えっ??」
僕は何がなんだかわからなく、ただ彼女を見つめるしかなかった。
255:名無しが氏んでも代わりはいるもの
05/02/19 16:29:35
非常に読みやすい
256:名無しが氏んでも代わりはいるもの
05/02/19 16:42:47
その後、アスカにいくつか質問をしたが、のらりくらりと逃げられること十数分。テーブルに置い
てあるアイスコーヒーの氷もだいぶ小さくなってきた頃、僕の後ろから大きな影が射し掛かった。
「久しぶりだな。シンジ」
「あっ、父さん」
この暑い中、黒い長袖のジャケットを着た父さんだった。
父さんはさも自然なようにアスカの隣に腰を下ろす。
「元気だったか?」
「うん。母さんも相変わらず研究で忙しいけど、元気だよ」
「うむ。」
と、父さんは言葉短く相づちを打った。
その時、ウェイトレスの人が注文を取りにやって来たが、アスカが一瞬父さんの顔を見てから、
「フルーツパフェを一つ。あっ、スプーンは2つね」
と言った。このことに僕は違和感を感じ、先ほどからの疑問を父さんに訊ねることにした。
「あのさ、父さん。どうして、アスカがここにいるの?」
父さんはテーブルに両肘をつき、口もとで両手を組むと、
「うむ、私は今度、日本で司令職に就くことになった」
「そうなんだ。出世したんだよね。おめでとう。……それで?」
「それでだ。この度、ここにいるアスカ君と再婚したんだ」
「えっ、」
「シンジ。これからよろしくね。アタシがあなたのママよ」
「えええーーー!!!」
僕はうれしそうに微笑むアスカと恥ずかしそうに顔を赤くしている父さんを呆然と見つめていた。
257:名無しが氏んでも代わりはいるもの
05/02/19 16:46:48
うほっw予想しない展開wwww
ところでLRSでいいのかな、これは
258:名無しが氏んでも代わりはいるもの
05/02/19 16:51:19
LAGキターwww
259:名無しが氏んでも代わりはいるもの
05/02/19 16:51:58
それは読んでからのお楽しみという事で!…といいつつLASになりそうな予感も…。
予想しない展開で面白そうなので続きをまったりとお待ちしてます。
260:名無しが氏んでも代わりはいるもの
05/02/19 17:11:58
同じネタあったな・・・ただし汁にw
261:名無しが氏んでも代わりはいるもの
05/02/19 17:40:30
やばいなーコレ、オラわくわくしてきたぞw
262:名無しが氏んでも代わりはいるもの
05/02/19 19:40:56
>>256
夏休み最後の金曜日。僕は綾波とプールへ泳ぎに来ていた。
と言っても、泳げない僕は浅いところで水に浸かっているだけなんだけど。
プールサイドで足先を水の中に入れながらボンヤリとしていた僕へ
「碇君、どうかした?」
と顔をのぞき込むように寄せた綾波が声を掛けてきた。僕は力無い笑顔を作って、
「何でもないよ」
と答えたが、何でもなくはなかった。
父さんとアスカと会った先日の光景がまだ瞼の奥に残っている。
あの後、一つのフルーツパフェを二人は食べ合っていたのである。それもお互いに
スプーンを相手の口に運んで。
どう見ても、馬鹿ップル。しかも、ロリコン中年オヤジと女子高生のカップルだ。
淫行で警察に捕まってもおかしくないと思う。
でも、二人はマジなようで、アスカなんて父さんを『ゲンちゃん』と呼んでいた。
悪夢のような光景で、あれが自分の父親と2年前まで隣に住んでいた幼なじみとは
思いたくもなかったが、やはり現実で、僕はとても落ち込んでいた。
そんな僕の様子が綾波を不安させたのだろう。
「ひとりで悩まないで」
と彼女は言うと、僕の左手をそっと握った。
その柔らかい感触に刺激されて僕は彼女の身体を改めて視界に入れた。
髪の色と同じ淡いブルーのビキニを着た彼女は普通の人より線は細かったが、それでいて
出るところはじゅうぶんに出ている女らしい身体だった。
僕はさっと頬を赤くしてしまう。まだ、キスもしていないのに、アレなことを想像してしまった。
でも、仕方ないよねと思った次の瞬間、父さんとアスカがアレなことをしている絵を考えてし
まった。すごい鬱。
でも、顔色を更に悪化させた僕の左手を、更に強く握った彼女に愛おしさを感じてもいた。
263:名無しが氏んでも代わりはいるもの
05/02/20 00:10:28
GJ!LRSイイネー続きヨロピコ
264:名無しが氏んでも代わりはいるもの
05/02/20 07:06:33
油断させておいてLRGになると見た。
LAG&LRGの外道一人勝ち…
いっそのことマヤとミサトとヒカリとオペレーター三人娘もいれてハーレムにしちおうぜ。
265:名無しが氏んでも代わりはいるもの
05/02/20 16:24:00
>>262
僕は一呼吸してから喉の奥につまったものを吐き出すように声を出した。
「アスカ、知っているよね? 彼女が日本に帰ってきたんだ」
彼女の名前を出した瞬間、綾波は微かに眉をひそめた。
綾波がここ第3新東京市に引っ越してきたのが中学2年の春。アスカがドイツに
行った夏までの間、綾波と彼女は同じクラスだった。その時のことはあまり思い出し
たくない。とにかく二人の仲は最悪と言えるものであったのだ。
「そう。彼女が帰ってきたの」
と、綾波は呟くように言った。その声は夏なのに氷の冷たさを伴っていた。
僕は背中に嫌な汗が流れるのを感じながら、
「それでさ、これから話すことは内緒にして欲しいんだけど」
「……内緒?」
「うん。二人だけの秘密」
「……秘密。わかったわ」
なぜだか彼女は僅かに頬を赤く染めながら答えた。
「離婚した僕の父さんも日本に帰ってきたんだけど、そのさ……」
「……」
「……」
「……?」
「もう言っちゃうけど、アスカと再婚するんだって」
「……えっ、うそ?」
と、綾波が小さく訊き返してきた。その赤い眼を大きくさせて驚いた顔をしている。
僕はそんな彼女の表情を初めて見たので、ちょっと新鮮な印象を持った。
266:名無しが氏んでも代わりはいるもの
05/02/20 16:27:39
夏休みも終わり、今日から二学期が始まる。軽く学校をサボりたい病気に
かかっていたが、母さんに家から追い出されるようにして登校した。
このところはだいぶ落ち着いてきたが、母さんの機嫌はかなり悪かった。
その原因が父さんにあることは明らかで、ホント何とかして欲しかった。母さんと
してはもう父さんに未練は全く無いようだったけど、自分より早く再婚して、しかも
その相手が16歳のアスカなら話はまた違ってくるのだろう。
しかし、僕の親の職場はいったい何なんだろう。離婚した夫婦に、その原因と
なった赤木さん親子が一緒に働いている。そういうことがあっても職場の中では
平然と保つのが大人の態度なんだろうけど、なんか想像したらすごく鬱になった。
教室に入ると、久しぶりにみんなが揃ったせいか雑然とした空気に場が包まれ
ていた。
あちこちでお喋りをしているクラスメイトたちの様子が見える。
そんな中、僕は自分の席へまっすぐに行き、腰を下ろした。
窓側の方へ視線を向けると、同じように席に座っていた綾波と目が合った。
彼女は軽く微笑むと小さく口を動かす。
声は聞こえなくても『おはよう』と言っていることがわかり、僕も小さく口を開き、
挨拶を返した。
綾波にもそれがわかったのだろう。彼女はまた僕に微笑みを送った。
そんな僕たちのやり取りを見ていたのか。ケンスケとトウジが僕のところにやっ
て来て、
「おー、先生。朝から熱々やなあ」
「な、なんだよ。トウジ」
「まあ、まあ、碇。もてない男のひがみなんだから大目に見ろよ」
「そうやで、先生。ワイらみたいな彼女がいないもんにはもう羨ましゅうてドツキた
くなるわ」
と言って、トウジは僕の頭を拳でグリグリ押す。
267:名無しが氏んでも代わりはいるもの
05/02/20 16:29:12
「トウジ、痛いって」
「まあ、トウジもその辺にしとけよ。ところでだ、俺はある情報を入手した」
「なんや? 戦自のことなら、ワイは興味ないで」
「それもあるけど、今回は別のことさ。なんと、我がクラスに転校生が来るらしい」
「ホンマか!? 女なんやろな?」
トウジは半ば興奮気味に大声で言うが、僕は嫌な予感を持った。
こういう予感はよく当たる。
僕はこれから起こることを考え、ため息を一つ吐いた。
「ああ、間違いない。女だ。これは非公式情報なんだが、めちゃくちゃ可愛いらしいぞ」
「うっ、なんやごっつう燃えてきた」
と、その時、なにやらドスのきいた声で、
「す~ず~は~ら」
との言葉と共に、小さな手がトウジの耳を引っ張る。
いつの間にか委員長こと洞木さんがトウジの後ろに来ていた。
「いててて! いきなり何するんや? イインチョ!」
「鈴原こそ朝っぱらから何バカなこと言ってんのよ」
268:名無しが氏んでも代わりはいるもの
05/02/20 16:30:58
その後、委員長とトウジはいつもの夫婦漫才を続けた。
こうして見ていると、二人は良いカップルだと思うけど、付き合っているというわけ
でもないらしい。うーん、不思議だ。
そんなこんなで、ショートホームルームの時間になった。
教室の前のドアが勢いよく開き、
「みんな、おっはよー。元気だったー」
と、ミサト先生がもう元気はつらつといった感じで現れた。
ミサト先生は出席簿を教卓の上に置き、
「夏休みはどうだった? 一夏の恋なんてしたかなー?」
と相変わらずおちゃらけながら話をする。
「では、出席を取る前に、重大発表がありまーす。よろこべ男子。今日は噂の転校生を
紹介する。さあ、入っていいわよ」
その声の後、ドアが開き、ひとりの少女が教室に入ってきた。
「惣流・アスカ・ラングレーです。よろしく」
とびっきりの笑顔で挨拶をするアスカにクラス中の男は魂を抜かれたようになって
いたが、僕はかなり憂鬱だった。あー、やっぱりね、という感じで。
そんな僕をアスカは見つけ、一瞬、口もとをニヤリとさせた。
父さんと同じニヤリ笑い。
僕はますます鬱になっていった。
269:名無しが氏んでも代わりはいるもの
05/02/20 16:33:15
あっという間に放課後となった。
今日一日、アスカはクラスの中心にいた。同じ中学の同級生が何人かいたため
クラスに溶け込むのも早く、以前からの親友である委員長たちとは年月を感じさせ
ないほど仲が良かった。
僕はそんなアスカを遠くから眺めていた。
頼むから余計なことは言わないでくれと祈りながら。
アスカが僕の願いを聞いてくれたのかはわからないが、何事もなく今日という日が
終わったことに、僕は心から感謝していた。
僕は鞄を持ち、オーケストラ部の練習へ行こうと席を立った。
同じ部の綾波が一緒に行こうと僕のところにやって来たが、
「シンジ!」
と、アスカが僕の前に立って、そう言い放った。
これまで一言も話さなかったのにどうしてと僕は思ったが、
「惣流さん。邪魔しないで」
と、綾波が静かに声を出した。
彼女は鋭い目でアスカへ視線を向けている。
だが、アスカはそれに全く動じることなく、
270:名無しが氏んでも代わりはいるもの
05/02/20 16:34:23
「シンジ、今日これからアタシに付き合いなさい」
「僕、これからオケの練習があるんだけど」
「そう。碇君はあなたにかまう時間なんて一秒もないわ」
だが、アスカはぼそっと呟くように声を出した。
「ゲンちゃん」
「あー、行く。僕、アスカに付き合うよ」
僕は大慌てでアスカの声を遮り、綾波へ顔を向けると、
「綾波、その、家庭の事情で、わかるよね? 今日は休むと部長に言っておいて」
「……わかったわ」
と、渋々ながら綾波は了解の返事をした。
目の前でお腹を抱えながら笑っているアスカを見て、僕は溜め息を吐くことしか
できなかった。
271:名無しが氏んでも代わりはいるもの
05/02/20 16:37:14
僕の家とは反対の方角を歩いていた。
閑静な住宅街。
道路を通る車も少なく、街路樹には緑が溢れていた。
「ねえ、アスカ。そろそろ、どこに向かっているのか教えてくれないかな」
「ん、アタシの家よ。一度、アンタを招きたいと思っていたのよ」
「えっ、父さんの家?」
「そうよ。アタシとゲンちゃんの家」
「……アスカ。僕は父さんと約束の日以外に会っては駄目なんだ」
「そのことなら聞いているわよ。でも、大丈夫。いつも帰りは遅いから」
「そうなんだ」
僕は少しホッとすると同時に、心の中にモヤモヤするものを感じていた。
4年の歳月が僕から父さんを遠ざけていた。諦めとも言える。
でも、それとは別に、やっぱりアスカは父さんと暮らしているんだよなあと。
アスカと父さんはまだ正式に結婚していない。なぜなら、アスカはまだ15歳だか
らだ。12月の誕生日に籍を入れるらしい。よく結婚をアスカのお母さんが許したと
思ったけど、そうなるまでいろいろとあったらしい。
と、そんなこと今はどうでもいい。問題は僕自身だ。
こうしてアスカと二人で歩いていると昔の甘酸っぱい想いが甦ってくるようだった。
たぶん僕の初恋はアスカだったと思う。それとはっきり自覚したことは無かったけど
今になって思い返せば、そうだと言える。自惚れじゃないけど、アスカも僕を好きだった
はずなんだ。そうでなければ、毎朝、僕を起こしに来たり、綾波と仲が悪かったりしない。
だから、どうして父さんなんだとの思いが僕の頭の中をグルグルと駆け巡っていた。
「アスカ?」
「ん、なに?」
「……父さんのどこがいいの?」
「そうね。かわいいところかな」
「えっ、」
そう言って頬を赤く染めるアスカを見て、僕は質問したことをひどく後悔した。
272:名無しが氏んでも代わりはいるもの
05/02/20 16:38:45
「適当に座ってよ」
とのアスカの声に、僕はリビングの中で腰を下ろした。
招かれたのは普通の一軒家。
てっきり高級マンションとかを想像していただけに、ちょっと意表をつかれた。
部屋の中はけっこう清潔感に満ちてきて、散らかっているということはなかった。
しばらくして、アスカがコーヒーカップを2つ持って現れた。
「はい、」
と言って、彼女はカップを僕の前に置く。
それからもう一度キッチンへ戻ると、アスカはクッキーが盛られた皿を持ってきた。
彼女は僕の向かい側に座り、
「シンジと二人でお茶するのも久しぶりね」
と言った。
「そうかな」
「そうよ。アタシがママとドイツに行ったのも突然だったしね」
「アスカのお母さんはまだドイツにいるの?」
「向こうで研究に没頭してるわ。まあ、アタシより研究の方が大事なのよね」
と、アスカは寂しそうに笑う。
僕は胸が締め付けられるのを感じていた。
273:名無しが氏んでも代わりはいるもの
05/02/20 16:40:52
それからどうってことのない会話を僕たちは続けた。
僕は父さんのことを避けていたけど、アスカの口からはどうしても出てしまう。
それを聞くたびに、父さんとアスカは一緒に暮らしているんだと思い知らされて、
僕は曖昧な笑みを浮かべるしかなかった。
だいたい、幼なじみとしてずっと一緒にいた女の子が自分の父親の再婚相手な
んて、悪夢としか言いようがない。幼い頃は一緒にアスカとお風呂にも入ったし、
学校でも家でも二人でいることが多かった。それなのに、……恨むよ、父さん。
「もう一杯、コーヒー飲む?」
と、アスカが訊いていた。
妙に喉が渇いていた僕は肯き、
「うん。じゃあ、いただこうかな」
「待ってて。お湯、沸かしてくるから」
と言い、アスカは腰を上げた。
そして、僕の横を通り、キッチンへ行こうとしたが、
「あっ、」
と、テーブルの脚につま先をぶつけ、彼女は倒れ込んだ。
僕は咄嗟にアスカを受けるように下へ身体を置いた。
「……」
「……」
僕は自分の上にいるアスカをいつしか抱き締めていた。
見つめ合う僕たち。
だけど、
274:名無しが氏んでも代わりはいるもの
05/02/20 16:43:59
「身体、離して」
と、アスカは静かに言った。
その言葉で自分がしていることを思い知らされて、僕は顔を横に背けた。
しかし、目に入ったのはコンドームの箱だった。
倒れた衝撃でどこかから落ちてきたのだろう。
刹那、僕の頭の中が真っ白になり、気がついたら、身体の上下を逆にさせ、
アスカを押し倒していた。
彼女は大声を上げることもなく、僕をまっすぐに見つめていた。その青い目は
僕の心を射抜くようで、なぜか負けたくなかった僕は彼女の胸に手を伸ばした。
そして、その胸に触れようとする直前、
「シンジ、止めるなら今よ」
と、凍えるような声でアスカは言った。
「もし、これ以上するなら、もうアタシはシンジのママじゃなくなるわ。赤の他人よ」
「なっ、初めからアスカは僕の母さんじゃないよ」
「あー、それもそうね。戸籍上ではシンジのママじゃないし。六分儀になるのよね。
あっ、でも、アンタのお父さんと結婚するんだから、ママと言えなくもないような」
「……もう、いいよ」
なんだか気を殺がれてしまった僕はアスカから離れ、やるせない息をひとつ吐いた。
そう言えば、アスカに子供が生まれたら、僕の弟か妹になるんだよなあと思いながら。
つづく、かも
275:名無しが氏んでも代わりはいるもの
05/02/20 17:07:30
俺個人としての意見ね。
是非続けていただきたい。
276:名無しが氏んでも代わりはいるもの
05/02/20 17:17:02
先生!LASもLAGも受け入れますからLRSだけは必ずいれてください!
僕はもう早く続きが読みたくてたまりません!
277:名無しが氏んでも代わりはいるもの
05/02/20 17:44:06
LAS以外なら何でもいいよ。
278:名無しが氏んでも代わりはいるもの
05/02/20 17:46:24
むしろLASでいいよ。
279:名無しが氏んでも代わりはいるもの
05/02/20 19:09:41
こういった作品を投下するにはぴったりなスレだな
280:名無しが氏んでも代わりはいるもの
05/02/20 20:23:43
うげ~またLAS~?
281:名無しが氏んでも代わりはいるもの
05/02/20 21:13:19
LASスレなどのカプスレでなく、ここへ投下したことを考えれば(ry
282:名無しが氏んでも代わりはいるもの
05/02/20 21:14:13
LASがいいんだが。
283:名無しが氏んでも代わりはいるもの
05/02/20 21:17:38
俺が昔、「アスカが義母でシンジが子どもな状態での健全なラブコメLASが見たい」
って汁スレに書き込んだのを採用してくれたものだと信じたい。
284:名無しが氏んでも代わりはいるもの
05/02/20 21:20:32
近親相姦LAS→清純LRSへ移行 と予想。
285:名無しが氏んでも代わりはいるもの
05/02/20 21:25:18
カプスレじゃないからどうなるか判らない所が面白い。
普通の漫画の連載読んでこの2人くっつけばいいな~と思いながら読んでる感じです。
個人的な希望はあるけど完結するまで楽しみにしてます。
と、いうわけで続き希望!!
286:名無しが氏んでも代わりはいるもの
05/02/20 22:14:19
カプスレじゃないから怖くて見れない。
完結してLASになるのであれば読もっと。
287:名無しが氏んでも代わりはいるもの
05/02/20 22:33:16
>>284
むしろ
シンジ、LRSに逃げる+鬼畜ゲンドウLAG→何だかんだで結局LASに
と予想。
288:名無しが氏んでも代わりはいるもの
05/02/20 22:57:33
それじゃあれとおなじじゃん。俺はLRS希望。
289:名無しが氏んでも代わりはいるもの
05/02/20 23:04:07
じゃあオレはLARS ゲンドウ断罪で
290:名無しが氏んでも代わりはいるもの
05/02/20 23:07:14
作者さん
トリと、出来たらHNを入れて欲しいです。
291:名無しが氏んでも代わりはいるもの
05/02/20 23:12:24
ゲンドウの浮気相手候補>>ナオコ(再)、リツコ(再)、レイ(新規)
292:名無しが氏んでも代わりはいるもの
05/02/20 23:14:05
ゲンレイはやめてくれー
いやだー死んでしまうー
293:名無しが氏んでも代わりはいるもの
05/02/20 23:16:24
最後LAS、LRSどちらになるにしろ、ここが投下先としては妥当だろうね
続きまってるよ
294:名無しが氏んでも代わりはいるもの
05/02/20 23:42:29
LASではありません。
295:名無しが氏んでも代わりはいるもの
05/02/21 00:55:27
続きません。
296:名無しが氏んでも代わりはいるもの
05/02/21 01:10:53
最近はこーいうシンちゃんが流行り?
ある意味貞シン寄りだよね。
>>293
同意。正しいスレの選び方って感じだw
どういう結末にせよ、是非最後までガンガッテ欲しいです<作者さん
297:名無しが氏んでも代わりはいるもの
05/02/21 01:15:36
学園物のシンジだからねえ。
26話のシンジは負の部分が無い場合を表しているんでしょ。
298:名無しが氏んでも代わりはいるもの
05/02/21 01:59:57
ググったけど親の再婚相手って法的には完全にアカの他人なんだな、初めて知った。
再婚相手の連れ子も同じ。
299:名無しが氏んでも代わりはいるもの
05/02/21 05:36:32
是非続けてください先生
300:名無しが氏んでも代わりはいるもの
05/02/21 07:22:47
>>298
は?
301:第2話目よん
05/02/21 12:24:00
>>274
先日の一件、いくら我を忘れていたとしてもアスカを押し倒してしまったことで、
僕は暫く鬱状態が続いていた。幼なじみで初恋の人とはいえ今は父さんの婚約
者なわけで、アスカは全く気にしていないみたいに接してくれるけど、僕は気まず
さでいっぱいだった。
それは綾波に対しても同じで、後ろめたさがある僕は知らずに彼女を遠ざけていた。
日曜日、僕と綾波はいつものようにデートをしていた。
芦ノ湖で彼女が作ってくれたサンドイッチを食べながら釣り糸を垂らす。のんびりと
した一日を一緒にすごすことがとても楽しかったはずなんだけど、今日は違った。
口べたな僕たちはいつも会話は少ない方だったが、ほとんどゼロと言えるほど何も
話さなかった。と言うより、僕が話し掛けることは全く無く、無口な彼女は時折なにか
もの言いたげに視線を向けていたが、それを無視してしまっていた。
アスカとのことが心苦しく、彼女の眼を正視できない。
綾波を好きだとはっきり言える。
言えるけど、今は頭の中がごちゃごちゃして何がなんだかわからなくなっていた。
陽は傾き、向こうに見える富士の山に重なろうとしていた頃、僕たちは帰路についていた。
バスを降り、綾波の住むアパートのエレベーターに乗った。
ここまで会話はほとんど無く、今も口は閉ざしたまま。
籠が上昇する機械音だけが僕の耳へと入り込む。
その後、やはり無言のまま僕たちは彼女の部屋の前まで足を運んだ。
綾波はドアを開けて入ることもなく俯きながら立ち続けた。
彼女の様子に違和感を持ったが、僕はこの場から逃げるように、
「じゃあ、また明日」
と言って、歩き出した。
しかし、刹那、僕は動きを止めた。
綾波が僕のTシャツの裾を右手で掴んでいたのである。
思いの外、強く握られていたそれは決して彼女の手から離れないように見えた。
302:名無しが氏んでも代わりはいるもの
05/02/21 12:25:33
「綾波、どうしたの?」
「……部屋に上がって」
小さく呟くような彼女の声だった。
「でも、家で母さんが夕食を作って待っているから」
「……少しでいいの」
「だけど……」
ひとり暮らしをしている綾波の部屋に今は入りたくなかった。
アスカとのことが尾を引いていたからだ。
「今日は帰るよ」
そう短く告げた。
でも、綾波の手がシャツから離れることはなく、僕は途方に暮れてしまった。
「綾波、」
と言って、僕はシャツを握っている彼女の右手に触れた。
その瞬間、小さく息を呑んだ。
彼女の手が細かく震えていたのである。
「碇君、」
綾波は俯かせていた顔を上げた。
彼女の瞳は更に赤みを増し、今にもこぼれ落ちそうなほど涙を溜めていた。
「私を嫌いになったら、そう言って。……私、もう碇君に近づかないから」
「えっ、な、なに言ってんの?」
「惣流さんのこと、今も好きなんでしょ?」
303:名無しが氏んでも代わりはいるもの
05/02/21 12:26:58
彼女の頬を一粒の涙が流れ落ちた。
自分が綾波をこんなにも不安にさせたことを思い知らされて、頭を金槌で打た
れるような衝撃を受けた。
僕は叫ぶように大声を上げた。
「違うよ!」
「……うそ」
「本当だよ。僕は、僕は綾波だけが好きなんだ」
彼女は僕から眼を逸らし、
「信じられない。……碇君、惣流さんといる時、楽しそうだもの」
「綾波、信じてよ。本当に、もうアスカとは終わったんだ」
しかし、綾波は何も答えてくれない。
どうすればいいかわからない僕は衝動的に彼女を抱き締めていた。
綾波はその小さな身体を固くさせたままだったが、僕は諦めずに声を出した。
「今、僕にとって一番大切な人は綾波なんだ。信じてほしい」
「……碇君、」
綾波は身体の強張りを解き、僕の眼を見つめた。
「信じていいの?」
「うん。綾波を悲しませて、本当にごめん。でも、これが僕の気持ちだから」
「碇君、」
綾波は僕の背に両腕を回して、きつく抱き返してきた。
そして、見つめ合う僕たち。
重ね合うくちびる。
これが僕たちのファーストキスだった。
304:名無しが氏んでも代わりはいるもの
05/02/21 12:28:50
オレンジ色の空の下、僕は商店街を歩いていた。
家に帰る途中、ちょっと買い物をしようと考えたからだ。
綾波を泣かせてしまったので、おわびに何かプレゼントしようと思った。
今、僕の頬はかなりだらしなく緩んでいるだろう。
いろいろあったけど、僕と綾波の絆は更に強いものへとなった。
結果オーライと言えよう。
初めてキスもできたし。
今もまだ胸がドキドキしている。
綾波の柔らかいくちびるを思いだし、また僕はふにゃぁと笑みを浮かべた。
しかし、良いことばかりが続くはずもない。
夕暮れの繁華街。その人混みの中に、異彩を放つ一組のカップルを見つけてしまった。
「うわっ、」
と思わず声を上げた後、僕は物陰に身体を隠した。
僕の視線の先にいるのは父さん。そして、アスカ。彼女は父さんの腕にべったりと抱き
つきながら、楽しそうに話し掛けていた。
綾波とのことがあったばかりで、今ふたりには出来ることなら会いたくない。
僕は父さんたちが通り過ぎるのをじっと待った。
しかし、ウィンドーショッピングをしている二人の歩みはカタツムリのように遅い。
─ 頼むから早く行ってよ。
と心の中で呟かざるを得なかった。
それにしてもあの二人、よく警官に職務質問されないよなと僕は思った。
もしかして周りからは仲のいい親子に見えているのだろうか。
いや、でも、なあ。
そんなことを考えながら、じれったく見ていたが、二人に近づこうとしている人影に気付いた。
305:名無しが氏んでも代わりはいるもの
05/02/21 12:30:24
「リツコさん?」
紺色のタイトスーツを着ている女性は明らかにリツコさんだった。
幼い頃、家族ぐるみの付き合いをしていたリツコさんに僕はよく遊んでもらっていた。
そんな彼女だけでなく、母親のナオコさんとも浮気していた父さんはやっぱり最低だ。
─ リツコさん、もしかして……
と、僕は嫌な予感を持った。
遠目からも彼女が思い詰めた表情をしていることがわかる。
そして、父さんたちまで後10メートルほどにせまった時、彼女はハンドバックから
銃のようなものを取り出した。
モデルガン?と一瞬、僕は思ったが、
「わー!!」
と声を出しながら、リツコさんへ急いで駆け寄った。
そして、後ろから彼女を羽交い締めにする。
「リツコさん、落ち着いて」
「あなた、誰? 離して。離しなさい」
彼女は女性とは思えないほどの力で僕を振り払おうとした。
「僕です。シンジです。落ち着いてください。リツコさん」
「シンジ君なの?」
「はい、」
リツコさんは顔を後ろに回し、僕を確かめた。
306:名無しが氏んでも代わりはいるもの
05/02/21 12:31:35
「シンジ君、お願いだから見逃して」
「何をしようとしているんです!?」
「死ぬの」
「えっ?」
小さな声で告白した彼女は急に全身から力を消した。
「シンジ君、わかるでしょ?」
「な、なにをです?」
「私の司令に対する思いをよ」
「はあ。でも、死ぬなんて……」
「もう私にはこれしか道は残されていないの。あんな小娘に取られるくらいなら、
司令を殺して私も死ぬわ」
「わー、わー、な、なんてこと言うんです」
「私、もう耐えられないの」
リツコさんは膝を落とし、道路に座り込むと手で顔を覆った。
その指の間から涙が流れ落ちている。
僕はどうしたいいかわからず、ただリツコさんを見ているしかなかった。
と、その時、
「シンジ、何をしているんだ」
と後ろから、声を掛けられた。
振り向くと父さんたちで、二人は驚いたように僕とリツコさんを見ていた。
父さんの声が聞こえたのだろう。リツコさんは立ち上がると、銃を向けた。
307:名無しが氏んでも代わりはいるもの
05/02/21 12:33:35
「司令、私と死んでください」
「な、赤木君!」
「リツコさん!」
僕と父さんは同時に声を上げた。
しかし、リツコさんの前を白い脚が跳ね上がるのが見え、靴のつま先に当たった銃が
宙を飛んだ。それは、アスカが咄嗟に蹴り上げた結果だった。
僕は地面に落ちた銃を素早く取り上げ、バックの中に隠す。
それを見てアスカは僕に眼で肯くと、リツコさんの前に立った。
「リツコ、アタシのゲンちゃんに何すんのよ!?」
「げ、ゲンちゃんですって」
声をわななかせながらリツコさんは言った。
「そうよ。アンタなんかお呼びじゃないの。バアさんは用済みなのよ」
「バ、バアさん。あなた、言ってはならないことを言ったわね」
そう言って、リツコさんはハンドバックに手を伸ばした。
瞬間、僕は危険なものを感じ、リツコさんからバックを奪う。
「シンジ君、返して」
「駄目です」
「今、この小娘を殺らなきゃならないのよ」
「駄目、絶対に駄目」
「シンジ、返してあげなさいよ。アタシがこんなオバさんに負けるはずがないでしょ」
「なんですってー!」
「アスカ、お願いだから黙っていてよ」
僕は助けを求めようと父さんを見る。
だが、父さんは素知らぬふりで腕を組んでいるだけだった。サングラスに眼は隠れて
いて、表情はよくわからないが、きっと平然としているのだろう。
308:名無しが氏んでも代わりはいるもの
05/02/21 12:35:52
……いや、訂正。視線を下にすると、父さんの脚が微かに震えているのがわかった。
この駄目オヤジ、と心の中で呟く。
とにかく未だ危険な状態のリツコさんをまずは取り押さえようと、後ろから抱き締めた。
「シンジ君、離して」
「落ち着いて、リツコさん」
もう周りには僕たちを見る人で溢れていた。
お願いだから警察沙汰にはならないでと祈らずにはいられない。
と、その時、
「あなたたち、何しているの?」
と知っている声が掛かった。
僕たち4人は同時にその方向へ視線を向ける。
「母さん、」
と、僕は安心した声を出した。
そこには母さんが怒った眼で僕たちを睨んでいたが、なんとか事態を収拾してくれる
だろうと僕はホッとした。
しかし、ここに何もわかっていないオヤジがひとり。
「ユ、ユイ~」
もう喜色溢れんばかりの声を父さんは出した。
その刹那、アスカとリツコさんからはそれだけで威圧できるような殺気が飛ぶ。
もう勘弁してよ~。
僕はすぐにも走ってこの場から逃げたい気分に駆られた。
つづく、のかな?
309:名無しが氏んでも代わりはいるもの
05/02/21 12:37:02
このゲンドウ超萌えるんだけどw
ダメ親父マンセーw
310:名無しが氏んでも代わりはいるもの
05/02/21 13:33:06
DQNがDQNのまま平然と周囲に許容されてる話は嫌いだから、
この先ゲンドウには納得のいく扱いかフォローをしてほしい、と言ってみる。
今の所コメディ?っぽいから、そこまで気になるものでもないけど。
311:名無しが氏んでも代わりはいるもの
05/02/21 13:37:18
コメディでそれ気にする人ってホント珍しいよーな・・・
312:名無しが氏んでも代わりはいるもの
05/02/21 13:40:30
コメディーだから気になるって場合もあるな、俺は。
シリアスより実は作者の思想がでてしまうからな。
313:名無しが氏んでも代わりはいるもの
05/02/21 15:12:59
俺はゲンドウよりもLRSに萌えた。
314:名無しが氏んでも代わりはいるもの
05/02/21 15:32:05
急展開でいきなりコメディになっててワロスw
315:名無しが氏んでも代わりはいるもの
05/02/21 16:48:12
チン☆⌒ 凵\(\・∀・) まだぁ?
316:名無しが氏んでも代わりはいるもの
05/02/21 18:47:40
新鮮でいい感じ!!
続きを期待!!
317:名無しが氏んでも代わりはいるもの
05/02/21 19:42:59
なんだかんだで未だユイが一番好きなゲンドウ…
やっぱこいつにはアスカなんかよりユイだね!
んで結局シンジは綾波だけが好きなのに、仲裁してるうちに
ゲンドウのオフル女性軍にいつのまにか付きまとわれるようになって…
シンジとゲンドウの立場が逆転しそう
318:名無しが氏んでも代わりはいるもの
05/02/21 20:40:31
シンジよ、ゲンドウの魔の手からアスカを取り戻せ。
319:名無しが氏んでも代わりはいるもの
05/02/21 21:11:06
というかこの際シンジとレイもゲンドウの愛人にすr(ry
320:名無しが氏んでも代わりはいるもの
05/02/21 21:12:34
シンジ×ユイを希望
321:名無しが氏んでも代わりはいるもの
05/02/21 22:02:36
シンジ×レイだろやっぱ
322:名無しが氏んでも代わりはいるもの
05/02/21 22:30:29
ユイ×ゲンドウ
シンジ×アスカ×レイ
323:名無しが氏んでも代わりはいるもの
05/02/21 22:32:06
アスカはいらない。
324:名無しが氏んでも代わりはいるもの
05/02/21 22:43:30
そういやこの手のコメディ系でガチでゲンドウを嫌いになったユイってどれくらいいるんだろう。
325:名無しが氏んでも代わりはいるもの
05/02/21 22:51:10
なんだかんだでゲンドウ→ユイなとこがいいw
326:名無しが氏んでも代わりはいるもの
05/02/21 22:54:13
ゲンドウは一人断罪。
ユイ、リツコ、アスカはゲンドウを見限り、
最後はLASになるってのが一番有り得そうな雰囲気。
327:名無しが氏んでも代わりはいるもの
05/02/21 22:56:54
あーーーーーそれ、あ り え な い か ら
328:名無しが氏んでも代わりはいるもの
05/02/21 22:59:20
最終的にシンジ×レイになるのが一番
329:名無しが氏んでも代わりはいるもの
05/02/21 23:00:49
やっぱりカプ的展開を期待する人が多いのね
330:名無しが氏んでも代わりはいるもの
05/02/21 23:02:16
チン☆⌒ 凵\(\・∀・) まだぁ?
331:名無しが氏んでも代わりはいるもの
05/02/21 23:35:22
>>329
カプ的な話だろ最初から
332:名無しが氏んでも代わりはいるもの
05/02/21 23:35:23
シンジに押し倒された時のアスカの反応を見ると、もうゲンドウとやっちゃってますね
ロリから熟女まで幅広くこなすオールマイティな男ゲンドウ
333:名無しが氏んでも代わりはいるもの
05/02/21 23:42:24
>>331
うむ、その通りだ
334:名無しが氏んでも代わりはいるもの
05/02/22 00:20:31
>>332
限りなくどーでもいい。
つか、その手のはN3の小説で十分。
ねちねち執着するより、ばっさりきりすてろや。
ってことで、
アスカ→ふーん、あっそ。父さんと仲良くね。わかったからどっかいって。
視界に入んないで。→山もなくEND
レイ→これからよろしく。
ユイその他→好きにすれば?
な感じがいいなー。
↑の人たちが語ってる展開ばっかでいい加減あきました。新味がないっす。
…一応当方LAS人だけど、ぐだぐだすんならこれでいい。
335:名無しが氏んでも代わりはいるもの
05/02/22 00:26:22
まぁ決めるのは作者さんだ
336:名無しが氏んでも代わりはいるもの
05/02/22 00:47:21
>>335
うん…そうなんだけどね。
もうウン年ネットの海に潜ってFF漁ってるけど、
そういう展開のお話には巡り合わんのよ
適当に自己完結してるみたいな話とか中途半端にごまかしてる話ばっかでさ。
EVAFFも、もう10年ぐらいたってるんだぜ?断罪系とかそういうのには反応するのに、
この流れがちっとも変わらんのについ、ね…
ごめんなさい>作者&ALL
できれば、どっかでめぐり合いたいなぁ、そんな小説。長文スマソ、チラシの裏に書くわ。
337:332
05/02/22 02:49:36
>>334
スマソ
なんというか、「アスカたんはロリじゃないよ!!」的なレスを期待してた
アスカがどうこうとか他意は無い
338:名無しが氏んでも代わりはいるもの
05/02/22 03:10:12
まぁLRSの俺としてはまたLAS盛り上がらせる為に綾波利用するなんてことだけは勘弁して欲しい。
339:名無しが氏んでも代わりはいるもの
05/02/22 05:32:56
でも激しくそうなりそうで怖い
n3レイは二作共シンジに弄ばれてアスカに見下されてるからな
あんなの見た後ではレイの幸せを願ってしまうよ
340:名無しが氏んでも代わりはいるもの
05/02/22 06:45:40
アスカに見下されてた描写は無いと思うが
というか今作も、弄ばれたのはどっちか謎
341:名無しが氏んでも代わりはいるもの
05/02/22 08:41:17
今作のアスカは本人の気持ちはどうであれ、
シンジにしてみれば、嫌がらせ以外のなにものでもなかろー。
せっかく、うまくいってたのに、
忘れかけてた人間二人がスクラムくんで、視界に入り込んでくるんだから
うざったくて仕方あるまい。
342:名無しが氏んでも代わりはいるもの
05/02/22 08:49:34
シンジの平穏を破壊するのはいつもゲンドウとアスカ
343:名無しが氏んでも代わりはいるもの
05/02/22 10:34:08
だがそれがいい
344:名無しが氏んでも代わりはいるもの
05/02/22 10:41:40
341>
だったら思わせぶりな行動するなって話しなんだよ。
どっちみちいいように利用したのは確かだろうが。
それくらい常識でわかれよ。
345:名無しが氏んでも代わりはいるもの
05/02/22 10:57:11
つまり好きでもないなら恋の駆け引きに
自分を想ってる子を出すなって話だ。
まぁ、ここであの話するのはやめようぜ。
大人しく続き待ってます。
346:名無しが氏んでも代わりはいるもの
05/02/22 13:47:50
オッテュ
347:第3話目よん♪
05/02/22 14:32:37
>>308
「おはよう、シンちゃん」
と言って、眼を擦りながら母さんがダイニングキッチンに入ってきた。
それを見て、僕はご飯茶碗を取り出しながら、
「母さん、おはよう」
と挨拶を返した。
母子家庭で母さんは仕事に忙しいので、平日の食事は僕が作ることになっている。
初めの頃は面倒で嫌だったけど、今は手を抜くところも覚えたし、自分でも料理の
腕はけっこう上がっているんじゃないかなと自負していた。
「今日は、ハムエッグね。美味しそう」
そう言うと、母さんは洗面所へ行った。
声も柔らかで母さんの機嫌は上々のように見え、僕はホッとした。昨夜、母さんは
ちょっと荒れ気味だったのである。
それにしても昨日の出来事は最悪だった。あれから警察の人が来て、僕たち5人
は交番に連れて行かれた。でも、なぜかすぐに帰っていいと言われたけど。所持品
検査をされていたら、完全にアウトだったはずだ。それはともかく、あの後、僕たちは
すぐに別れたけど、雰囲気は一触即発な感じだった。よく刀傷沙汰にならなかったと
今でも身震いする。
ただ、今でも父さんは母さんに未練たらたらなのがわかった。同時にいくつもの好
きを持てる父さんには呆れるしかない。僕には考えられないことだ。第一、母さんに
その気は全く無いのに。
あんな駄目なオヤジでも、女の人にモテモテなのは不思議だ。謎。
いつの日か父さんが刺されても僕はそんなに驚かないと思う。
348:名無しが氏んでも代わりはいるもの
05/02/22 14:35:18
残暑の厳しさを予感させる朝陽の下、僕は学校への道を歩いていた。
ゆっくり歩いて約30分ほどのところに校舎がある。自転車通学が許可される距離に
100メートルほど足りないのが恨めしいところだ。
学校に近づくにつれ生徒の数が増え、道路に様々な音が雑然と交差する。そんな中、
後方からガタガタという音が聞こえてきた。少し気になった僕は後ろを振り返る。
すると、そこには車輪のついた大きな旅行用のスーツケースを引きずりながら歩くアス
カの姿が見えた。その表情は不機嫌さで満ち溢れている。
僕はあまり関わりたくないと思ったが、無視するわけにもいかず、足を止めて待った。
「おはよう」
「ぐっと・もーにんぐ」
と、アスカは低い声で言う。
日本語でも慣れ親しんだドイツ語でもなく、ひらなが英語での挨拶だった。
うわー、めちゃくちゃ機嫌が悪そうだよと思った僕は無難な話題として、
「今日は天気がよくなりそうだね」
「そう? アタシが暑いのダイッ嫌いなんだけど」
「ははは、そうだね」
僕は乾いた笑いを返すしかなかった。
そして、彼女の旅行カバンが目に入らないように真っ直ぐ前を向いて歩く。
でも、やっかいごとは自分へ全て来るようになっているんだよなと確信していた。
案の定、アスカから話を振ってきた。
「別居よ。別居」
「へっ、?」
「家を出てきたと言ってんの」
「そ、そう」
349:名無しが氏んでも代わりはいるもの
05/02/22 14:37:28
僕はもはや走って逃げたくなったけど、そういうわけにもいかず、
「あの馬鹿ゲンドウ、今もまだユイさんに未練を残してんのよ。あったまに来る」
「……」
「だいたい、何? アタシを愛しているんじゃないの?」
「……」
「シンジ、黙ってないで何か言いなさいよ」
「い、いや、僕からは何とも。あまり恋愛経験も豊富じゃないし」
一度、アスカは僕の顔を見てから、
「まあ、それもそうね。でも、アンタの父親でしょ。少しは責任を感じなさいよ」
「……ごめん」
「男って、そんなに昔の女を忘れられないわけ?」
「どうなんだろう? 僕は父さんじゃないからちょっと」
「アタシはアタシだけを愛してほしいの」
「……本当に、ごめん」
と僕が謝った後、アスカは小さな溜め息を吐いた。
「結婚なんて、しない方がいいのかな。もし、アタシがドイツに……」
その小さな呟きは途中で雑踏の中に消えていった。
瞬間、彼女の言葉が僕の胸へトゲのように刺さる。
僕はアスカが何を言おうとしたのか訊こうかどうか迷ったが、
350:名無しが氏んでも代わりはいるもの
05/02/22 14:40:03
「碇君、おはよう」
と言った綾波の声が、そのことを霧消させた。
僕は横の方へ振り向き、
「あ、おはよう。綾波」
と、彼女へ微笑みを送った。
僕の隣にアスカがいることで不機嫌な顔をしていた綾波だったが、少し表情を崩した。
そして、綾波は再び顔を厳しくするとアスカへ向かって、
「そのバック、なに?」
「ん、家出してきたのよ。馬鹿ゲンドウとケンカしたから」
「……ケンカ?」
「そうよ。しばらく家になんて帰ってやらないんだから」
「そう。……今夜はどうするの?」
綾波がこんなにもアスカに関心を寄せていることが意外で、僕は二人の会話を黙って
聞いていた。
「ヒカリの家にでも泊めてもらうわよ。ちょっと迷惑かけちゃうけど」
「……そう、」
綾波は眉間を微かに寄せて暫し考えるように口をつぐんでいたが、
「なら、私のところにくればいい。ひとり暮らしだから、誰にも迷惑はかからないわ」
「「えっ!!」」
351:名無しが氏んでも代わりはいるもの
05/02/22 14:41:57
僕とアスカは同時に驚きの声を上げた。
中学時代の二人は犬猿の仲だったので、綾波がそんなことを言うとは
考えもしなかった。
それはアスカも同じだったようで、
「アンタ、いいの? アタシのことが嫌いだったんじゃ」
「いい。碇君が私を好きでいてくれるから、あなたを嫌う理由は何も無いわ」
「ふふ~ん。そういうこと」
「あ、綾波~」
人前でそういうことを言われることに慣れていないので、僕は頬を真っ赤に
してしまった。
更に、綾波はもう一つ爆弾を落とした。
「それに、あなたは私の姑になるから。嫁姑の関係は良好な方がいい」
「ほほ~。シ~ン~ジ、アンタ、愛されちゃってるわね」
「……」
僕はもう黙って俯いているしかなかった。
おそらく完熟トマトより僕の顔は赤くなっているだろうと感じながら。
352:名無しが氏んでも代わりはいるもの
05/02/22 14:44:45
昼休み、僕は耳にヘッドフォンを付けて音楽を聴いていた。
S&Gやニール・ヤングなど前世紀70年代の洋楽がここ最近のお気に入りだった。
少し眠気を感じながらまどろんでいたが、僕の机をトントンと叩く小さな指が目に入った。
僕はヘッドフォンを取り、顔を上げる。
「あ、碇君。邪魔しちゃった?」
「ううん。そんなことないよ。それで、何か用? 委員長」
洞木さんはちょっと口籠もるようにした後、おずおずと声を出した。
「アスカから聞いたんだけど、今夜、綾波さんの部屋にアスカが泊まるって本当なの?」
「うん、本当」
「……あの二人、大丈夫なのかな」
アスカの親友である洞木さん。と同時に、綾波にとって数少ない女性の友達でもあった。
極端に人付き合いの悪い綾波が何とか学校生活を送れているのも彼女のおかげだ。
でも、中学の頃、アスカと綾波に挟まれる洞木さんは相当な苦労をしていた。
本当に彼女には感謝している。
「う~ん、たぶん、大丈夫、かもしれない」
「碇君も自信ないのね?」
「うん、ちょっとね。でも、このことは綾波から言い出したんだ。だから、たぶん」
「そうよね。それには、わたしもちょっとびっくりしちゃった」
「あはは、僕も」
「もしあれだったら、わたしの家に泊めてもいいと思っていたけど、綾波さんに任せちゃっても
いいのかな。アスカ、家族の人と派手にケンカしたみたいで、心配だけど」
353:名無しが氏んでも代わりはいるもの
05/02/22 14:47:05
洞木さんはアスカと父さんが一緒に住んでいることを知らない。
アスカだったら気にせずにみんなへ言うと思っていたが、まだ秘密にしていた。
アスカが僕に気を遣ってくれているということなのだろうか。
「とにかく様子を見ようよ。案外、上手くいくかもしれないし」
「そうね。そうするしかないよね」
と言ってから、洞木さんは小さく笑った。
「ふふっ、碇君も大変ね。ヤキモチ焼きの彼女がいると」
「えっ、あ、うん」
僕は頬を染めてしまう。
やっぱり他人からそういうことを言われるのには慣れていない。特に、女の子には。
「あ~あ、わたしも早くカレシがほしいな」
「委員長なら大丈夫だよ。すぐにいい人ができるんじゃないかな」
「ホント~?」
そう言って、洞木さんは僕の顔をのぞき込んだ。
不意の彼女の動きに僕はびっくりして、椅子をガタンとさせて身体を後ろにさせた。
一瞬、床へ倒れ落ちそうになり、必死に両手で踏ん張る。
洞木さんはそれを見て、おかしそうに笑い声を上げた。
「ふふっ、碇君って、おもしろいね」
「そ、そうかな。僕よりトウジの方がおもしろいと思うけど」
354:名無しが氏んでも代わりはいるもの
05/02/22 14:48:46
体勢を立て直しながら僕はそう返した。
洞木さんは窓際でケンスケとじゃれ合っているトウジを横目で見ると、少し寂し
そうな笑みを口もとに浮かべた。
「わたしもそう思う。だけど、鈴原は……、ううん、何でもない」
「……?」
洞木さんが何を言おうとしたのか少し気になったが、自分が触れていいことでは
無いように思えて、僕は話題を変えようと口を開いた。
朝、僕の胸に刺さった小さなトゲはまだ取れていなかったのだ。
「委員長、少し相談があるんだけど」
「なに? わたしにできることなら何でも言って」
相談できるような女の子は、自分には綾波とアスカと洞木さんしかいない。
より一般的な答えを得たいのなら誰に訊くかは一目瞭然であろう。
僕はかなり恥ずかしかったが、どうしても知りたい思いに駆られた。
「あ、あのさ、女の人って、昔、好きだった人をいつまでも想っているものなのかな?」
「……アスカ?」
洞木さんは僕を睨むように見つめた。
355:名無しが氏んでも代わりはいるもの
05/02/22 14:52:54
「いや、違うよ。一般論として、どうなのかなって。ほら、僕んち、親が離婚しているでしょ。
それで、最近、ドイツに行っていた父さんが日本に戻ってきたから、どうなのかなって」
「あ、そういうことね」
と言って、洞木さんは表情から険しいものを消した。
まるっきり嘘ではない言い訳だったけど、ちょっと心苦しい。本当はアスカのことだから。
「そうね。嫌いで別れたのなら、もう駄目よね。当たり前だけど」
「やっぱり。じゃあ、そうでない場合は?」
「……わたしの場合でいい?」
「うん、」
「今、好きな人がいるなら、前の人は普通の友達として見れると思う」
「……」
「好きな人がいない時、そして、昔の人と別れたくないのに別れてしまった場合や告白も
できずに終わった場合は、またその人に恋してしまうこともあるかもしれない」
「……そうなんだ?」
「わたしは、だけどね。と言っても、そんな恋をしたこと無いからよくわからないけど」
洞木さんは恥ずかしそうに頬を染めていた。
僕も女の子へ恋の話をしてしまったことに気づき急に照れてしまい、小さな声で、
「あ、ありがと」
「うん、」
と返事をすると、洞木さんは小走りで自分の席に戻っていった。
僕は熱く感じる頬に右手を当てて頬杖する。
そして、何やらトウジとケンカを始めたアスカをぼんやりと眺め続けた。
356:名無しが氏んでも代わりはいるもの
05/02/22 14:56:31
翌朝、教室に入ると、アスカが僕を待ちかまえていた。彼女の机の横には昨日と
同じ旅行バックが置いてある。
アスカは僕へ腕を伸ばし、ビシッと人差し指を向けると、
「シンジ! アンタ、レイにどういう教育をしているのよ」
「ええっ、どういうこと?」
「どういうことじゃないわよ! あの女、食事に肉を食べさせてくれないわ、テレビを
見るのも駄目、音楽も駄目。ベッドには裸で一緒に寝ようとするし、なんなのよ?」
「えっ、僕にそんなことを言われても」
「カレシであるアンタの責任でしょ」
「そうなの?」
「そうよ! もっと一般常識というものをレイに教えなさい。あんなところ、居られたもん
じゃないわ。もう、今日からはヒカリの家に泊めてもらうからいいわよ」
アスカに常識云々など言われたくもないと思ったけど、確かに綾波にはそういうと
ころがあって、時々僕も困っていたことは事実であった。
「う、うん、」
僕は小さく肯いて返事をした。
と、その時、綾波がそばにやって来て、
「惣流さん。あなた、ワガママ。それに、寝言もうるさい」
「なんですってー!」
そのまま二人のケンカが終わることはなく、SHRでミサト先生が来るまで続いていた。
しかし、以前のように険悪な感じは二人に少しも無く、子供がじゃれ合うようなものであった。
頬を緩めながら僕はそんな二人を見ていた。
つづきは未定
357:名無しが氏んでも代わりはいるもの
05/02/22 16:45:50
キタ━━(゚∀゚)━━!!!!!
358:名無しが氏んでも代わりはいるもの
05/02/22 16:54:42
作者さん、乙ですた。
>>344
>>345
いや、俺が言ってるのはそっちじゃなくて
こっちのアスカとゲンの字のこと。
今更、うまくいってるとこに割り込んで…とおもったからそう書いたんだが。
…なんか変につたわってるなぁ。
359:名無しが氏んでも代わりはいるもの
05/02/22 17:09:34
>「まあ、それもそうね。でも、アンタの父親でしょ。少しは責任を感じなさいよ」
>「……ごめん」
自分勝手に浮気して出てった父親失格の赤の他人に、責任って…
そして謝るなよ、怒れよシンジ。。どう考えても理不尽じゃん。。
…OTL
360:名無しが氏んでも代わりはいるもの
05/02/22 17:16:20
ひょっとしてトウジはアスカに惚れているのか?それともいいんちょの勘違いなのか。。
361:名無しが氏んでも代わりはいるもの
05/02/22 18:08:55
ここのシンジは不憫なシンジですね・゚・(ノω;`)・゚・
362:名無しが氏んでも代わりはいるもの
05/02/22 23:09:09
不憫じゃないシンジはスーパーシンジ!
363:名無しが氏んでも代わりはいるもの
05/02/22 23:36:30
>359
まぁそれは俺も思ったが。
シンジを捨てたも同然の男と婚約してたら、普通シンジには引け目を感じるよなぁ。
それが、その男の落ち度でシンジを責めるって・・・
なーんてシリアスなら言うところだが、これって今のとこコメディだと思ってるので、気にしなーい。
理不尽に謝るのも、ある種のシンジらしさだしさ。
364:名無しが氏んでも代わりはいるもの
05/02/23 01:18:44
>>363
コメディかね?
俺からは真面目な作品っぽく見えるんだが。
それだけにちょっと痛いわ。
365:名無しが氏んでも代わりはいるもの
05/02/23 05:55:36
本編ですぐに謝るのは、本気じゃなくて、とりあえずそう言えばいいみたいな逃げなんだよな
366:名無しが氏んでも代わりはいるもの
05/02/23 07:01:32
アスカのセリフがあるから勘違いしやすいけど
そもそも本編ですぐ謝るようなシーンってほとんどないんだよな
基本的にシンジって一言言われたら一言言い返すキャラ
弁当事件の時だって謝らずに弱々しいながらも反論してるし
367:名無しが氏んでも代わりはいるもの
05/02/23 07:06:38
そう?
第4使徒戦後のミサトに叱られていたじゃん。適当に人に合わせているんじゃないって
368:名無しが氏んでも代わりはいるもの
05/02/23 07:26:48
ありゃ「なんでもいーや知らねーよもう」状態だったからまた別の話かと
369:名無しが氏んでも代わりはいるもの
05/02/23 08:10:41
まあ、相手の怒り具合で対応変えてるってところだろうな。
反論しても大丈夫そうなら反論する、反論すると厄介なことになりそうだったらとりあえず謝る。
誰でも普通にやってる処世術だな。むしろできないヤツは社会生活営めないだろ。
シンジがすぐ謝るようなヤツじゃないってのは俺も同意だけど。意外と勝ち気だよね、シンちゃん。
370:名無しが氏んでも代わりはいるもの
05/02/23 09:09:13
貞のシンジは以外とよく謝る。
371:名無しが氏んでも代わりはいるもの
05/02/23 10:01:32
でも勝ち気シンちゃんより、オドオドシンちゃんの方がいいなあ
372:名無しが氏んでも代わりはいるもの
05/02/23 10:48:10
勝気すぎんのもオドオドしすぎてんのもやだな
ちょっと弱気だけどナマイキな中学生ってのがシンちゃんらしいと思う
373:名無しが氏んでも代わりはいるもの
05/02/23 13:18:05
まあ、本編の印象的な部分を使ってデフォルメし、キャラを特徴的にさせるのが
二次創作の常套手段だしね。
アニメと違って、文章のみでキャラを区別させないとならないし。
FFのアスカなんて、アスカなんて、アスカなんて
374:名無しが氏んでも代わりはいるもの
05/02/23 14:50:04
美化しすぎ
375:名無しが氏んでも代わりはいるもの
05/02/23 14:54:23 X6U/CLif
美化ってどのレスに言ってんだ?
376:名無しが氏んでも代わりはいるもの
05/02/23 14:57:16
たぶん、こう続いているんじゃないかな。
FFのアスカなんて、アスカなんて、アスカなんて
美化しすぎ
377:名無しが氏んでも代わりはいるもの
05/02/23 15:16:09
ああ、なるほど。
しかしありゃー美化なのか?w
378:名無しが氏んでも代わりはいるもの
05/02/23 15:41:19
>>366
アスカの台詞は四六時中一緒に暮らしてての感想だし、他の人に比べてシンジにそーいう傾向があるってのは合ってそうだけど。
直に謝ってるシーンが少なくても、あの台詞に違和感を感じないような印象は持たせてあるし。
それだけのキャラじゃないのはハゲドゥー。が、すぐ謝るって認識自体が間違いってこともないと思う。
379:名無しが氏んでも代わりはいるもの
05/02/23 15:41:31
あれと言うか、アスカが美化されてるFFも多いって話だろ。絶世の美少女だとか。
アスカに限った話でも無いが。
380:名無しが氏んでも代わりはいるもの
05/02/23 15:45:06
アニメの美少女キャラ(エヴァ内じゃ一番明確)なんだから、その程度の描写でガタガタ言うのも名ー。
と思ってしまいますが。
スレ違いか・・・
381:名無しが氏んでも代わりはいるもの
05/02/23 16:40:07
一応、本編でも凶悪なほどの美少女という設定なのかな
382:名無しが氏んでも代わりはいるもの
05/02/23 16:48:37
シンジと顔が同じという設定です
383:名無しが氏んでも代わりはいるもの
05/02/23 16:54:42
周りが騒ぎ立てるレベルの美少女ではあるな
写真が売れる、
同級生の姉という無理目なつてを頼ってでもデートに持ち込もうとする男がいる
384:名無しが氏んでも代わりはいるもの
05/02/23 16:56:30
猫も杓子もアスカ、アスカか・・・
385:名無しが氏んでも代わりはいるもの
05/02/23 17:07:31
>>378
「簡単に謝んないでよ、前みたいにもっと突っかかってきてよ、あたしの相手をしてよ!」って
意味だと初見のときから信じて疑ってなかった俺は紛う方なきLAS厨
386:名無しが氏んでも代わりはいるもの
05/02/23 17:22:46
>>386
だったら、浮気して出てっただめ親父に引っ付いて日本に来るなんて
面倒事以外のなにもんでもないこと持ち込んでくるなよ。
もまえは、『渡る世間は鬼ばかり』娘連中か!
…といってみるテスト。
普通にくりゃいいのに。変なオプションつきでくんな。
つか、親父とくっついた時点でドイツからでてくんな。
物語にかかわるな。
そんな漏れはシンジ擁護派。
387:名無しが氏んでも代わりはいるもの
05/02/23 17:26:23
レイも最初は下駄箱にラブレターとか貰ってたんだろうか、
それとも顔は普通という設定なんだろうか
388:名無しが氏んでも代わりはいるもの
05/02/23 18:16:36
包帯まみれで、顔立ちが分からなかったのだ。
欠席も多いし危ない奴では?と引かれてしまい、美少女だと分かった頃には近づき難くなっていたのだ。
389:第4話よん♪ サービス、サービス
05/02/23 20:55:55
>>356
父さんとケンカして家を出たアスカは5日間ほど洞木さんのところに泊まり、
その後、自宅へ帰っていった。その間、アスカや父さんと関わるようなことは
無かったけど、彼女を心配する気持ちが僕にはあった。
土曜の夜、クラスの担任であるミサト先生と加持さんが僕の家に来て、夕食
を共にした。
加持さんは母さんの同僚で、リツコさんのように僕は小さい頃によく遊んで
もらっていた。また、加持さんとミサトさんは恋人同士で、同様に彼女とも十分
すぎるほど顔見知りだった。壱高に入った時、やっぱりというか仕組まれたと
いうか、ミサトさんが担任となってしまった。案の定、僕はミサトさんに学校で
からかわれ続けている。
ちなみにアスカのママと僕の母さんも同僚で、僕の知り合いはみんな狭い
フィールドの中にいる。だから、父さんのしていることはもうメチャクチャ。上は
40代後半のナオコさんから下は15歳のアスカまで老若男女、見境無し。まだ
男の浮気相手がいないだけマシかもしれないが、この人と自分の血が繋がっ
ているかと思うと絶望したくなってくる。
まあ、それは置いといて、ミサトさんたちとの夕食は宴会と化していた。ミサト
さんは大のお酒好きで、ビールならいくらでも飲んでしまう。母さんも意外に酒が
飲める方で、僕は甘めの白ワインをグラスでちびちびと口にしながら、ご飯を食
べていた。
母さんの作ってくれた料理を無くなっても酒盛りは続く。ミサトさんはどんどん
ハイテンションになっていき、母さんと何やら妖しい話に華を咲かせていた。
僕は身の危険を感じ、ダイニングから避難してリビングに行き、テレビを見始めた。
それから暫くして、加持さんが缶ビールとブルーチーズを持って僕のところに来た。
「女の人同士の会話はどうもきつくて困る。……シンジ君もどうだい?」
と言って、加持さんは缶ビールを見せる。
僕は苦笑いをしながら、